ただ生きるのではなく、よく生きる

自然の法則をとらえ、よく生きるために役に立つ情報を探して考えてみる

共存共栄の法則の根拠になる「今西進化論」

2017-05-16 15:35:43 | 科学
鴨川で「すみわけ理論」に至った今西錦司



「イギリスのダーウィンは『種の起源』をあらわし、生物は、弱いものは生存競争に
敗れてほろび、環境に最も適したものが生きのびて進化していくと説き」
(中学校社会科教科書)いわゆる「進化論」を提唱しました。1859年のことです。

さて、この進化論は唯物論の隆盛という時代背景とともに大衆に広まり、支持を
受け、その基本的な考えはもはや常識といえます。ところがこの「競争と自然選択」
に異を唱えた学者がいました。日本の今西錦司です。

今西は1902年(明治三十五年)、京都西陣の織元に生まれました。幼いころから
祖母に連れられ鴨川の自然に親しみました。七歳のころには蝶の蒐集に熱中します。
そして、旧制の中学、高校時代には登山に夢中になり、西堀栄三郎(後に京大教授、
南極観測越冬隊長)と第三高等学校の山岳部を創設しました。このような少年・青年期
の体験が後の「今西自然学」の基礎になったといえます。

京都帝大の農林生物学科に入学し、昆虫学を専攻しました。そしてフィールドワーク
ともいえる各地の登山にも精力を注ぎ、剣岳の未踏の屋根の初登攀に成功、登山史
に名前を残しました。

1933年(昭和8年)夏、京大理学部の講師をしていたころ、いつものように自宅
近くの鴨川のほとりで昆虫採集をしていてひとつの発見をします。川の中に四種類
のヒラタカゲロウの幼虫が川の流れの速さに応じてきれいに分布しているのです。
「今西進化論」の誕生でした。

つまり、このカゲロウの幼虫のように、生物は「すみわけ」という現象によって独自の
生き方をしていると考えたわけです。生物同士の生存競争は生き残りゲームではなく、
共存して」すみわけ」によって四種類のカゲロウの種の社会は進化していくと考えた
わけです。そしてこの考えを他の場所でも検証し、発表したのが『生物の世界』でした。
1941年(昭和十六年)、今西が「遺書のつもりで書いた」まさに大東亜戦争(太平洋
戦争)勃発の年でした。

今西は明治以来ダーウィン進化論が日本の生物学会で主流であった中で、ダーウィン
の生物観に真正面から挑戦した一人といえます。

今西はヒラタカゲロウの「すみわけ」と「共存」の発見をきっかけに、日本ばかりでなく
アジア・アフリカに出かけ、自分の学説を検証するかのように、チンパンジーやゴリラ、
植物分布の様子と、学問の範囲を広げます。そのため多くの研究者が今西の魅力
にひかれ「今西山脈」といわれるような多数の研究者が育ち、現在でも各方面で
活躍しています。

「すみわけ論」を中心とした独自の進化論により、1972年に文化功労賞、79年
には文化勲章を受章します。しかしこの間、今西には休む暇もありませんでした。
戦後の研究成果をふまえ、「反ダーウィン論」を集大成した論文を次々発表します。
同じころ、イギリスの科学雑誌に「日本における反ダーウィン説」として紹介されました。
これを機に国内の「今西ブーム」としてではなく、世界的に「進化論」論争が繰り広げ
られました。そして現在では「今西進化論」今西自然学」と呼ばれています。

今西は「探検的な開拓者精神」で学問に挑み、「生物学者は生物を通じて、もっと
積極的に彼の自然観・世界観を展開すべき」を持論とした科学者だったのです。
                                  (福持次郎 記)

─『教科書が教えない歴史 3 』藤岡信勝・自由主義史観研究会
  産経新聞ニュースサービス 扶桑社



■ダーウィンの進化論から、素直には、共存共栄が導き出せないでいたが、自然選択や自然淘汰でなく、
「すみわけ」という考え方は、納得がいく。自然淘汰というとらえかたでなく、生存の自然な選択は
互いの共存の上に、つまり生かしあいのなかに選択されているというとらえ方がなんとも精妙に感じる。
自然淘汰というものではなく、自然互助である。ダーウィンの進化論は客観性を重視しているのだろうが、
起こる性質にもっと神(自然)の愛を感じるべきではないか・・・
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