今週の『ウルトラマンメビウス』第20話。
○登場怪獣&宇宙人
【ゲスト】
宇宙凶険怪獣 ケルビム,凶暴怪獣 アーストロン
【マケット】
マケット怪獣 ウィンダム(マケットウィンダム),マケット怪獣 リムエレキング
【ウルトラ族】
ウルトラマンメビウス(通常態/メビウスブレイブ)
○前書
今回のエピソードは前回とはうって変わってギャグテイスト満載―という感じのものでしたが,笑えるかといえばその様にも思えないし,見終わった後の感想を簡潔に書くと,
脚本家が書きたいテーマに,キャラクターを無理やり合わせた感じ
というのでしょうか。
どうにもチグハグ感を感じた様な―そんな感じですね。
いまひとつきちんとした説明になっていない様なので申し訳ないのですが,バランス感が無く,アンバランスに傾いている―といってもいいのかも。
次回(第21話「虚空の叫び声」)とのバランスを考えて(※註:あくまで予告編を見た限りでの判断。『メビウス』初の前後篇という事と,ミライと同じ声の持ち主が登場する事,サコミズ隊長がミライに掛けた言葉の内容からそう判断しました。)のものなのかもしれませんが,もしそうだとしても今回のエピソードは,ちょっと軽すぎる感はありました。
従っていつもの感想記事とは違い,「これっておかしいんじゃ」云々の形式になりましたのでご容赦下さい。
○本題
では,幾つかをピックアップ。
- 謎のGUYS総監
番組が開始して1クール以上経過し,主要キャストもほぼ揃った感のある『メビウス』ですが,同番組でただ1人存在が明確になっているにも拘らず,未だに登場しない方―といえば,この御方。
GUYS総監
その人です。
GUYS総監はいつも不在で,ミサキ総監代行がその任にあたっているのですが,これまでのエピソードから考えると,別に総監がいてもいなくともミサキ女史がその任を全うしている(上に,任務遂行上,何の支障も発生していない)ので,
いてもいなくても同じ
の様な存在のように思われる(笑)のですが,GUYSの本部はニューヨークにあり,総監はそこでの任務が主要だとすると,別にCREW GUYS JAPANに常駐していようがいまいが構わない訳で,そう考えると今回のエピソードは,
別に描かれようが描かれまいがどっちでもいい
様に思われる―かもしれません。
尤も,これまでのエピソードは軒並べて怪獣や宇宙人が日本に頻出しているせいもあるのでしょうが,GUYS総本部としては怪獣や宇宙人が出現する日本の動向が気にかかる事もあって,総監がよく立ち寄る―といったちょっとの台詞で無問題…となるんですが,どうでしょうか。
ただちょっと気になる事があって,GUYS総監=サコミズ隊長―という説があるようです。
今回のエピソードで,サコミズ隊長が「総監の伝言」をトリヤマ補佐官に伝えた―その後の彼の様子を見て微笑むサコミズ隊長とミサキ総監代行の構図―という事もありますが,それまでのエピソードを振り返ると―,
◇第4話「傷だらけの絆」で,ミライの様子について話しているシーン
◇第16話「宇宙の剣豪」でのラスト,コーヒーカップを渡す時の台詞
と,この2点で二人の関係が朧気になっている感じがします。
特に後者は,立場上自分より上の人間に向かって「ご苦労様です」と言っている―ミサキ女史が堅苦しい言い回しを嫌う性格の場合は,それもありうると思ったのですが,今回のエピソードではその様には見えないので,微妙な意見ではあります―という,放送終了後に「そういう言い方はありえないのでは?」という意見を見たことがあり,ひょっとしたら役者さんの言い回し方で意識的/無意識的に言った可能性を除外すると,可能性としてありうるのではないかと思われます。
ところで,総監の噂をしていた CREW GUYS JAPAN の面々ですが,どうやらそれぞれが聞き込んだ総監の噂話は,歴代の防衛隊隊長のことを示唆している―といった様です。
ですが,昔から「噂話ほど当てにならないものはない」という標語(?)もある事ですので,たぶん違うのではないか―と。 - うっかり八兵衛ならぬ,うっかり補佐官
それにしてもGUYSは違いますが,この御方に
機密保持
という言葉はご自身の辞書にはなかったんでしょうか?
