作文小論文講座

苦手な作文を得意に。小学生から受験生まで、文章上達のコツを項目別に解説。作文検定試験にも対応。

プレゼントはダンゴムシ

2017-10-23 | 作文
 小学校4年生の女の子がお母さんに聞いた話として幼稚園時代の出来事を書いてくれました。


 女の子は、友達と公園でつかまえた、たくさんのダンゴムシをポケットに入れて、お母さんへのプレゼントにしたそうです。

 家に帰り、お母さんにお土産があることを告げると、お母さんは、「一体何かしら。」とにこにこ顔に。

 女の子は、ポケットからダンゴムシを取り出すと、お母さんの手のひらに乗せます。

 「まだあるよ。」と反対のポケットからも……。

 実は、このお母さん、虫が大の苦手なのです。

 お母さんは、すっかり青ざめてしまったようですが、お母さんのためにとつかまえてきたダンゴムシを受け取らないわけにはいきません。

 お母さんは、手のひらに乗っているダンゴムシが歩き出さないようにずっと手を揺らし続けていたそうです。内心、ハラハラしながら、震える声で「ありがとう。」と言ったものの生きた心地がしなかったそうです。


 数年経って、親子でこんな思い出話ができるのも作文の勉強のメリットだと思います。


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受験作文で知っておいた方がよいこと

2017-10-21 | 作文
 毎年、秋からは受験コースの生徒の指導が始まります。

 受験の作文について、知っておいた方がよいことはたくさんありますが(笑)、その中から二つ紹介したいと思います。

 一つ目は、どんなテーマであっても、明るく前向きに書くということです。

 たとえば、学校生活の中で一番印象に残っている出来事について書く場合、つらかったとか、嫌だったとか、もうやめたかったなど、暗く後ろ向きの内容ではなく、心洗われるような感動的な出来事を書く方がいいです。

 実際に生徒に書かせてみると、つらかったことが一番印象に残っている場合、それを正直に書いてしまいます。子供は、本当に素直です。

 もちろん、つらかったことを書いてよいのですが、つらかったけれどがんばったからいい結果になったというように、つらかっただけで終わらない工夫が必要です。そうすると、共感できる内容になり、印象がガラリと変わります。

 二つ目は、自分の問題として書くということです。

 学校についての作文で、「先生と環境によって良い学校かどうかが決まる」という感想でまとめた生徒がいました。大きく考えてまとめるという点ではすばらしいのですが、先生と環境によってではなく、自分の姿勢によって変わるというように他人任せではなく、自分の問題としてとらえる方が前向きでいい印象になります。

 小学生にとっては少し難しいかもしれませんが、この二つを意識するだけで、作文の出来栄えは変わってくると思います。


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必携 用字用語辞典 中型版

2017-10-13 | 作文
 受験生や社会人が知っておいた方がよい書き方の決まりはいろいろありますが、その一つは、ひらがなで書くのが一般的な言葉(「こと」「ところ」「とき」など)があるということです。

 意外と知られていないようですが、このような文字の書き方を調べるのに便利なのが「必携用字用語辞典 中型版」(三省堂)です。

 受験生や文章を書く機会が多い方は、まさに必携だと思います。

 必携 用字用語辞典 中型版





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思い出として残せるもの

2017-09-07 | 作文
 子供の幼いころの写真を見るのは楽しいものです。

 でも、思い出として残せるのは写真だけではありません。

 作文は、子供の内面の成長の証です。

 我が家でも、子供の作文は大事に取ってあります。パソコン入力ができるようになった小学校3年生からの作文は、言葉の森のHPに蓄積されていて、いつでも読むことができます。

 小学校時代から高校時代まで、ほぼ毎週(高校生になってからは欠席することも多かったのですが^^;)書き続けた作文は、写真以上のいい記念になっています。

 子供の作文は、かけがえのない宝物です。

 作文を書くということは、単なる勉強ではなく、長い人生の中の一コマを記録に残すという意味もあるのです。むしろ、そちらの意味合いの方が大きいと思います。作文を教える身として、そのことを忘れずにいたいと思います。


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「初めてできたこと」

2017-03-10 | 作文
 先日、4年生の女の子が、「初めてできたこと」というテーマで、うれしい作文を書いてくれました。

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 私が初めてできたことは作文です。なぜかというと、作文教室に行っていなかったときは、作文をうまく書けなかったし、あまり好きではなかったからです。通っていなかったときは、字を書くのもきらいでした。でも、ある日、お母さんがいい作文教室を見つけてくれて、ためしに教室に行って、作文を書いてみました。すると、まるで作文がうまい人のようにすらすらと書けたのです。作文を書くのも楽しいし、学校でも長く書けるようになって、自分でも何だろうとびっくりしました。字を書くのも速くなりました。

