まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

家具の宮崎 本店

2013-02-11 23:52:19 | 建物・まちなみ
今月の洋風建築めぐり講座は、京都夷川にある、家具の宮崎。
そういう建物が近々建て替えされるという話は聞いていたのだが、どんな建物でどこにあるのかは
知らなかった。
地下鉄丸太町からほど近いこの夷川という通りが、家具屋の集まるエリアということも知らなかった。
いきなりこんな大物が目の前に現れて、京都の奥の深さに恐れ入るばかり。。。


白いタイル貼りの壁と大きなウィンドーからなるファサード。MIYAZAKIの文字が素敵!
1936(昭和11)年、武田五一が監修、弟子の宇都宮誠太郎の設計で竣工した建物は
全く古さを感じさせないデザインで、またとても状態がいいように見える。
何で建て替える必要があるのだろう、と思ってしまう。


入口の天井にはオリジナルの照明。


ウィンドーガラスのアールが見事!


その上部、らんまの部分には花や木のポップな模様がサンドブラストによって施されている。
図案は宇都宮誠太郎の得意とするところ。


1階の展示場には八角形の柱が並ぶ。
この建物は意外にも木造であり、この柱も木骨にプラスター(西洋漆喰)を塗ったものだとか。
昔の写真を見せていただくと、もとは上部にぐるりと行灯型の照明器具がついていた。


ロの字型の平面構成になっていて、中庭の部分には噴水がある。
この変わった形の噴水は武田五一によるもので、テラコッタ製。
サボテンではなく万年青(おもと)であると、案内して下さった宮崎の若社長がおっしゃっていた。


ショーウィンドーと同じようなエッチングガラスが中庭に面した扉のらんまにもはめ込まれ、
鳥やリボンなどの模様とともにこの建物の竣工年である「1936」の数字が入っている。
この模様自体も何か意味がこめられているのではないかと思うが、実際のところはわからない。


足下はよくある溝入のクリンカータイルだと思ったら、布目模様のボーダータイルを5枚ずつ並べたもの。


階段もまたすごい!腰壁はこんな4色のグラデーションのモザイクタイルで埋め尽くされており、
手すりの部分は「更紗」と呼ばれる華やかな色合いの大理石がふんだんに使われている。


踊り場にはステンドグラスの縦長アーチ窓が2つあり、印象的な空間となっている。


女子トイレの壁のタイルとステンドグラス、この赤い大理石製の洗面台もオリジナルのままだとか。
なぜか高さがかなり低い。子供に配慮したのだろうか。


奥にある作業場のカウンターも、階段まわりと同じタイル使いの横しまバージョン。素敵!!
そのままバーか料理屋にできそうな空間。




この上で生地の裁断などをしていたのだろうか。それとも梱包のためのカウンターだったのか。
縦横に刻み込まれた刃物の跡を見ると、店員さんが忙しく走り回っていた光景が浮かんでくる。


裏には和館が併設され、茶室がある。茶室から見える庭も和風にしつらえられている。
さっき通ってきた事務室前の廊下の格子窓は外から見ると障子窓のように見えて違和感がない。


裏の階段もさっきのと同じようにモザイクタイルと大理石で、手を抜いていないのがすごい。
2階に上ると、メルヘンチックな図案入りの4枚の引き戸が目に飛び込んでくる!カワイイ~~
人魚や馬、貝、ヨット、ティーポット、パイプなど、


この扉の中は応接室?窓際にはソファが作りつけらていたという。飾り暖炉のグリルや左右の
物入れの扉もとっても素敵。緑色の縞模様の大理石もあまり見ないもので珍しい。


この建物は木造だが一部に鉄筋コンクリートの柱が仕込まれているために今もゆがみやひずみが
少ないのだとか。特に傷みもないのに建て替えを余儀なくされた理由の一部には税金面の事情などが
あるようだ。社長ご自身も大変残念がられていたが、見学者の私たちにほんとに親切にいろいろと
案内・説明して下さり、ブログへの掲載もOKでむしろ喜んで下さっているようだった。

せめてなくなる前にじっくり見れてここに残すことができてよかった。
どうもありがとうございました!