うっかりどころか,ペラペラ喋りすぎ…(苦笑)。
というかですね…,トリヤマ補佐官はコメディーキャラとしては十分過ぎるほど機能している(例:第12話「初めてのお使い」)ので,匙加減さえ間違わなければ十分機能できるキャラだと思ったのですが―。
今回はギャグ方向へ動かし過ぎ
感が強く,その結果「どうしてこういう人が組織の重職についているの?」感を強くしたのではないかと思います。
単純に年功序列で今の重職にいるのだとしたら,(今回のエピソードを見る限りでは)そのほかの人のサポートがあって,トリヤマ補佐官には何の役も立っていないのか,それとも所々でクリーンヒットは打つけれども,平素が平素なだけに,プラスマイナスゼロになっているのか―色々と考えられるわけですが,それでも,どうして感は拭えない感じがしますね…。 - 狂言廻し的ポジション(?)のミライ
酷いといえば,今回のミライもそう。
但し,彼の場合は「扱い」という面だけで済んでいるので,まだ救いがあるのかもしれません。
ただその扱いも,単なる「何考えてんだ,お前」レベルですが,そのくらい今迄のエピソード中で一番酷かった…と当方は思っています。
トリヤマ補佐官がメテオールの秘密をうっかりばらしてしまった事に「それのどこがいけないんですか?」の返答って…。
いや駄目でしょ,それは。
同僚の隊員が反対するのも無理はありません。
記者が指摘した様に,「メテオールが何時ハザードレベルが高くなる」可能性もあるわけです。
使用時間に制限をつけている―ということは,それだけ危険性が無い段階での使用がギリギリになっている事の現われとも考えられるんですよね。
全てを把握していなくても,なんとなくのレベルでもいい。
普通はそういった考えに及ぶものではないかと思うんですが,それにしても酷い―。
今回のミライは地球の風俗を知らないレベル以上という感じでしょうか,または,”酷いってモノではないですよ,呆れ返る位に主役がそういうのでは駄目だろう”―という感じでしょうか。
まさか某番組の様に,このエピソードが「夏だから」という理由で作られたものではない―と信じたいです…。
仮病で視察をサボった(理由は判りますが)補佐官を(本人としては)真剣にフォローしている所は,まだ見られた部分かもしれませんが,これだって個人差が発生するかもしれません。
変に笑いをとろうとして,キャラクターが変になってしまったら―。
目も当てられない人もでてくるのではないかと思うんですが…。 - ハーメルンプロジェクト
元ネタは,やはりこれでしょう。
”ハーメルンの笛吹き男”
遠隔操作で怪獣を誘導し,意のままに動かす―というコンセプト自体は面白いものかもしれません。
マケット怪獣の出現の唯一のデメリット―1分間の活動―を抑えることが出来るのですから。
ただこのプロジェクト,実用には大いに問題があると言ってもいいのかもしれません。
誘導の対象が,過去に誘導できる事を確認できた事例の怪獣に限られる事と,その誘導制御は完成途上にあり,実用段階には程遠いレベルといって差支えが無い事。
更に問題があるとすれば,その誘導に遣われる怪獣を熟知していて,かつ,逆制御の能力を持っている(あるいは,器具を有しているでも構わない)存在が居たとしたら,その存在によって操られるケースもあるわけです。
ちょっと例えにすると強引かもしれませんが,アーストロンを操ったケルビムは誘導電波装置を媒介にしている様でしたから,第3者がより強力な誘導電波を発していた場合,無効化されることは言うまでも無く―。
(この場合,アーストロンに誘導制御される器官が存在して居れば―ですが,どうやらあるようにも思われますし。)
それにしても実験でウィンダムを使用していましたが,そういえばウィンダムは,過去に宇宙人に操られた(『ウルトラセブン』第24話「北へ還れ」にて,カナン星人によって操られた)事があるんですが,勿論,その”記憶”がある事は当然熟知し,かつ,解決しているのか―という疑問もあります。
それらの問題点が解決しない限り,このプロジェクト,すぐに廃案になる可能性もあるんですよね。 - アーストロンは噛ませ犬なのか?
それにしても今回のアーストロン,扱いが酷かった―と感じています。
『帰ってきたウルトラマン』の第1話「怪獣総進撃」でも,エピソード丸ごと登場せず,確かBパートのみの登場という,扱いからくる印象度はやや低いものがるのかもしれませんが,その時より今回の扱いは酷かったのかもしれません。
登場すること自体には問題はないのですが,ケルビムに操られる際のシーンが,トリヤマ補佐官とマル補佐官秘書との関連性で,「上司と部下」の位置付けにするには少し難しい(というより,「ボスと部下」という位置付けでもいいのかもしれません)のではないかと思いました。
そのうえ,誘導が解除された時点でケルビムに襲い掛かるのはよしとしても,メビウスブレイブに纏めて倒される所は,扱いが酷いで済むのかどうかと思いました。
これでは,両者とも共倒れになってしまっても,何の感傷もないのではないかと思います。
もう少し,怪獣を魅力的に描いてほしい―そう思います。 - 総監代行としての側面と,補佐官秘書としての側面
そんな中で,今回描かれ方がマシなものだったと思われるのは,ミサキ女史とマル補佐官秘書でしょうか。
ミサキ女史は,総監代行としてきびきびと指令を下していましたし,マル補佐官秘書はトリヤマ補佐官を(やや上手い表現で)フォローしていましたし,マシに思えたのはこの二人―でしょうか。