=====

 自分でも、どうして書けるようになったのだろうと不思議に思っているようですが、元々自分の中にあった言葉をうまく使えるようになっただけのことなのです。そのきっかけを作り、見守ってあげるのが先生の役割なのだと思います。事前指導をし、できたところをほめる。その繰り返しが作文の上達につながります。ときには、時間がかかることもありますが、信じてほめ続けていれば、必ず結果は出ます。保護者の方も、焦らずに温かく見守ってあげてほしいと思います。


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作文指導で大切なこと

2016-10-17 | 作文
 作文を教えるときに大切なことはいろいろありますが、基本は、ほめる指導をして書くことに自信をつけてもらうということです。

 小学校低学年のときに書いた作文を注意されたことがきっかけで作文嫌いになってしまったという生徒は少なくありません。

 模範解答があるわけではないので生徒にとっては、先生の評価が絶対的なものになります。まずは、一生懸命書いたことを認めてあげてください。

 子供の作文には、注意したくなるところがたくさんあるのが普通です。でも、そこには目をつぶってよく書けているところをたっぷりほめてください。

 ほめるためには、ほめる材料が必要です。その材料を作るために事前指導があります。作文を書く前に作文のポイントを説明しておくのです。

 そして、そのポイントができていたら大いにほめてあげるというわけです。

 言葉の森では、事前指導として項目指導を行っています。あらかじめ、作文に入れる項目を指示しておいて出来上がった作文にその項目が入っていたらそこを重点的にほめてあげます。

 そうすると、ほめられる側もどこをほめられているのかが分かりやすく自信を持つことができます。

 ほめることが大切な作文指導ですが、表記ミスなど、明らかな間違いは訂正する必要があります。ただ、表記ミスは、読む量が増えれば自然に直っていくので目くじら立てて注意する必要はありません。

 基本は、「ほめるときは大袈裟に注意するときはさりげなく」です。

 その場だけで直そうとすると注意にも力が入ってしまいますが、長い目で見ればちょっとした表記ミスなどたいしたことはありません。

 大人になっても「わ」と「は」、「お」と「を」の使い分けがわからないなどという人はいないのですから。ちょっとしたミスを注意したために作文嫌いになってしまったら元も子もありません。

 作文は、メンタルな要素が大きい勉強であることを忘れずに指導することが大事です。

 楽しく読書をして楽しく作文を書く。これが作文上達の近道なのです。


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「書くこと」と「書くことを教えること」

2016-10-07 | 作文
 「書くこと」と「書くことを教えること」は違います。

 もちろん、「書くこと」が好きな方は、作文講師に向いていると思います。

 では、日常的に文章を書いていない方が作文を教えられないかというと決してそんなことはありません。

 言葉の森の指導法にそって教えていけば生徒が無理なく学べることは当然ですが、先生も無理なく指導していくことができるのです。

 生徒と一緒に学ぶつもりで授業を進めていくことができます。

 大人であっても最初から完璧な文章を書ける人はいません。生徒とともに、一つずつ学んでいけばよいのです。

 教えるということは、自分も一緒に成長するということなのかもしれません。

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作文が苦手な生徒の指導法

2016-09-09 | 作文
 学年に関係なく、作文が苦手で全く書き出せない生徒がいます。無理に書かせようとすると、生徒も先生もストレスが溜まります。でも、話を聞きながら先生が作文を書き、それを見本として写してもらうようにすると生徒は安心して取り組むことができます。話をするのが苦手な生徒でも、一問一答形式なら答えてくれます。

 読む量を確保しつつ、見本を見ながら書くということを続けていれば必ず自力で書けるようになります。それまでは、あせらず、気長に明るい雰囲気でやっていくことが大事だと思います。

 作文の苦手な子には、まずやって見せてあげる――すべての勉強には見本が必要



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お国柄が出る作文

2016-05-11 | 作文
 小学校1年生の男の子の作文です。

 「シーミーにいって、うーとーとーをしました。」

 「シーミー」って? 「うーとーとー」って? 疑問は募るばかり……。

 ネットで調べてみると、「シーミー」とは、沖縄の伝統行事「清明祭」のこととわかりました。親戚や家族が集まって、お墓参りをし、ご先祖様のお墓の前で、ご馳走を食べて楽しく過ごすそうです。

