退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

一筋縄ではいかないこと

2009-05-16 01:17:27 | Weblog
晴れ。今日は風もなくおだやか。

スタンレー・ミルグラム 山形浩生訳 「服従の心理」を読む。

罰が学習に与える影響を調べる実験だとして
「先生役」の被験者は「学習者役」が苦痛の芝居をしていると知らずに電流を流す。

まちがいが増えるたびに流す電流も増える中
果たして「先生役」の被験者はどこで実験者に逆らって中止を求めるのか。

誰もがすぐに中止を求めるという予想を裏切って
「先生役」の被験者はとんでもない段階まで電流を流し続ける。

この実験は別名「アイヒマン実験」と呼ばれているもので
ユダヤ人を大量虐殺したアイヒマンも「凡庸な官僚」にすぎないというハンナ・アーレントと同じ見解をとるらしい。

訳者によれば「服従」は「信頼の裏返し」でもあり
一概に著者の実験解釈を受け入れればいいものではないと言う。

それでも「いい人」がいとも簡単に「虐待」もする「事実」は衝撃的なはず。
ちなみに以前の訳者は岸田秀だとのこと。

ここでも単純に「白黒」をつけられないことが浮かび上がる。
それぞれ自分なりに検証しつつ、他人の賛同を得ていくしかないのだろう。
コメント (2)
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