北朝鮮は宗主国に配慮して、安倍首相が中国から出発した後に核実験を実行？

●国家情報院「咸鏡北道で地震波を探知」 　2006/10/09 11:54

【ソウル９日聯合】国家情報院が、咸鏡北道でマグニチュード３．５８の地震波を探知したと明らかにした。政府は北朝鮮が９日午前に核実験を強行した可能性があるとみている。これを受け、盧武鉉（ノ・ムヒョン）大統領が安保関係閣僚会議を招集した。
http://japanese.yna.co.kr/service/article_view.asp?News_id=012006100902700


●北朝鮮が核実験を実施…朝鮮中央通信　（2006年10月9日12時9分 読売新聞）
　北朝鮮の朝鮮中央通信は９日、同国が核実験を実施したと報じた。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20061009it03.htm?from=top





●安倍首相、ソウルに到着…午後に日韓首脳会談へ　（2006年10月9日11時15分 読売新聞）

　【ソウル＝鳥山忠志】中国、韓国訪問中の安倍首相は９日午前（日本時間同）、北京発の政府専用機でソウルに到着した。午後に青瓦台（大統領府）で盧武鉉大統領と日韓首脳会談を行い、同日夜に帰国する。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20061009it02.htm



●北朝鮮が「核実験」　北東部で地震波検知　　北海道新聞　　2006/10/09 13:35
　北朝鮮の国営朝鮮中央通信は９日、北朝鮮が同日、初の地下核実験に成功したと報じた。プルトニウム型原爆とみられるが、日米両政府は実験実施を確認していない。北朝鮮は昨年２月に核兵器保有を公式宣言していた。今年７月の弾道ミサイル発射を上回る強硬措置。１０月３日の外務省声明通り実験を行ったと表明したことで日米など国際社会は強く反発、国連での制裁論議は必至だ。昨年１１月以降中断している６カ国協議は完全に崩壊し、朝鮮半島情勢は１９９４年の核危機以上に深刻な事態に陥り、米朝間の緊張が危機的な状況に達する恐れもある。

　朝鮮中央通信は、核実験による放射能漏れはないとしている。実験の場所や時間には言及していない。核爆弾の数や規模なども不明。

　聯合ニュースによると、韓国政府当局者は北朝鮮北東部の咸鏡北道の花台郡地域で９日午前１０時３６分に地震波が検知されたと述べた。ロイター通信によると、韓国の青瓦台（大統領官邸）は北朝鮮でマグニチュード（Ｍ）３・５８から３・７の地震を感知したことを明らかにした。

　日本政府は同日午前、北朝鮮の核実験で首相官邸に「官邸対策室」を設置、関係閣僚や関係省庁の局長を緊急招集した。

　韓国政府は盧武鉉大統領が主宰する緊急の安全保障関係の閣僚会議を開き、対策を協議する。

　米ＣＮＮテレビは、米情報機関は「確認できていない」と述べたと伝えた。

　北朝鮮は金融制裁をはじめ米国主導による北朝鮮包囲網強化に危機感を強め、「核保有国」であることを誇示、米国を直接交渉に引き出す狙いとみられるが、米国が応じる可能性は低く、中国やロシアも厳しい対応を示すのは確実で、国際的孤立が一気に深まった。
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20061009&j=0026&k=200610097577



●USGS Earthquake Hazards Program ≫ Magnitude 4.2 - NORTH KOREA
Magnitude 4.2 (Light)
Date-Time Monday, October 9, 2006 at 01:35:27 (UTC)= Coordinated Universal Time
Monday, October 9, 2006 at 10:35:27 AM = local time at epicenter Time of Earthquake in other Time Zones

Location 41.311°N, 129.114°E
Depth 0 km (~0 mile) set by location program
Region NORTH KOREA
http://earthquake.usgs.gov/eqcenter/recenteqsww/Quakes/ustqab.php



