プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

柳田利夫

2016-12-24 17:32:50 | 日記
1964年

一番あとから帰りのバスにとびのってきた柳田の顔をみて長島がすっとんきょうな声を張りあげた。「いいぞ、リュウちゃん、きょうは気分最高だなあ」ナインの笑顔につつまれた柳田は、タナの上にそっとバットをおき、みんなにこづかれながら補助イスにすわった。「あのバットでもう三ホーマーしたわけです。どこにもころがっているようなしろものだけど、これから大事に使わなくちゃ・・・」七月六日北海道シリーズに遠征する前日に買った二百四十匁(900㌘)の平凡な国産バットだが、これで十九日の国鉄戦で2、3号をたたいている。「藤尾さんが四球を選んだのが大きかったんじゃないですか。あれがなかったらゲームセットでぼくのところまで打順がまわってこないし、もちろんホームランなど出ない勘定になるでしょう」真顔でおかしなことをいった。「それに実は藤尾さんが塁に出たとき盗塁のサインが出ていたんです。藤尾さんが走る気配もないのでどうしようと監督さんの方をみたら手で打てというゼスチャアをしている。もしあそこで盗塁失敗でもしていたらすべてはパーだったわけでしょ」近藤とは大毎時代に何回も顔を合わせている。「三十五年だったかな。彼が西鉄にいたころ平和台でホームランを打ったこともあります。きょうはもう藤尾さんを歩かせたところでバテてたんですね。二球つづけて真ん中にストレートを投げてくれればだれだって打てますよ」昨年の秋、手持ちの背広の裏生地に白い絹糸でリュウのししゅうをつけさせた。そのかわりネームは全部はずしてしまった。リュウの絵がネームがわりになると思ったのだろう。「だけどこんどはあの背広は着てこなかった。きょうのビクビクしている近藤の顔をみて考えたんだけどこれからこの無精ヒゲのこわい顔をしてボックスにはいってやろうかな」話を聞いていた王がニヤニヤしてふり返ると気のいい柳田はすかさずいった。「この一本ワンちゃんにやりたいよ。ワンちゃんが打ったことにするわけにはいかんかな」
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