ゆっくりのんびり市町村廻り

何年かかるか、もしかしたらできないかもしれないけど、日本の全市区町村の制覇を目指して頑張ってみる!

167日目 避難指示が解除されたその後を訪ねる(1)

2017-03-25 22:06:37 | 南東北
平成28(2016)年10月10日(月祝)


日立駅からJR常磐線に乗りましてひたすら北へ向かいます。
でも、路線は続いているのに電車はここまでしか行かないという駅があります。
当時も今もそうですが、福島第一原発の事故の煽りで分断されてしまっているのが理由ですが・・・。

それが竜田(たつた)駅→
下車客は10数人程度。
何となく竜田揚げを思い出す駅ですが、その由来がここ・・・という噂は全く聞いた事ありません。

原発事故以来よく耳にしているかと思いますが、この駅は楢葉町(ならはまち)にあります。
平成27年9月5日に避難指示が解除され、1年経った町の様子が気になったので来てみたのでした。

駅舎→
止まっているバスは、帰還困難区域に突入して原ノ町駅(南相馬市)まで行く代行バス。
数人乗っていたかな?いずれも鉄ちゃんのような感じの人だったような。
私はというと写真撮影で駅前をウロウロしてましたので、「乗りますかあ~~~~!」と大きな声。
何せ次のバスは10時間後なので親切心もあるだろうけど、乗るのかどうなのかハッキリしてくれ、が正解かも。

↓Jヴィレッジというサッカートレーニング施設があるのでこの看板。

希望に満ち溢れた看板がある一方で、その横には除染のゴミ袋らしきが山積みされていて実に対照的。
モニタリングポストの値は1時間あたり0.159マイクロシーベルト。
これが高いのかどうかは分からん。
が、どことは言わんけど、世界中にはここより高い数値の都市がゴロゴロあるやんよっぽど外国の方が危険

↓駅前の住宅街と商店街。
 
ひっそり。これ以外言葉が思い当たらないです、正直。
家はあっても人のいない世界、そして生活感のない世界。
人はいなくても車だけは走っているというのはよくあることですが、ここではそれすらもない。
飯舘村(いいたてむら)でもそれを経験しましたが、やはりどこか異様です。

風を通しているのかと思いきや・・・→
窓・玄関の枠が根こそぎ剥ぎ取られているし。
敢えてそうしているのか、避難中のどさくさ紛れにやられてしまったのか分からん。

建物は新しそうなんだけど→
草ボーボーで入るにも難儀、というか最早入りたくないような状態。

真昼間から雨戸だらけの戸建て団地→
人の息吹を全く感じない団地は非常に不気味です。

ふくしま復興ステーションという原発事故周辺の自治体の復興状況が分かるサイトがあるのですが、それによると地震当日の楢葉町の住民登録人口は8,011人。
そして平成29年1月4日時点での帰還者数767人。
私が行った頃の帰還者は約6%だったらしいから、それよりは持ち直しているとは言え、非常に寂しく厳しい数字です。
実際、工事関係者にはそれなりにすれ違ったのですが、現地の人らしきとなると一組の老夫婦のたった2人だけでしたし。

高台から町を見下ろす→
ここらでようやく車の音が聞こえてくる。他には工事の音。

(626)福島県双葉郡楢葉町役場
昭和31(1956)年に木戸村と竜田村が合併して成立。
福島第一原発から南10kmに位置し、事故で全住民が避難した自治体のうち最初に避難を解除した町。

先日見た震災関連特集のテレビ番組では、存続が危うい事態に直面している自治体として楢葉町が取り上げられていました。
登場した町長さんが頭を痛めていたのは、今後の人口減の中での財源確保に関して。
当たり前なのですが、インフラなんかを始めとして、町自体の機能維持が困難になるわけだから。

そこで、帰還促進を促す切り札がコレ→
住宅・商業施設・診療所、その他便利な施設全てを一か所に集約したコンパクトタウンの建設に踏み切る。

災害公営住宅では既に入居が始まっているようで、来年春には商業施設などがオープンする予定。
だったのですが、番組では思うようにテナントが集まらないらしい様子が映し出されていました。
となると人もやって来なくなる可能性もあり得ます。

中にはコンパクトタウンから遠い住所、或いはそこに戻る予定の人もいるでしょう、その人達には不便を強いる事になりますし、この構想、かなり前途多難に感じるのは私だけしょうか?

役場の前には、平成26年7月31日にオープンした「ここなら商店街」という仮設商店街があります。
食堂もあり、それは工事関係者には重宝されているようです。
私も是非ここで食事を取りたかったのですが、時間の都合で断念。
ここでお金を落とせず申し訳ない。

竜田駅北にある踏切→

赤錆びて、草に埋もれてしまった線路は実に哀しいものです→
が、今年10月頃までに富岡駅までの約7kmは運転再開されるようです。

駅東側の工事→
町民や廃炉関連事業向けに、駅前広場として駐車・乗降スペースを造ったり、ホテルを建設したり(来年夏にオープン予定)しています。

建設中のコンパクトタウン→
笑(えみ)ふるタウンならは」と名付けられたようです。
文字通り、「笑」のあふれる楢葉に戻ることを願ってやまないのですが・・・。

工事はどれもこれもかなり大掛かりな感じ。
復興財源を元手にやっているのか知りませんが、完成後の維持管理の財源は大丈夫なんでしょうか?

 

参考・カッコしてあるのはこれまで行った所→