ひろ009さんmayumamaさんの記事もどうぞ。

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16 コメント

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宮崎のカウンター (quatrefoil-window)
2013-02-12 22:05:05

以前からブログは拝見させていただいてましたが、初コメントになります。どうぞよろしくお願いします。

宮崎のカウンターに刻まれた痕の写真から、店員さんが走り回っていた光景がほんとうに浮かぶようでした。

歴史を感じるいい写真ですね~
こんな風に私も写真を撮りたいです。

宮崎はタイルがたくさんあって素敵でしたね。



返信する
Unknown (mayumama)
2013-02-12 23:03:11
こんばんは!
ほんとにいい写真がたくさんですね!
おんなじものを撮っててもアングルが違うと別物のように思えてしまいます。
年季の入ったどっしりとしたカウンターの天板いいですよね。
階段とカウンターをセットで欲しいですね~(笑)
返信する
ローアングルとアップの迫力 (ひろ009)
2013-02-13 00:08:19
こんばんは。
土曜日はお疲れ様でした。
「家具の宮崎」さん、素晴らしかったですね。

今回もぷにょさんの写真の”ローアングルとアップの迫力”に凄いなあと思いました。
やっぱりカウンターの写真がベストですかね。
返信する
quatrefoil-windowさん、 (ぷにょ)
2013-02-13 00:29:37
ようこそ、いらっしゃいませ!
以前から見ていただいていたのですか~
ありがとうございます!
でも洋風建築めぐりのことは時々しか書けていないんですが・・・(汗)

ほんとに、宮崎の階段のタイルには驚きました!
ああいう効果も出せるんだな・・と。

これからもよろしくお願いしますね!
返信する
mayumamaさん、 (ぷにょ)
2013-02-13 00:39:28
階段もカウンターも、すてきでしたね~
せめてカウンターの方だけでもどこかで活用できそうです。
mayumamaさんもお家を改造するときにあんな風に
タイルを貼ったら?
返信する
ひろ009さん、 (ぷにょ)
2013-02-13 00:44:33
どうもお疲れ様でした~
ほんと素晴らしかったですね!

いやぁ~いつものことながら皆さんが先にアップされたので
かぶらないアングルの写真ばかりセレクトしたのですよ・・・
部分邸な写真ばかりになってしまった感じです。
使い込まれたカウンターは飾り物でない歴史の深みを感じさせましたね。

返信する
Unknown ()
2013-02-13 17:16:27
 あの蛇口 もう作ってる処ないでしょう。
 真鍮ですか?鈍い照りかえしに、昔人形町
に在った床屋を思い出しました。もう無い景色
です。
返信する
仁さん、 (ぷにょ)
2013-02-14 00:07:42
こんばんは!
あの蛇口は真鍮でしょうね。人形町の床屋にありましたか。
HORUSというのがメーカー名みたいですね。
検索してみたら、よく似た形のは今もあるようです。


返信する
初コメです(緊張~!!) (ししー)
2013-02-15 12:15:38
ぷにょさん、こんにちは♪
 NHK梅田講座に東京から毎月参加してる<ものずきな、ししー>です。
 私も以前からずっと読み逃げでしたが、「顔合わせ(笑)」もすんだので、初めてカキコさせて頂きます。
 実は、ずっとぷにょさんは男性の方なのかと思ってました。スイマセン!個人的な意見で申し訳ないですが、なぜか写真のアングルとかが、男らしくかんじたので...そこが私好みなのですが
返信する
ししーさん、 (ぷにょ)
2013-02-15 14:54:56
あれっ、初めてでしたか。ようこそいらっしゃいませ!

東京から毎回はるばると・・・すごい気合いに感服します~
先生も、東京からわざわざ来て下さるのだからレアな物件を、と
考えておられるのか、ここのところ特に充実度が高いような・・・(笑)

男性と思っていた、とはよく言われます。ぶっきらぼうな文章だからでしょうね(苦笑)
写真が男らしい、ふふふ、写真にも地がでますか(笑)。でも気に入って頂いて嬉しいです~

読み逃げとかぜんぜん気にしませんし大歓迎ですよ~
感想とか補足、間違い指摘など、なんでも口を挟んで下さればより嬉しいです!
これからもお願いしますね~
返信する

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