ミサキ女史は,序盤には「その言い回し方が総監代行にはちょっと見えない」という指摘があった書き込みを見たことがありましたが,前述の第16話では,その言い回し方を解消するかのように,次第に指定を下す立場として様になっている感じがしました。
今回もその時と同様に様になっていましたよね。
マル補佐官秘書もギャグシーンを除くと,フォローの仕方や,ケルビムとアーストロンの関係を指摘するのに一役買っていたりと,結構な見せ場を披露していると思います。
ただ,ミサキ女史を助けようとして鉄骨を抱えた時の「油断大敵」は不要だと思いましたが。
ああいう注意書きって,見たことがありませんよね。
多分,ギャグシーンの一環でやった事なのでしょうが。 - 隊長の出撃
そういえば,ギャグシーンに重なっていて何気なく見落としがちになるそうなのですが,今回は―,
サコミズ隊長の初出撃
だったんですよね…。
でも見せ場としては,増幅装置の破壊だけでこれといった見せ場はなかったのですが,せめてメビウスが怪獣への反撃が出来るように,致命的ダメージを負わせる位の活躍はほしかった所です。
または,ケルビムの進行を阻止するとか,そういった見せ場でも構わなかったのですが,それだとメビウスより目立ってしまうので「却下」されたのでしょうか―(違)。
○次週の3本立て
ということで,次回は―。
- (もう一人の)ミライの声が聞こえる送信の謎
- ボガール,再登場の謎
- 出撃するミライに声をかけたサコミズ隊長の言葉の意味
の3本立てでお送りいたします。
では,また来週―。
今回のエピソードについては,脚本云々というより演出でも修正しようと思えば出来る(アニメと実写の違いは,こういう点にもあるものと考えています)と思っているので,演出で軌道修正しようと思えば出来なくのかもしれませんが,その比較対象が視聴者サイドでは出来ないのと同じなので,どこに責任の所在を―という点では,ちょっと論じ難いと考えています。
このBlogで前回(第19話)の感想でも書いたのですが,『メビウス』は2つの出来事を並行して描こうとしているのが顕著なんですけれども,担当する脚本家や演出家によって判りやすくまとめている場合もあれば,少し消化不良になった場合もあったりと,描かれ方に大差があると思っています。
その上今回はギャグ篇という事で,ギャグって扱い方によれば描き方が難しいことが在ると当方は考えています。
簡潔に言ってしまえば,ギャグを面白く感じるかそうでないかは,個人個人が持っている笑いのツボとか,視聴対象者の年齢差―というのも関係してくるので,万人に受けるものって描き難いのではないか―と思っているんですが,今回はちょっとそれがズレたのではないかとも思っています。
因みに当方は,今回のエピソードについて要約すると「ギャグそのもののエピソードが悪い」というよりは「悪ノリし過ぎて笑えない」という感じが強かったですね。
サコミズ隊長=総監説については,現状では「コメントのタイトル通りの域」ではないか―と解釈しています。
ウルトラの父=総監説,でも面白いかもしれませんね。
その代わり,そうなった場合は「タロウ以上の過保護では?」という意見が出てきそうだと思いますが,説そのものは面白いと思います。
そういえば,西岡徳馬氏がウルトラの父の声を担当したきっかけというものが,現状ではハッキリしていないんですよね。
”隠し味”としての総監役とのダブルキャストならあり得るかもしれませんし,西岡氏自身も特撮経験者ですので,そうなったらなったで面白いかもしれませんね。
今回はサコミズ隊長エピだったので(笑)、またしてもオジャマしました。
ウチの場合、メビウスに関してはあまり深く考えずに楽しく見ているもので、彩賀師匠の感想を伺って
初めて「ああ、確かに!」と膝を打つことが多かったです。
トリヤマ補佐官の失言(?)についてGUYSの他のメンバーから指摘されるミライの変なリアクションは、
単純に「(ミライは)人間ではないから」と解釈したんですけど、その後延々続いたやり過ぎ芝居には
正直引きましたね(苦笑)
あの場面に見られたような過剰演出が今回は多くて、たしかに鼻につきました。
(“ダンシング・ウィンダム”を見た瞬間は失笑どころか目眩がしましたし)
ミサキ女史とマル補佐官秘書に関しては、好意的な印象を強くするエピに仕上がっていましたけど、
果たしてそれと総監の正体バラシ(結果的にはバレてない)を絡める必要があったかなぁ、とも思ったり。
(あれもこれもと手を出しておいて、結局中途半端なカンジが・苦笑)
「サコミズ隊長=総監説」もイマイチ確信に至るトコまでは行きませんでしたし、なんか楽しみに
してたわりに、肩透かしを食らったみたいで消化不良でした。
まぁ、隊長の初出撃は嬉しかったんですけど(笑)
今回のエピソード程「これはちょっと…」という点で,他のBloggerさんと感想が一致しているのはホントに珍しい様な感じがします。
ギャグについては先のコメントで当方の考えをあらかた書きましたので省略しますが,今回のエピソード。
○前回のあらすじ(主要箇所のピックアップ)
○本筋になくても構わないエピソード
○笑うのに戸惑う様なシーン
といった点で見ていると,平成ライダーの「夏エピソード」の様な感じがしているんですよね…。
ヘンにそういった点で似ているような感じというか。
そういえば,某地域で本日放送される『カブト』第29話は,思いっきり”本筋になくても構わないエピソード”=夏のエピソードなんですよね…。
このエピソードも「賛否両論」だったような気がしますが,放送前の今の時点で考えると…(以降,省略)。