Luna's “The Humanities for Economics”

もはや世界はカジノだ。人間が生きるための明日を探そう。経済・金融ニュースのスクラップ!

前日の閲覧数
31PV
+SHARE
Twitter Facebook RSS

「太陽光」電力買い取り、来春にも 「世界一」奪還狙い


 

■最大100円、電気代値上げに不満

 政府は「クリーンエネルギー」である太陽光発電の普及拡大のため、太陽光で発電した家庭などの余剰電力の「固定価格買い取り制度」を来春にも導入する。これに伴い一般家庭の電気代は最大月100円程度の値上げになる見通しだ。政府は、太陽光発電「世界一」の座をドイツから奪い返す野心的な政策と位置づけるが、負担増に不満の声や、普及の効果を疑問視する声もあり、議論を呼びそうだ。【平地修、大場あい】

 日本は05年、太陽光発電の導入量でドイツに世界一の座を奪われた。ドイツは91年に固定価格買い取り制度を導入し、急速に普及が拡大。一方、日本は太陽光発電導入に対する補助金を05年に打ち切ったことで普及の伸びが鈍化した。07年末の総導入量は日本の191・9万キロワットに対し、ドイツは386・2万キロワットと差は2倍に広がっている。

 政府は昨年7月に打ち出した地球温暖化対策で、太陽光発電の導入量を20年に現状の10倍、30年には40倍に引き上げて世界一を奪還する目標を掲げた。経済産業省は、普及拡大策として今年1月に補助金を復活させたものの、買い取り制度については否定的だった。

 だが、20年に10倍増とする目標の実現には、7割の新築住宅に導入が必要となる。「補助金だけでは対策は不十分だ」として、与野党からドイツなどで実績のある制度導入を求める声が強まり、経産省は方針転換を余儀なくされた。二階俊博経産相は「1人の100歩よりも1万人の1歩が大事」と、国民全員による一定の負担に理解を求める。

 制度案によると、家庭や学校などで太陽光によって発電される電力のうち、自家消費分を除く余剰電力を、通常の電力販売価格の約2倍の1キロワット時48〜49円程度で約10年間、電力会社が買い取る。電力会社は、買い取り費用を各家庭などの電力料金に転嫁するため、電気代の値上げにつながる仕組みだ。

 太陽光発電の導入には、平均的な家庭で約250万円が必要。同省によると、15年間の利用を前提にすれば、現在は通常の電気料金を払い続ける場合に比べ60万円程度の損が出る計算だが、今回の制度により元が取れるようになるという。

 


■独は「全量」、日本「余剰」 効果に疑問の声

 日本の制度案はドイツの制度と大きな違いがある。日本は余剰電力に限り買い取るが、ドイツは発電量の全量を買い取る仕組みだ。

 価格は1キロワット時約50円と同程度だが、期間は日本の倍の20年。8〜11年程度で導入費用の元が取れるとされ、その後は「もうけ」が出るようになっている。その代わり、一般家庭の電気代への上乗せは約350円と日本の3倍以上。ドイツに比べ負担を抑えた日本の制度は「初期投資を回収する期間が長くなり、大幅な普及には程遠い不十分なもの」と、NGO(非政府組織)の気候ネットワーク、浅岡美恵代表は批判する。

 経産省には「高額な太陽光発電システムを買えるのは金持ちだけ。なぜ、われわれが負担しなければいけないのか」などの苦情電話が多数寄せられている。同省は審議会などの議論を経ずに急きょ制度導入を決めたこともあり、その意義が十分に理解されていないことが背景にあるとみられる。

 環境ジャーナリストの枝廣淳子さんは、インターネットで主婦層300人を対象にアンケートを実施。制度の意義を説明したうえで賛否を聞いたところ、環境省で議論された月260円の負担でも過半数の支持が得られたという。「政府は『100円ぐらいならいいだろう』と一方的に決めてしまった。もっと国民的議論をすべきだ」と指摘している。

 

毎日新聞 2009年3月10日 東京朝刊

ジャンル:
ウェブログ
キーワード:
太陽光発電固定価格買い取り制度非政府組織経済産業省地球温暖化クリーンエネルギー

Weblog」カテゴリの最新記事