心理学の本(仮題)

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自分の体験を臨床に活かすなら「本当に活かした」臨床ちうものを考えてはみませんか

2006-08-21 09:59:03 | 精神医学・精神病理学
 お久です。まことお久です。psy-pubです。9日間の更新ストップにもかかわらず,毎日結構な人数の方が訪れてくださって,新車まちがえた深謝深謝のpsy-pubです。実は8月18日がちょうどブログ開設一周年だったんですが,なんか誕生日に学校欠席みたいな,なんとちょっと損した気分だなと。まあいいんですが。
 
 さて,臨床心理系のブログで,たとえばロテ職人さんダノンさんY...さんのブログ(他にもいらっしゃったら是非お知らせ下さい!)などで,しばしば「セラピスト自身の(病的ないしそれに準ずる)体験」について,問題提起がなされたりなんかするわけですが,まあ皆さんの大筋としては,「そういうの,ちょっと待ったあ!」って感じだと思いますが,私も激しくそれに同意するわけですが,しかし一方で,しかし一方で,そういう体験を動機ないしエネルギーとしてしか,成し得ないこともあるんではないかと,思ったり,思わなかったり。

 何でそういうこと言い出したかというと,これを読んでしまったからなのですね。

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 人工透析,御存知でしょうか? 簡単にいうと,人間の腎臓つうのは血液中の老廃物をろ過して取り除いてくれるわけなんですが,その腎機能が落ちてしまうと,ろ過できない=老廃物がからだを巡りつづけることになっちまい,すなわち尿毒症,これはイカンということで,巡る血液を外に出して,人工的にろ過してまた戻す,というのが,人工透析なんですね。

 これ,1回数時間かかるそうでして,しかも週3回は受けなくてはならず,身体的にも精神的にも金銭的にも時間的にも,非常な負担を強いる治療なわけです。まあそれだけ重要な働きをしてるんですね,腎臓ってのは。

 春木先生は,専門は精神科医で,32歳のときにご自身が慢性腎炎により人工透析を始められたそうですが,その闘病をつづられているのが,上掲書ということであります。まあとにかくすごい。その恢復への熱意たるや,すごいです。医師の書く当事者本としては出色の出来栄えであります。

 しかしですよ,この春木先生,本当に素晴らしいのは,この当事者本を出す以前から,人工透析の「心と体」両面のケアについての「専門書」を猛烈に刊行なさっておられるのです。透析医と連携して,透析患者との面接をされているとのことで,もうホント,ひたすら恐れ入りますという感じですね。



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 まだまだありますが,とりあえずこれくらいで。もうこれはホント素晴らしいというしか言葉がみあたらないです。まさに「当事者性」を活かしきった「専門書」の数々。これらを見ていると「気持ちが分かること自体」が重要なのではなく,「気持ちが分かること」が,「本当に必要なサポート体制を構築する」ための「動機」となりえるし,かつ,医療の俎上に載せるべく,臨床・研究・啓発に文字通り心血を注いでらっしゃるわけでして,その原動力として「体験」が影響してることは明らかです(それだけではないでしょうけど)。
 もちろんすでにある程度の「素地」がある領域では,そうである必要はまったくといっていいほどないでしょう。しかし「素地」がない場合には「開拓」が必要で,「開拓」には強い「情熱」が必要で,じゃあその「情熱」がどこから来るのか,ってことなんですわ。

 自己救済型つうのは,なんかイヤラシイ。なんかっつうか,とてもイヤラシイ。けどね,「自分が救われたいに過ぎないのではないか」という,ある種「健全な自意識」を超越して,それでなお,為すべきことを為すというのは,大変うつくしい。そう思んです,私,とても。

 ああ,だからといって「私もACだから,ACの人の気持ちが……」なんつうのは御免だけどね。それは単に頭が悪いだけですから残念。やっぱ,どう活かすか,でしょ。むろん,AC(ってこの概念,ほんと適当だよなあ)の方がたとの臨床,週50ケース以上もって,その臨床経験を,和洋問わず,学術論文投稿しまくって,おまけに受理されまくって,ACについての「専門書」20冊を,読むんじゃなくて,執筆してたら,全面的にリスペクトしますけどね。しかし,量と質,この二つを体現するのに,「体験」が役立つなら,それは素晴らしいことですよ。要は,「」じゃなくて「」で体験を活かすのがポイントなのかもなんて,思ったり思わなかったり。

 ……などと,ま,ほとんど思いつき(思い込み?)で書きつけてしまったので,御意見・御批判等あれば,ぜひよろしくお願いしたいと思う次第でございます。

 口直しに,春木先生が紹介されてる新聞記事を紹介して終わりますかね。2ch風に,頭に「h」を足して,アドレス欄にコピペして下さいませ。
 ttp://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20060630ik01.htm
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3 コメント

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Unknown (ロテ職人)
2006-08-21 12:17:50
やっぱり「研究」なんてものをやろうというのは、どこかに変態的な「情熱」がないと無理だと思うのですよね。



臨床実践の動機づけも同じようなもんでしょう。



あとはそこからどれだけ距離を取れるかだと思うのですよね。単純に「見ないようにする」とか「触れないようにする」なんてことではなく、テーマとして持ちながら、見つめ続け絶えず触れ続けながらも、そのテーマ・自分自身の問題とどれだけ距離を取れるのかという。



…ってのは、きっと色んな研究者を間近で見ているpsy-pubさんはきっと感じておられるのではないかと思うのですが…いかがでしょうか?



ぶっちゃけ、研究テーマってほとんどの場合、「自分の問題」を色濃く投影したものなのではないかと。「自分は問題などない」と思っている人は、やっぱりそう思っていることが研究テーマの選択に影響を与えていたり。
自己弁護的自己レス (ロテ職人)
2006-08-21 12:24:01
「変態的な情熱」の「変態的」ってのは良い意味で、です。私も自分で「変態的」だと思います。良い意味で。
コメントありがとうございます (psy-pub)
2006-08-22 13:17:38
>ロテ職人さま



コメントありがとうございます。



なんかどうも書いたあとに考えてると,要素を詰め込みすぎたというか,論点が絞れていないというか,なんかそういう気分がしているのですが,そんなブレブレのエントリに的確なコメントありがとうございます。



>あとはそこからどれだけ距離を取れるかだと思うのですよね



仰るとおりだと思います。ある面では肉迫していき,ある面では距離を保つ。そういう感じでしょうか。



本を書くというのは,伝達の一様式でありますから,それが科学的なものなら客観性,非科学的なものなら普遍性,が自ずから必要になってくると思うのですが,しかし「これを伝えたい」と思う気持ちは,また別次元というか。それは自然科学から小説まで,共通して必要になってくるものなんじゃないかと思うわけでして,それは「使命感」といってもいいかもしれませんけど,それはなんであれ主観でしかありえないと思うのですけど。って,まとまらないですけど。



>変態的



わかりますよ,とてもw。誤解を恐れまくっていえば,個人的には,常軌を逸してるようなのしか,作りたくないですよ。良い意味で。まあ仕事だから,常軌を逸してないものも作りますけど。もちろん良い意味で。

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