 そして、「ウートートー」とは、手を合わせて拝むことだそうです。うとうととうたたねをすることではなかったのですね(笑)。

 この男の子、シーミーでは、さとうてんぷらを食べたそうです。

 「さとうてんぷら?」と思って、これも調べてみると、「サーターアンダギィ」のことだとか。これなら分かります。

 こんなふうにご当地ならではの言葉が使われている作文を読むのも楽しいものです。

 なんだか沖縄に行きたくなってきました。


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初めての作文

2016-03-03 | 作文
 体験学習中の小学校2年生の女の子から、初めての作文が届きました。電話では、はきはきと答えてくれていたので心配はしていなかったのですが、想像以上にがんばって書いてくれました。なんと、届いた作文は82円切手では足りない重さでした。

  

 「名前数字」「会話」「たとえ」「思ったこと」も全部入っています。まだ指導していない「声、顔、動作の様子」「長い会話」「いろいろな言った」なども自然にできています。そして、字数は1600字。すばらしすぎます。

 こんなふうにすらすらと長い作文を書ける生徒だからこそ、注意しなければならないことがあります。

 一つ目は、よくできたところをたっぷりほめ、表記ミスは軽く触れる程度にすることです。低学年では、当然のことながら、長い作文を書くほど表記ミスが増える傾向があります。そのミスを一つ一つ注意していては、生徒はいやになってしまいます。また、表記ミスは、学年が上がり、読む量が増えれば必ず直るものなので、重箱の隅をつつくようなことをする必要はないのです。そうすることによって、生徒がやる気を失ってしまっては元も子もありません。

 二つ目は、次回も同じレベルの作文を要求しないということです。字数にしても、内容にしても、気合の入った最初の作文と同じレベルを要求するのはかわいそうです。二作目以降、字数が減ったり、指導項目が全部入らなかったりしても、一つ一つの作文をそれぞれほめてあげることが大切です。作文は長い勉強なので、毎回毎回全力投球していたのでは疲れてしまいます。

 作文は、精神面の影響が大きい勉強です。周囲の大人は、子供がいつも気分よく作文を書けるように見守ってあげる必要があると思います。


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昔話の大切さ

2016-01-18 | 作文
 言葉の森では、中学2年生で「複数の意見と総合化」の勉強をします。対象的な二つの意見を挙げ、最後にそれらの上を行く意見で総合化するというものです。さらに、そこに昔話実例を入れます。

 中には、昔話自体をあまり知らない中学生もいるのですが、ほとんどの生徒は、「桃太郎」「一寸法師」「かぐや姫」などの昔話をうまく使って説得力のある実例に仕上げています。

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 物が豊かすぎると、地球環境に悪影響を及ぼす危険もある。今、地球温暖化が進んでしまっている。昔話のおむすびころりんの悪いおじいさんは、良いおじいさんのように宝物をほしがった。しかし、物欲のあまり、ネズミをネコの真似をして驚かせ、土の中でモグラになってしまった。今の地球に住む人間も同じである。生活を快適に過ごそうとするあまり、限りある資源を大量に使って、二酸化炭素を放出したり、無駄に電気を消費したりするなど、地球に悪影響を及ぼしてしまっている。

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 これは、ドキッとさせられる昔話実例です。幼いころに繰り返し読んでもらった昔話が、中学生になってからもこんなふうに役立っているのです。昔話のような単純な物語は、子供の心に印象深くに刻まれます。日本人は、昔話から善悪の判断を学んだり、思いやりの心を育んだりしてきたのだと思います。

 お母さん、お父さんは、お子さんにたっぷり昔話を読んであげてほしいと思います。


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読書好きな子供の作文

2016-01-12 | 作文

 読書好きな子供は、作文も上手なことが多いです。そんな読書好きの小学校5年生の男の子が書いた、水泳のクラス分けテストについての作文の一部を紹介します。この生徒は、いつも、本の一部を切り取ったかのようなすばらしい表現で、テンポよく臨場感あふれる作文を書いてくれます。

 4年生まではスイミングスクールに通っていたので、自信満々でテストを受け、いつも一番上のクラスに入っていたのですが、スイミングスクールをやめてしまったため、今回のテストはあまり自信がなかったようです。

=====

(テストを待っているとき)

「僕は放心状態だった。」

(テストの番が近づいてきたとき)

「僕は上の空だった。」

(さらに近づいてきたとき)

「僕は、他の人に緊張が感染したかのように、心の底から不安と緊張が膨れ上がり、上の空ではいられなくなった。」
「僕は自分に言い聞かせた。緊張があるというのは、自分の心の奥深くでは、いいプレイにしようと炎が燃えているのだと。」
「だが、そんなに緊張しなくてもいいだろっ叫ぶ自分も心の中にいる。二つの心がせめぎあって、つい僕はクスッと笑った。笑ったことで、僕の心の中に炎が宿った。」

