退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

淡い交わり

2008-09-22 01:02:16 | Weblog
くもりのち雨。昨日の酒が残る。

清水宏「簪」を観る。

夏休みの温泉で若者が湯の中に落ちていた簪で足にケガをする。
わざわざそれを謝りに来た簪の持ち主の若い女はちょいとわけありで、という話。

若者が笠智衆で若い女が田中絹代。
彼女は男に囲われているのだが、そんな生活がイヤになっている。

宿に長く泊まっている人々がいい感じ。
本を読みに来たうるさ方の先生斎藤達雄は冒頭から何度も笑わせる。

若旦那の日守新一はその先生にしょっちゅう怒られる。
「うちの家内が」と言っては「失礼しました」と謝ってばかり。

老人河原侃二は孫の太郎・次郎を連れてきている。
この兄弟は若者のリハビリに「がんばれ」を連発する。

若い女は若者や子どもたちと生活を共にすることで
新しい生活を夢見るのだけれど。

電報や手紙、日記をそのまま映すことで物語を進行させるのが特徴。
最後まで宿に残る女は若者からの手紙を手に思い出の場所を歩く。

女の友人川崎弘子のいかにもな玄人ぶりな身体の動きに注目。
宿の主人にはピッタリな坂本武。

淡い水彩画のような70分の作品は昭和16年(1941年)の夏に公開。
この年の暮れ、日本は戦争を始めた。
コメント
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