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入試英語国語社会 伝説の漏洩 1980

2017-09-03 22:59:47 | 新聞から
早大で入試問題漏れる 「事前に解答作った」 学生"通報" 商学部の三教科分

 早稲田大学(東京都新宿区西早稲田、清水司総長)で二月二十四日に行われた商学部の入学試験の問題が事前に漏れていた疑いが五日出てきた。大学当局によると、同学部の試験の直後に数人の学生が「試験日の十二日ほど前に同じ問題の模範解答を都内の進学ゼミナールに頼まれて作った」と、模範解答を作った問題のコピーを携えて届け出た。コピーを検討したところ、入試問題と酷似しており、事態を重視した同学部教授会は、直ちに本格的な調査に乗り出した。

会社員→進学塾→学生

 大学当局によると、商学部の入学試験が行われた二十四日、大学本部に学生数人が訪れ、入試問題のコピーを持って「事情は知らなかったが、十数日前にこの問題の模範解答を書いた。問題が同じなので事前に入試問題が漏れたとしか考えられない」と申し出た。
 同本部が問題のコピーと同日の社会科の問題全部と照合した結果、一字違わずぴったり一致したため、事前に入試問題が漏れた疑いが濃いと判断、コピーを持ち込んだ学生から事情を聴いた。この結果、二月十三日ごろ都内のA進学ゼミナールの責任者からコピーの模範解答を求められ一日がかりで正解を書き、謝礼として現金十数万円を受け取ったという。
 模範解答を寄せた学生は、早大商学部のほか、都内の有名私立大学の学生も加わっていることがわかった。これまでの調査で学生たちは「事情を知らずに正解をつくったが、これが早大商学部の入試問題とは知らなかった」といっているという。
 同本部は、入試問題が事前に漏れたことに大きな衝撃を受けたが、商学部では、採点などでわかる外形上の範囲で不正入学をチェック、入試判定を進めた。同本部は「どんなルートで漏れたかはっきりつかめていないが、今後学生や進学ゼミナールから、さらに詳しい事情を聴き、真相究明を続ける」と語っている。
 同学部の入試は、英、国の二教科二科目と日本史、地理Bなどの社会科や、数学のうちから二科目選択で、合計四科目。学生たちは「英、国、社の五科目の問題の模範解答を作った」と語っている。同学部は、定員千百人に対し、二万三千人もの受験者があり、六日に合格発表が行われるが、早大始まって以来の不祥事に発展する可能性もある。
 一方、学生たちに模範解答を依頼したAゼミナールの話では、神奈川県に住む顔見知りの会社員、Bさんから二月十二日ごろ「解答速報を作ってくれないか」と頼まれた。同ゼミでは、早稲田大学の学生十四、五人に国語、社会、英語の問題などをコピーし、それぞれの学生が手分けして解答を出した。同ゼミはその日のうちに解答と問題を回収、翌十三日の午前中にBさんに渡した。
 Aゼミでは、Bさんから五科目六十万円で問題解答を依頼され、学生にはアルバイト料として三十万円を支払った。学生はこのうち十万円をAゼミに返したという。
 Aゼミの責任者は「問題の速報解答は、どこの塾でもやっている。速報解答を引き受けた時は、どこの大学のものか全く知らなかった。アルバイトの学生や大学当局者から指摘を受けてビックリした」といっている。
 早大の宇野政雄理事(商学部出身)によると、商学部の入試は、田中喜助学部長と教務主任の小林太三郎教授(広告論)塩原一郎教授(簿記)教務副主任の小林基教授(英語)嶋村紘輝助教授(独語経済学)の五人で構成する入試委員会が中心に作成したという。
 小林太三郎教授は「いつつくったかなどは言えないが、試験問題はあるところの金庫に厳重に保管してあった」と語っている。

大学が真相究明へ

 西原春夫・早大理事の話 入試問題が漏れた疑いは極めて濃厚だ。しかし、どんな形で漏れたのか、まったく不透明で、何かキツネにつままれたような感じだ。真相究明には時間がかかりそうだ。ただ、模範解答を作った当大学の学生が事件にからんでいないことだけはいえる。
 小林太三郎・早大商学部教授(教務主任)の話 どこでどうもれたのか、私たちができる範囲でチェックを始めた段階だ。現段階で詳細はわからない。六日の合格発表は社会的責任もあり、予定どおり行うことにしたが、もし合格者の中に漏えいに関係した学生がいることがはっきりすれば、教授会に処置を決めてもらう。

毎日新聞 1980年3月6日
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