Life in Japan blog (旧 サッカー評 by ぷりりん)

日本に暮らす昭和生まれの猫ぷりりんの、そこはかとない時事放談と日記です。政治経済から科学、サッカー、手芸まで

新元号「令和」の元は万葉集。その典拠は?

2019年04月02日 08時00分00秒 | 祭祀・宗教

新元号「令和」の元は万葉集。その典拠は?

新元号「令和」は万葉集から創られました。漢籍から引用またはコピーされたとSNS等で議論されていますが、引用やコピーと呼べるものは無いようです(例:帰田賦のそれは「時和」、万葉集は「風和」。令の元「令月」は時候を示すもの)。たぶん「典拠した」と言うべきで、典拠を駆使するのは寧ろ良いことで、詩歌ではよくみられるものだと思います。

令和の元となった天平二年正月十三日(西暦730年2月4日)の大宰府の立春の宴

天平二年正月十三日(西暦730年2月4日・おそらく立春)大宰府での壮麗な立春の宴の席を写実した序文が元のようです(()は朱書)。

梅花歌三十二首并序
天平二年正月十三日 ()師老之宅()申()宴會()也 于時初春令月 氣()淑 風(㆐)和 梅披()鏡前之粉()蘭薫()珮後之香((萬葉集第五巻)大伴旅人(665~731)山上憶良(660~733頃)

意訳:天平二年正月十三日(西暦730年2月4日)立春、ここ大宰師・大伴旅人の邸へ集まり(萃)宴会す。
時は初春の吉月(令月)にして、雲霧淑やかに風はやわらぎ、梅は鏡前のおしろいのごとく花開き、蘭は玉珮※後ろの香玉のように薫る(※大嘗祭等の礼服にあわせる玉の腰飾り)。

:雲氣。雲氣:雲霧

蘭亭集序,王羲之

東晋・永和九年(353)暮春三月上巳の禊

是日也天朗氣清惠風和暢
 蘭亭集序,王羲之(東晋,303~361)

意訳:この日の空は明朗で大気は澄み渡り、心地よい春のそよ風が優しく吹いている

洛禊賦,張協

こちらも禊のようです

夫何三春之令月 嘉天氣之絪縕 和風以布暢 百卉敷芬
 洛禊賦,張協(西晋 ?~307?)

意訳:春の旧暦三月吉月、天地陰陽たがう美しの気候に 穏やかなるやわらぎのそよ風が吹き散らし 花木生い茂り香気を放つ

帰田賦,張衡

都での政に失意したエリートが田園へ帰る詩のようです

於是仲春 令月時和 氣清原隰鬱茂,百草 滋榮
 歸田賦,張衡(78-139)

意訳:おりしもこの旧暦二月吉月 気候は穏やかで爽やかに晴れ 原野は鬱そうと茂り花木も隆盛す