(自分の番になったとき)

「落ち着けと自分に言い聞かせ、テストに挑んだ。」

(テスト中)

「やってみると、テストは苦もなく、泳ぐことができた。自分が余裕で泳いでいることに対して、僕は驚き、ホッとした。つい笑い出しそうになった。だが、我慢した。こんなところで終わってはたまらない。」

(泳ぎ切ったとき)

「水中で思いっきり笑った。嬉しい気持ちがあふれ出た。そのあふれ出した気持ちが、僕の名前を一番上のクラスの名前表に書き込んでくれたのだ。」

=====

 案ずるより産むが易し。テストの結果は良かったようですが、その結果を出すまでの気持ちの移り変わりが手に取るようにわかります。短い間に刻々と変化する心情を見事に言葉にしています。「緊張があるというのは、心の奥深くでは、いいプレイにしようと炎が燃えているのだ」とは、自分の心の内をよく見つめていると思います。確かに、いい結果を出そうと思わなければ緊張などしないでしょう。心の中の葛藤も冷静に観察しています。また、テスト結果を擬人法を使って表現したところも工夫されています。

 読書好きで、作文が得意な子供は、ときには、背伸びし過ぎて不自然な表現になることもあります。そんなとき、どんなに得意な生徒であっても、決して注意しないことが大切です。書くことに自信を持っている子供ほど、ちょっとした指摘に傷つき、自信をなくしてしまうことがあるからです。ほめることが大事なのは、どの生徒にも共通することなのです。



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親切をしたこと

2016-01-11 | 作文
 今週のテーマは「親切をしたこと」です。小学校3年生の女の子がお年寄りに親切をしたことについて書いてくれました。

 一つ目の話は、1年生のころ、荷物を持ったおばあさんに思い切って声をかけたという話です。学校に行くとき、目の前を重い荷物を持ったおばあさんが歩いていたので、「荷物、持ちましょうか。」と声をかけるのですが、「大丈夫。」と断られてしまいます。そのおばあさんは、「まるで風船をふくらます前のようによぼよぼ」だったそうですが、大きなランドセルを背負った1年生の女の子に荷物を持たせるわけにはいかないと思ったのでしょう。作文にも「おばあさんは、たぶん、めいわくをかけてはいけないと思ったのだと思います。」と書かれています。

 二つ目の話は、電車に乗っているときにおじいさんに席をゆずった話です。このときも、思い切って「どうぞ。」と声をかけるのですが、無視されてしまいます。「もしかしたら、お年寄りなので耳が遠かったのかもしれません。」と書いています。一つ目の話のときもそうでしたが、相手の身になって、想像したことを書いている点がすばらしいと思います。

 そして三つ目の話。やはり、電車の中でおじいさんに席をゆずった話です。三度目の正直で、おじいさんは、とてもうれしそうに、にこにこしながら席にすわってくれたそうです。女の子もほっとしたことと思います。すると、おじいさんは、荷物の中から何やら取り出し、女の子に渡したそうです。それは、なんと、今流行りの妖怪ウォッチのシールでした。しかも、かなりの数だったそうです。なぜ、おじいさんがそんなにシールを持っていたのかは謎ですが、そのシールは、神様からの三回分のご褒美だったのかもしれません。女の子は、そのシールを独り占めすることなく、一緒に出かけていた学童の先生に渡し、みんなで分けたそうです。

 小学校3年生は、作文の結びに、心の中で思ったことを書くことになっています。その女の子は、「親切をされる方は、もちろん、うれしいけれど、親切をする方もうれしくなるから、親切っていいなあと心の中で思いました。」としめくくっていました。これは、実体験を通してでないとわからない感想です。3年生ぐらいの子供にとって、大きな感想を書くのはむずかしいのですが、自分の体験をもとに、親切というものをされる側、する側の両面からとらえています。いろいろな視点から物事を考えられることは、作文を書くことの利点だと思います。


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作文のマンネリ化?

