マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

モーツァルトの幻想曲ニ短調

2016-08-28 00:13:44 | ラ・プロムナード・ミュジカル
9月3日のプロムナード・コンサートで弾く曲について、順番に書いていきたいともいます。
まずは、モーツァルトの幻想曲ニ短調K.397について。
この曲は、モーツァルト自身の自筆楽譜が残っていないそうで、わからないことが多い。
現在一般的に演奏される曲の終わり10小節部分は、モーツァルト自身の作ではないのです。
97小節の属和音で終わっているので、幻想曲と○○…という形にしようと思っていたのか??
幻想曲とは、幻想的な曲ということではなく、自由な形式で作られた曲…というくらいの意味です。
バロック時代にも幻想曲とフーガ…といった曲があります。
ロマン派時代の幻想曲と言えば、シューマンの「幻想曲ハ長調」、ショパンの「幻想曲ヘ短調」、シューベルトの「さすらい人幻想曲」ですね。
どれも難しいですがいい曲です。
ロマン派になると、「幻想的な」という意味も加わっているかもしれません。

曲は、分散和音で前奏的に始まり、アダージョのメインテーマが始まります。
このメロディーは、ちょっとしたドラマの音楽にもふさわしい…という雰囲気があります。
でも、すぐに迫ってくるようなフレーズからプレストの駆け巡るパッセージなどが出てきて、また戻る…。
アダージョとプレストが繰り返されると、突然、ニ長調のアレグレットに。
まるで違う曲想ですが、不思議と自然に聞こえるのですよね。
終わりの10小節が加えられて、しっかり「終わり!」という感じで締めくくられます。

今年は、モーツァルトの生誕260年。
まぁ、100年とか150年とかという切りのいい年数ではありませんが…。
モーツァルトの小品を何か弾こうかなぁと考えて、考えてみたこともなかったこの曲を弾くことにしたのですけど、ニ長調というのはモーツァルトの、たぶん好きな調性だと思うので、終わりがニ長調になっているこの曲に、何かピタッとはまる…みたいな感覚を覚えて、弾くことにしたわけです。
ニ長調という調性、ピアノ・ソナタにも全18曲のうち3曲で使われているし、ピアノ協奏曲26番「戴冠式」も、ロンドニ長調も、2台のピアノのためのソナタもデュポールのメヌエットによる9つの変奏曲もニ長調。
主要な曲によく使われているのは、きっと好きだったからなのかなと勝手に思っていますし、私自身も、これらの曲が好きなのです。

ニ短調からニ長調への変化、曲想の変化など、表現するという部分ではとても難しいものがあります。
特にゆっくりの部分は神経を使いますね。
なかなかCDもないのですが、近々ピリス(マリア=ジョアオ)のモーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番&第10番&第11番「トルコ行進曲付」、幻想曲ニ短調K397 が発売されるようです。


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