プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

安木祥二

2017-02-20 20:48:38 | 日記
1969年

待ちかねたように、別所監督がダグアウトから飛び出していった。握手をし、手をたたき自分が勝利投手になったよりもうれしそう。「安木には、あとをまかせたんだ。ベンチに残っている投手は、渋谷しかいないんだから・・・」別所監督の声が、ダグアウトの裏にはね返る。汗みどろになり、ナインの祝福に頭を下げる安木に、岡嶋コーチがカミナリを落とした。「なにがありがとうだ。サインの見落としをしておきながら・・・。罰金ものだぞ」決勝の中前安打になった十一回表の打席。カウント1-3からファウルとしたが、実はこのタマが待てだったわけ。「ぜんぜん知らなかった。打席にはいる前、監督から軽くミートっして打てーといわれていたもんで」と頭をかいた。決勝の中前安打は安木にとってはプロ入り二本目の安打。2打数2安打の10割。アトムズでは安木、松岡などこの試合で登板予定の投手はみっちり打撃練習をしている。東京・杉並の合宿ではバットの素振りをかかさない。「投手も打てなくては・・・」という別所監督の方針が、勝利に結びついた。こんどの名古屋、九州遠征に出る前、安木は別所監督から秘密命令をうけている。緒方、浅野とともに、毎試合救援に出ることに決められていた。だから九回に村田を救援してマウンドに上がったときも心の準備はできていた。左打者の千原にぶっつけた策もうまくいった。「巨人戦で王、広島戦で山本一と左バッターは完ぺきに押えているから、かならずうまくやってくれると思った」と別所監督の信頼はあつい。千原への投球は得意のカーブ。スリークォーターから一度浮き上がるようにしてグイと落ちるカーブは、安木の最大の武器。球質が大洋のファイヤーマン平岡に似ているところからON封じの秘密兵器と期待されている。低めのシュートも威力があり、左打者へのワンポイント・リリーフにはうってつけ。当分は救援専門でいくが、いずれは先発投手に成長させたいのが首脳陣の考えだ。

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