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【転載】国連プライバシー特別報告者からの書簡の解説と全文訳です。【拡散希望】

2017-05-25 10:23:05 | 地球環境・基地問題・政治関連

みなさま

国連プライバシー特別報告者からの書簡の解説と全文訳です。
拡散希望です。
ブログやフェイスブックに転載自由です。...
私のFBにも掲載しました。

海渡 雄一

(1ページ目)
2017.5.20
国連プライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏による
日本政府に対する質問状について(解説)
           海渡 雄一(共謀罪NO!実行委員会)
国連プライバシー権に関する特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏が、5
月18日、共謀罪(テロ等準備罪)に関する法案はプライバシー権と表現の自由
を制約するおそれがあるとして深刻な懸念を表明する書簡を安倍首相宛てに送
付し、国連のウェブページで公表した。
書簡の全文は次のところで閲覧できる。
http://www.ohchr.org/Documents/Issues/Privacy/OL_JPN.pdf
書簡では、法案の「計画」や「準備行為」、「組織的犯罪集団」の文言があ
いまいで、恣意的な適用のおそれがあること、対象となる277の犯罪が広範
で、テロリズムや組織犯罪と無関係の犯罪を多く含んでいることを指摘し、い
かなる行為が処罰の対象となるかが不明確であり刑罰法規の明確性の原則に照
らして問題があるとしている。
 さらに、共謀罪の制定が監視を強めることになることを指摘し、日本の法制
度において、プライバシーを守るための法的な仕組み、監視捜査に対する令状
主義の強化や、ナショナル・セキュリティのために行われる監視活動を事前に
許可するための独立した機関の設置など想定されていないことを指摘している
。また、我が国の裁判所が、警察の捜査に対する監督として十分機能していな
いとの事実認識を示している。
 そのうえで、政府に対して、法案とその審議に関する情報の提供を求め、さ
らに要望があれば、国連から法案の改善のために専門家を派遣する用意がある
ことまで表明している。
 日本政府は、この書簡に答えなければならない。
 また、日本政府は、これまで共謀罪法案を制定する根拠として国連越境組織
犯罪防止条約の批准のためとしてきた。同じ国連の人権理事会が選任した専門
家から、人権高等弁務官事務所を介して、国会審議中の法案について、疑問が
提起され、見直しが促されたことは極めて重要である。
日本政府は、23日にも衆議院で法案を採決する予定と伝えられるが、まず
国連からの質問に答え、協議を開始し、そのため衆議院における法案の採決を
棚上げにするべきである。そして、国連との対話を通じて、法案の策定作業を
一からやり直すべきである。
プライバシーに関する権利の国連特別報告者 ジョセフ・ケナタッチ氏
(2ページ目)
共謀罪法案について安倍内閣総理大臣宛の書簡全体の翻訳
翻訳担当 弁護士 海渡雄一・木下徹郎・小川隆太郎
(質問部分の翻訳で藤本美枝弁護士の要約翻訳を参照した)
国連人権高等弁務官事務所
パレスデナシオンズ・1211ジェネバ10、スイス
TEL:+ 41229179359 / +41229179543・FAX:+4122 917 9008・EMail:
srprivacy@ohchr.org
プライバシーに関する権利に関する特別報告者のマンデート
参照番号JPN 3/2017
2017年5月18日
内閣総理大臣 閣下
私は、人権理事会の決議28/16に基づき、プライバシーに関する権利の特別報
告者としての私の権限の範囲において、このお手紙を送ります。
 これに関連して、組織犯罪処罰法の一部を改正するために提案された法案、
いわゆる「共謀罪」法案に関し入手した情報について、閣下の政府にお伝え申
し上げたいと思います。もし法案が法律として採択された場合、法律の広範な
適用範囲によって、プライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限に
つながる可能性があります。
 入手した情報によりますと次の事実が認められます:
 組織的犯罪処罰法の一部を改正する法案、いわゆる共謀罪法案が2017年3月
21日に日本政府によって国会に提出されました。
改正案は、組織的犯罪処罰法第6条(組織的な殺人等の予備)の範囲を大幅に
拡大することを提案したとされています。
手持ちの改正案の翻訳によると、新しい条文は次のようになります:
(3ページ目)
6条
(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂
行の計画)
次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団
(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を
実行することにあるものをいう。次項において同じ) の団体の活動として、当
該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した
者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手
配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行わ
れたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首
した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
安倍晋三首相 閣下
内閣官房、日本政府
 さらにこの改正案によって、「別表4」で新たに277種類の犯罪の共謀罪が処
罰の対象に加わることになりました。これほどに法律の重要な部分が別表に委
ねられているために、市民や専門家にとって法の適用の実際の範囲を理解する
ことが一層困難であることが懸念がされています。
 加えて、別表4は、森林保護区域内の林業製品の盗難を処罰する森林法第198
条や、許可を受けないで重要な文化財を輸出したり破壊したりすることを禁ず
る文化財保護法第193条、195条、第196条、著作権侵害を禁ずる著作権法119条
など、組織犯罪やテロリズムとは全く関連性のないように見える犯罪に対して
も新法が適用されることを認めています。
新法案は、国内法を「国境を越えた組織犯罪に関する国連条約」に適合させ
、テロとの戦いに取り組む国際社会を支援することを目的として提出されたと
されます。しかし、この追加立法の適切性と必要性については疑問があります

