全身を油にまみれ、「油掛け地蔵」の名の許に信仰篤いその実、素晴らしい像容の「阿弥陀三尊石仏」です。
嵯峨大覚寺の南約1km足らず、有栖川に架かる「油掛橋」の四辻の脇に「大覚寺油掛信徒会館」なる建物が建ち、軒先を突き出した地蔵堂に安置されて居る。
堂内は油の匂いがプンプン立ち込め、足元はヌルヌル・・・・、石仏にはどす黒い油糟がそうに成って纏わり付いて居ます。
石仏は高さ1.7m、幅約85cm、厚さ40cmの板状花崗岩の正面に舟形状枠を残し、中に像高113cm、定印を組み蓮華坐に結跏趺坐する阿弥陀坐像を中肉彫りで刻み出して居る。
油まみれとは云え、端正な顔立ちと堂々とした体躯が窺えます。
背に線彫りの二重光背を負い、脇に「観音」の種字「サ」と「勢至」の「サク」を刻み阿弥陀三尊として居る
背面に右に「延慶3年(1310年)庚戌12月8日」左に「願主 平重行」の銘が刻まれ、鎌倉後期の造立。
一度油にまみれて居ない素顔で、お目に懸かってみたい気がします
撮影2012.9.6