私、小学校の頃、学校にあった「江戸川乱歩少年推理文庫」(だったと思う=写真はそのシリーズの一冊「黄金の怪獣」)を読みあさったことがあります。もちろん「怪人20面相と小林少年」とか「魔術師」とか、ちょっと耽美で推理力を働かせる小説に胸を踊らせたものです。
で、その中に「大暗室」という作品がありました。それは帝都のお金持ちの男が金にあかせて、東京の地下に大暗室(大きな空間)を作って、そこに自分の美術品コレクションと共に、帝都の名家のお嬢さんたちをさらってきて「人魚にして」展示するという犯罪行為に出ます。その男は、自分だけで愉しむだけでなく、新聞記者たちもさらって自分の「大暗室」を見せて記事を書かせて帝都を震撼させるという「劇場型犯罪」までやってのけるというお話です。最後は小林少年に大暗室への入り口(たしか地下鉄のトンネルの脇)を見破られ破滅するというお話でした。感想としては「へえ、大掛かりな犯罪だな」程度だったのですが、実はこの小説はあくまで“子供向け”だったのです。
で、高校生となり“大人向け”(乱歩が書いた原作)の「大暗室」を読んだ時にはかなりキマした。それは「人魚」としてさらわれたお嬢さんたちと男との関係。男は「もう2度と地上には出さない」と宣言し「一生に人魚として飼ってやるからな」と狂気の言葉でお嬢さんを責めます。絶望に涙するお嬢さん。
実は“子供向け”には大暗室のイラストがあって、美術品が点在する中に池が設けられた、その中に「人魚」(ディズニーの人魚姫のようなスタイル)がいる(それを新聞記者が見ている)という構図でした。ところが“大人向け”では「人魚」にされたお嬢さんたちは胸も露に上半身裸!! “子供向け”とは段違いでした。また、事件後、救出されたお嬢さんたちが長く好奇の目に晒されて「キズモノ」として扱われるような酷い表現もあったように覚えております。
さて、同時期もっとスゴイ「大暗室」を見ます。それは東京12チャンネルが夜にやったテレビドラマ「天知茂の美女シリーズ」の中の「天国と地獄の美女」(原作は「パノラマ島奇談」)です。パノラマ島奇談は、遺産で巨万の富を得た男が、小さな島に夢想郷をつくり上げるというお話です。つまり「大暗室」と路線をいつにするものです。
で、私の高校生の頃の12チャンといえば「お色気路線」が売り、「プレイガール」などもこの時間帯に放映されておりました。さて、ドラマは天知茂演じる明智小五郎と、実は怪人20面相という設定の島の主が対決する物語です。本来の「大暗室」や「パノラマ島奇談」の設定は大正デモクラシーの時代なのですが、現代(昭和)の東京に翻案されております。
名家の上品で美貌を誇るお嬢さんたちが次々に明智小五郎の前で誘拐されていき、全員が、島に幽閉される・・というところは小説と一緒なのですが、誘拐されたお嬢さんたちは全員が裸に剥かれます。そして、ずばり「生きている美術品」として、男の鑑賞とコレクションの対象になるのです。
そして、逃げようとしたり抵抗するお嬢さんがいると「鞭打人」と称する女に鉄格子に磔にされてムチ打ちのお仕置きが施されます。あげく男は、明智小五郎にほのかに恋心を抱いている美少女をさらい、ビキニのパンティ一枚だけに剥いたうえ「俺の妻にしてやる」とティアラを頭の上に載せ、強引に結婚宣言をします。お嬢さん危うし(貞操の方)というところに明智と警官隊が乱入。男は煙玉を爆発させ逃走を図ります。もちろん、大暗室の中は大混乱。警官隊と裸の女が入り乱れるというカットがありました。中にはどういう演出か(あるいは目立とうと思ったのか)パンティなしの素っ裸という人もいたような(笑)
この「大暗室」や「パノラマ島奇談」に影響を受けたのではないかと思われるのが西村寿行先生の「怒りの白き都」という小説。出世からも妻からも見放された男が、たまたま趣味のハンティング中に誰も知らない鍾乳洞を発見。飲み仲間と一緒に近くにいた女子大生3人をさらって、その鍾乳洞に幽閉して性奴隷にします。やがて、男たちの犯罪に気づいた警察は美しい女刑事・青葉京子と若い警官をペアにしての囮捜査に出ますが、男たちの必死の反撃に2人は捕まり、脅迫された京子が警官を殺します。京子も当然、性奴隷にさせられます。やがて、もっと金が欲しくなった男たちは女刑事を使って、地元ヤクザの賭場を襲撃。男たちは京子を見捨てて金だけ持って逃走し、残された京子は素っ裸(西村先生表記では「素裸」)”)。にされて凌辱を受けます。が、スキを見て男を倒し、逃走・・てな話でした。
「大暗室」にせよ「怒りの白き都」にせよコンセプトは『密室に女を連れ込んで性奴隷にする』という流れは同じです。で、なんで「大暗室」のことを思い出したのかといいますと世界体操で演技を見せたお嬢さんたちを「生きている美術品」として、鑑賞とコレクションの対象にできないか・・と妄想したことからです。
理恵さんとか、理恵さんとか、理恵さんとか(笑)。