政府は、新法案に基づき捜査される対象は、「テロ集団を含む組織的犯罪集
団」が現実的に関与すると予想される犯罪に限定されると主張しています。
 しかし、「組織的犯罪集団」の定義は漠然としており、テロ組織に明らかに
(4ページ目)
限定されているとはいえません。
新たな法案の適用範囲が広い点に疑問が呈されていることに対して、政府当局
は、新たな法案では捜査を開始するための要件として、対象とされた活動の実
行が「計画」されるだけでなく、「準備行為」が行われることを要求している
と強調しています。
しかしながら、「計画」の具体的な定義について十分な説明がなく、「準備行
為」は法案で禁止される行為の範囲を明確にするにはあまりにも曖昧な概念で
す。
これに追加すべき懸念としては、そのような「計画」と「準備行動」の存在
と範囲を立証するためには、論理的には、起訴された者に対して、起訴に先立
ち相当程度の監視が行われることになると想定されます。
このような監視の強化が予測されることから、プライバシーと監視に関する日
本の法律に定められている保護及び救済の在り方が問題になります。
 NGO、特に国家安全保障に関する機密性の高い分野で活動するNGOの業
務に及ぼす法律の潜在的影響についても懸念されています。政府は、法律の適
用がこの分野に影響を及ぼすことがないと繰り返しているようです。
しかし、「組織的犯罪集団」の定義の曖昧さが、例えば国益に反する活動を行
っていると考えられるNGOに対する監視などを正当化する口実を作り出す可
能性があるとも言われています。
 最後に、法律原案の起草に関する透明性の欠如と、今月中に法案を採択さえ
ようとする政府の圧力によって、十分な国民的議論の促進が損なわれていると
いうことが報告で強調されています。
 提案された法案は、広範な適用がされる可能性があることから、現状で、ま
た他の法律と組み合わせてプライバシーに関する権利およびその他の基本的な
国民の自由の行使に影響を及ぼすという深刻な懸念が示されています。
とりわけ私は、何が「計画」や「準備行為」を構成するのかという点につい
て曖昧な定義になっていること、および法案別表は明らかにテロリズムや組織
犯罪とは無関係な過度に広範な犯罪を含んでいるために法が恣意的に適用され
る危険を懸念します。
法的明確性の原則は、刑事的責任が法律の明確かつ正確な規定により限定さ
れなければならないことを求め、もって何が法律で禁止される行為なのかにつ
(5ページ目)
しいて合理的に認識できるように 、不必要に禁止される行為の範囲が広がらな
いようにしています。現在の「共謀罪法案」は、抽象的かつ主観的な概念が極
めて広く解釈され、法的な不透明性をもたらすことから、この原則に適合して
いるようには見えません。
プライバシーに関する権利は、この法律の幅広い適用の可能性によって特に
影響を受けるように見えます。更なる懸念は、法案を押し通すために早められ
ているとされる立法過程が、人権に悪影響を及ぼす可能性がある点です。立法
が急がれることで、この重要な問題についての広範な国民的議論を不当に制限
することになります。
 マンデートは、特にプライバシー関連の保護と救済につき、以下の5点に着
目します。
1 現時点の法案の分析によれば、新法に抵触する行為の存在を明らかにする
ためには監視を増強することになる中にあって、適切なプライバシー保護策を
新たに導入する具体的条文や規定が新法やこれに付随する措置にはないと考え
られます。
2 公開されている情報の範囲では、監視に対する事前の令状主義を強化する
ことも何ら予定されていないようです。
3 国家安全保障を目的として行われる監視活動の実施を事前に許可するため
の独立した第三者機関を法令に基づき設置することも想定されていないようで