●韓国軍が警戒態勢強化　北朝鮮軍に特異な動きなし　　2006/10/09 13:34
　【ソウル９日共同】北朝鮮の核実験報道を受け、韓国軍の合同参謀本部は９日午前１１時２０分（日本時間同）、全軍に警戒態勢の強化を指示した。韓国軍は、北朝鮮外務省が３日に核実験を実施するとの声明を出した後、警戒を強めていたが、今回の実施報道を受け、一段階態勢を高め、警戒兵力も増員される。

　合同参謀本部によると、北朝鮮軍に特異な動きは見られないという。同本部は当面、北朝鮮に対する監視態勢と防御準備態勢はこれまでの水準を維持する方針。
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20061009&j=0026&k=200610097591



●North Korea says conducted nuclear test　Reuters.com　Mon Oct 9, 2006 12:56am ET

A U.S. official, speaking on condition of anonymity, said North Korea gave China a 20-minute warning of its test and China immediately told the United States, Japan and South Korea.
http://today.reuters.com/news/articlenews.aspx?type=newsOne&storyID=2006-10-09T050817Z_01_L08141538_RTRUKOC_0_US-KOREA-NORTH.xml&pageNumber=0&imageid=&cap=&sz=13&WTModLoc=NewsArt-C1-ArticlePage3



【私のコメント】
核実験の地震波が韓国政府に関知されたのが10時36分。核実験が行われた場所は恐らく韓国領土から300-400km離れた場所と思われる。地殻の浅い所では縦波のP波は毎秒約6kmの速度で、また横波のS波は毎秒3.5kmの速度で伝わることを考えると、核実験が実行されたのは地震波関知の約1-2分前の10時34-35分前後である可能性が高い。これは、米国政府が観測した10時35分27秒のM4.2の地震に一致すると思われる。
核実験の20分前に中国政府に通告があり直ちに日米韓三カ国に伝達されたとの情報を考えると、10時15分頃に中国政府に連絡があり、恐らく10時20分頃には安倍首相の乗った特別機にも連絡があったことであろう。「安倍首相がソウル入りした時間と北朝鮮が核実験を行った時間は30分も差がない」との朝鮮日報の記事と合わせると、 宗主国である中国の重要な賓客に配慮して、安倍首相の特別機が北京を出発したか、あるいは中国の領空を抜けるタイミングを見計らって核実験が実行されたことになると思われる。

いずれにせよ、北朝鮮の核実験という緊急事態である。日韓首脳会談は予定通り行われたが、北朝鮮問題への対応が中心になってしまい、反日政策の放棄、あるいは竹島問題の解決といった韓国政府の政策転換は先延ばしになってしまった。このことが今後の韓国の運命にどう響いてくるかが注目される。

また、日本時間で10日には韓国の潘基文（パン・ギムン）外交部長官が国連事務総長候補に推薦される予定となっているが、北朝鮮の核実験がどの様に影響するかが注目される。予定通り事務総長候補に推薦された場合、潘基文氏は韓国の国益を追求する外務大臣としての立場と国連事務総長候補として期待される公平な立場の間で苦しむことになるだろう。

日米陣営と北朝鮮がもし戦争状態に突入する場合、韓国は日米陣営につくならば首都ソウルが北朝鮮軍の脅威に脅かされることになるし、日米陣営につかないならば自動的に米韓軍事同盟が消滅することになる。この二者択一は韓国政府にとっては地獄の選択になると思われるが、その様な選択を迫られる事態はあり得ないことではないだろう。


【10月9日19時50分追記】
●「インタファクス通信によると、北朝鮮外務省は、核実験の約2時間前に駐平壌ロシア大使に対して実験を実施することを通告した。ロシア外務筋が明かした。」との記事がある。これが事実ならば、北朝鮮の宗主国を自認していたにも関らずロシアより連絡を後回しにされた中国はコケにされたことになる。

北朝鮮政府としては中国が対日関係の改善を希望したことが許せない、という意思表示ともとれる。そして、安倍首相の特別機が韓国に向け出発した後に実験を行ったことで、韓国に対しても抗議の意思表示を行ったのだろう。