ただ生きるのではなく、よく生きる

自然の法則をとらえ、善(よ)く生きるために役に立つ情報を探して考えてみる

自然に服従し、境遇に従順なれ

2017-06-14 17:02:40 | 知恵の情報
病は苦しい。しかたがないから我慢して時節を待つ。これが自然に服従である。
医者の命令はいやおうなしにこれを厳守する。これが境遇に従順である。

人生はさまざまな迷いが起こる。その煩悶を思い捨てようともがく、これが自然に
不服従である。迷いのために、良い職口もそのチャンスを逃し、親の気に入る良い
結婚口も決することができない、。これを境遇に不従順というのである。

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今私が「試験を受けよ」と忠告する。そのとき本人は「こんなに頭が悪くて、できる
はずがない」と考える。それを「我」という。しかし、森田がせっかくそういうから、
「よき人の仰せに従って、地獄か極楽か、一かバチか、行き着くところまで、やって
みよう」というのが、平たくいえば、「試みる」、上品に言えば、「まかせる」という
心境である。この「我」と、「試みる」ということとが、意識的に自覚して、はっきりと、
こころのうちに両立して、実行に現れるのを「従順」というのである。

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なお、私が常にいう従順と申すことは、「疑い恐れ、あやぶみながら、仮に試みに、
これを実行し服従すること」であります。「なるほど、理の当然であると信じて、
そのとおりにすること」を従順とは、申さないのであります。

なお母上や周囲の人々や女中やを疑い、恨み、かこち、憎み悲しむなどのことは、
そのままで、少しもさしつかえありません。たとえば、風が寒い、薬は苦い、面倒な
ことは嫌いとかいうのも同様で、何とも致し方なく、そのとおりに感じてさしつかえ
ないことであります。ただこれを主張・反抗せずに、仮に「何か自分の気のつかない
理屈もあろう。たぶん無理なことはあるまいか」とか、大目に考え見逃すこと。
これと同時に、また風にも当たり、薬も飲み、面倒も、がまんしてするというふうに
なれば、それが従順ということに適うのであります。人を恨まないように、薬を苦い
と感じぬようにし、あるいは、人の考えを矯めなおし、天津風雲の通路(かよいじ)を
吹きとめるようにとかいうふうに、大自然に対して、反抗の気分を起こさぬ人が、
正常の良い人かと存知ます。それで私は、常に「自然に服従し、境遇に従順なれ」
と申しているのであります。

─『現代に生きる森田正馬のことば 生活の発見会編II 新しい自分で生きる』
 生活の発見会 白揚社より


{参考}
原文 天つ風雲の通ひ路吹きとぢよをとめの姿しばしとどめむ

現代語訳(口語訳)
天の風よ、雲の中の通い路を吹き閉ざしておくれ。美しく舞う天女たちの姿をもう少し
地上にとどめておこう。
 (天を吹く風よ、天女たちが帰っていく雲の中の通り道を吹き閉
 ざしてくれ。乙女たちの美しい舞姿を、もうしばらく地上に留め
 ておきたいのだ。)
 僧正遍照(12番) 『古今集』雑上・872
 
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