す。このような重要なチェック機関を設立するかどうかは、監視活動を実施す
る個別の機関の裁量に委ねられることになると思われます。
4 更に、捜査当局や安全保障機関、諜報機関の活動の監督について懸念があ
ります。すなわちこれらの機関の活動が適法であるか、または必要でも相当で
もない手段によりプライバシーに関する権利を侵害する程度についての監督で
す。この懸念の中には、警察がGPS捜査や電子機器の使用の監視などの捜査の
ために監視の許可を求めてきた際の裁判所による監督と検証の質という問題が
含まれます。
5 嫌疑のかかっている個人の情報を捜索するための令状を警察が求める広範
な機会を与えることになることから、新法の適用はプライバシーに関する権利
に悪影響を及ぼすことが特に懸念されます。入手した情報によると、日本の裁
(6ページ目)
判所はこれまで極めて容易に令状を発付するようです。2015年に行われた通信
傍受令状請求のほとんどが認められたようです(数字によれば、却下された令
状請求はわずか3%以下に留まります。)
私は、提案されている法改正及びその潜在的な日本におけるプライバシーに
関する権利への影響に関する情報の正確性について早まった判断をするつもり
はありません。ただ、閣下の政府に対しては、日本が1978年に批准した自由権
規約(ICCPR)17条1項によって保障されているプライバシーに関する権利に関
して国家が負っている義務を指摘させてください。
自由権規約第17条第1項は、とりわけ個人のプライバシーと通信に関する恣意
的または違法な干渉から保護される権利を認め、誰もがそのような干渉から保
護される権利を有することを規定しています。
さらに、国連総会決議A/RES/71/199も指摘いたします。そこでは「公共の安
全に関する懸念は、機密情報の収集と保護を正当化するかもしれないが、国家
は、国際人権法に基づいて負う義務の完全な履行を確保しなければならない」
とされています。
人権理事会から与えられた権限のもと、私は担当事件の全てについて事実を
解明する職責を有しております。つきましては、以下の諸点につき回答いただ
けますと幸いです。
1.上記の各主張の正確性に関して、追加情報および/または見解をお聞かせく
ださい。
2.「組織犯罪の処罰及び犯罪収入の管理に関する法律」の改正法案の審議状
況について情報を提供して下さい。
3.国際人権法の規範および基準と法案との整合性に関して情報を提供してく
ださい。
4.法案の審議に関して公的な意見参加の機会について、市民社会の代表者が
法案を検討し意見を述べる機会があるかどうかを含め、その詳細を提供してく
ださい。
要請があれば、国際法秩序と適合するように、日本の現在審議中の法案及び
その他の既存の法律を改善するために、日本政府を支援するための専門知識と
(7ページ目)
助言を提供することを慎んでお請け致します。
最後に、法案に関して既に立法過程が相当進んでいることに照らして、これ
は即時の公衆の注意を必要とする事項だと考えます。したがって、閣下の政府
に対し、この書簡が一般に公開され、プライバシーに関する権の特別報告者の
マンデートのウェブサイトに掲載されること、また私の懸念を説明し、問題と
なっている点を明らかにするために閣下の政府と連絡を取ってきたことを明ら
かにするプレスリリースを準備していますことをお知らせいたします。
閣下の政府の回答も、上記ウェブサイトに掲載され、人権理事会の検討のた
めに提出される報告書に掲載いたします。
閣下に最大の敬意を表します。
ジョセフ・ケナタッチ
プライバシーに関する権利の特別報告者


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