2016-01-11 | 作文
 低学年の保護者の方から、作文がマンネリ化しているという相談を受けることがあります。低学年のうちは、毎回「きょうのこと」という題名で、毎回、朝ごはんのメニューを書き、同じようなたとえを使い……というようなことはあると思います。でも、それをマンネリ化と呼ぶのは少し違うのではないかと思います。

 低学年のうちは特に習慣を作ることが大切です。その時期に、毎週、たとえ字数は短くてもきちんと作文を書いているということは、作文を書く習慣がしっかりできているということです。保護者の方は、まずそのことを認識することです。作文を書く習慣が身に付いたということは、非常に大きな収穫なのです。

 親が子供の作文にマンネリ化を感じたら要注意です。親が抱くマイナスの感情は子供に伝わるからです。たとえ心の中ではそう思っていたとしても、「いつも同じ作文で代わり映えしない」などという気持ちを決して顔に出してはいけません。せっかく軌道に乗ってきた作文の勉強がまた一からやり直しになってしまうからです。

 漢字を繰り返し書く勉強をマンネリ化と呼ぶ人はいません。計算も同じです。作文は、もちろん、創造的な要素があるので、漢字や計算の勉強と同じではありませんが、繰り返しが大切という点では同じです。繰り返し、つまり継続のないところには、変化も成長も生じないのです。

 種から芽が出るまでに、種の中でどんな変化が起きているのか肉眼で見ることはできません。しかし、種の中では、何かが刻々と変化しているのです。変化を確認しようとして種を開けてしまったら元も子もありません。芽が出るまで気長に見守ることが大切です。

 作文の勉強もそれと同じです。作文の勉強には長い時間を要します。マンネリ化しているように見えたとしても、見えないところで何かが変化しているはずです。その証拠に、いつまで経っても一年生のときのままの作文を書く生徒は一人もいません。種の中で何かが変化しているように、子供の内側では何かが少しずつ変わっているのです。

 作文にマンネリ化はありません。マンネリ化を感じるくらい作文を書いているのだとしたら、むしろ喜ぶべきです。お母さん、お父さんは、目に見えない変化を心で感じ、子供の成長をじっと見守ってあげる必要があります。マンネリ化と言う前に、継続力とまだ目には見えていない成長を多いにほめてあげてください。

 ローマは一日にしてならず。即効性のある美容法やダイエット法が危険なように、作文の勉強に即効性を求めるべきではありません。大きな花を咲かせるために、まず必要なことは、途中で芽を摘まないことです(笑)。作文の勉強は先を急ぐものではなく、じっくり育んでいくものなのです。


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小さいころから大切にしているもの

2016-01-10 | 作文

 言葉の森の小学校4年生の課題に「小さいころから大切にしているもの」というのがあります。小学校4年生ですから、この世に生まれてまだ10年くらいしか経っていないわけですが、自分が幼いころから大切にしているものについて紹介し、それにまつわるエピソードを書きます。自分が生まれたときに祖父母が買ってくれたぬいぐるみ、小さいころによく遊んだおもちゃなど、毎回、ほほえましい作文がそろいます。

 小学校4年生では、結びの工夫の練習をします。作文の最後を動作や情景を表す文で結ぶのです。「ぼくは、今日もそのぬいぐるみといっしょに眠ります」「私は、人形をそっとおもちゃ箱にしまいました。」といった具合です。中には、「祖父母に買ってもらったぬいぐるみは、今も押入れの段ボールの中で眠っています。」などというのもあります。講評を書くとき、思わず、「たまには押入れから出してあげてね。」とコメントしてしまいますが(笑)。

 さて、今年もその課題の週が巡ってきました。ある男の子が書き上げた作文を持ってきます。題名を見ると「小さいころから大切にしている人」となっています。長いこと作文の講師をしていますが、こういったケースは初めてでした。早速作文を読んでみると、「ぼくが小さいころから大切にしている人は家族です。」とあります。もうこれだけで感動ものです(笑)。読み進めてみると、お父さん、お母さん、二人のお兄さんがこれまでいかに自分のためにしてくれたことを思い出して綴っているのです。

 毎日食事を作ってくれていること、旅行に連れていってくれたこと、野球を教えてくれたこと、病気のときに看病してくれたことなどなど。そんな家族にいかに感謝しているかが切々と記されていました。そして、最後には、自分が大人になったら、家族に恩返しをしたいと……。誤字もあるし、4年生で習っていると思われる漢字もあまり使われていません。主語述語がうまく合っていない文もあります。それでも、いえ、だからこそ、その男の子の思いが十分に伝わってきました。読み手を意識して気持ちに飾りをつけて書いたわけではなく、自分の素直な気持ちをそのまま書いたということがよくわかるからです。

 作文には、子供の純粋な気持ちが表れます。そんな子供の気持ちに触れるとき、ほっとすると同時に忘れかけていたものを思い出すことができます。子供の作文から教えられることは、決して少なくないのです。
 あなたには、小さいころから大切にしているもの、ありますか?


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