フィリピンりぱぶりっく狂笑国

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派遣工

2016-11-24 | フィリピン

今年に入り、フィリピン労働雇用省による派遣会社によるENDOの取り締まりが強化されてきました。

現在全国に3600万人に上る派遣工がいますが、今回までにENDO(正社員化を避けるため、試用期間の終わる6ヶ月に満たす前に解雇、再雇用するたらい回し雇用をすること)一掃で2万5千人が正社員化(シューマート、セブンイレブン)されましたが、成果的には非常に低い数値です。今日現在、新しい労働賃金体系の刷新は行われていません。が、ENDOに対する一掃案件は労働雇用省始め貿易産業省は2017年までに解決すると意気込んでいますので、今後、日系はじめとする外資系への調査が激しくなると思います。

なお、貿易産業省は派遣工を人材派遣会社の正社員にする方案を提出しました。この法案に対してベリョ労働雇用省長官は容認しています。

この背景には、フィリピン労働法では、「労働のみの請負」はフィリピン労働法で禁止されていますが、多くの派遣会社は管理費と称した費用を企業から徴収しているにもかかわらず、労働法違反行為が異常に多いための法案提出とのことです。

しかし、派遣会社の工員が正社員になった場合、職場を転々とさせられ終身雇用が保障されないとして反発する労働者が非常に多いと言われています。

解雇の難しい国ですが、しっかりとした労働契約、就業規則の厳格化による労働者の勤務違反を例規すれば思ったほど難しくはないと思います。とにかく人材派遣会社による管理不十分、本来は労働規約に例規されている、請負事業内容の器具等と人材を提供する。の法律がありますが請負内容違反をしているのは人材派遣会社です。

おそらく、単純労働で人材を派遣、単なる管理費と称し手数料を徴収している割には満足に人材管理をしていない派遣会社を一掃する計画と言われます。

 

 

 

派遣社員について多少詳しく説明します。

フィリピン労働法第106条第2項では、「人材派遣(labor-only contracting)」は原則として禁止されています。ここで言う人材派遣とは、「労働者を使用者に提供する者が、十分な機械・設備などの資本を保有せず、使用者の本業に従事させる目的で労働者を派遣すること」とされています。つまり労働目的の労働者派遣を意味します。

例外として、警備員や清掃作業等、本業以外の分野への人材派遣のみが認められています。

上記「人材派遣」に該当せず、以下の要件を満たす場合は合法な「下請業」と見なされ、企業として合法な下請業者と契約を結ぶことができます。

イ.最低資本金額(払込額)が300 万ペソ以上であること

ロ.設備や機械を有している(請負先の生産等に関わる設備機器)

ハ.登録料年間2 万5,000 ペソを支払っている

ニ.派遣先の従業員の業務管理ができること

ホ.構内下請業者を通じた下請けは行っていない

下請業者は従業員に対して、法定で定められている有給休暇や休息日、13 ヶ月目の給与等を付与する義務があります。

 

業務委託契約が「合法的」なものであり、「労働力のみ」の請負契約ではないことを確実にしなければなりません。DOLEの規則に基づき、以下の要素が揃っている場合、業務委託契約は合法的なものとなります。

1.業務請負会社が、DOLEに適切に登録されていること。DOLEに登録されていない場合、その業務請負会社は、労働力のみの請負会社とみなされます。

2.業務請負会社は、当事者である会社の事業から独立した、別の事業を運営していること。業務請負会社は、当事者である会社の支配を受けることなく、独自の形式及び方法に従い、自己の責任において請負った業務を遂行しなければなりません。

3.業務請負会社に実質的資本金及び出資金があること。DOLEは、業務請負会社が300万ペソ以上の払込済み資本又は純資産を所有していることを要件としています。

4.業務請負業者と当事者である会社の間の業務委託契約が、フィリピン労働法を遵守していること。
なお、業務委託契約には、以下の条項が含まれていなければなりません。

a.委託される業務に関する具体的記述
b.作業場所、契約条件及び業務提供料
(業務請負会社が独立した事業を行なっていることの保証として、業務請負会社の管理費用は、業務提供料の10%以上でなければならない)
c.労働法及びDOLE規則に基づく従業員の権利及び福利の全てについて、遵守を保証する規定
d. 業務提供料の総額と同等とする業務請負業者の正味経済的請負能力(Net Financial Contracting Capacity:NFCC)に関する規定
(NFCCにより、業務請負業者が自己の労働者に対する債務を決済するのに十分な資産があることを証明する)
e.契約履行保証(当事者である会社が要求する場合)
f.社会福祉法に基づき要求される納付金を直接支払う業務請負業者の義務
g.契約期間

また、以下の場合、当事者である会社及び業務請負業者は、禁止されている労働力のみの請負契約をしているとみなされます。
(a) 業務請負業者が、実質的資本金/出資金を有しておらず、労働者が実際に、当事者である会社の事業に必要である、あるいは望ましい活動を遂行している場合
(b) 業務請負業者が、労働者による作業の遂行に対して支配権を行使していない場合

労働法の遵守を確実にするため、DOLEは業務委託契約を行なっている施設の検査を日常的に実施します。DOLEは、業務請負業者とのサービス契約の契約書の提出を当事者である会社に要求することもできます。

業務請負業者が労働者に対して賃金の不払いがあった場合、当事者である会社は、これについて連帯責任を負います。なお、当事者である会社は、リスクを最小限にするため、労働者の賃金の支給を保証するための預託金の提供を業務請負業者に要求することができます。

労働力のみの業務請負契約であると判断された場合、当事者である会社が労働者の直接的な雇用者とみなされ、業務請負業者は、当事者である会社の単なる代理人とみなされます。これにより当事者である会社は、労働者の給与、手当及び退職金の支給並びに組合組織権の認定等、雇用者としての義務を全て遵守することを要求されます。さらに重要なこととして、当事者である会社は、労働者の職の確保という権利を認める義務を負うことになります。つまり、当事者である会社が労働者を解雇する場合には、フィリピン労働法に基づいた非常に厳格な解雇要件を遵守しなければなりません。

フィリピン労働法106条

Art. 106. Contractor or subcontractor. Whenever an employer enters into a contract with another person for the performance of the former’s work, the employees of the contractor and of the latter’s subcontractor, if any, shall be paid in accordance with the provisions of this Code.

In the event that the contractor or subcontractor fails to pay the wages of his employees in accordance with this Code, the employer shall be jointly and severally liable with his contractor or subcontractor to such employees to the extent of the work performed under the contract, in the same manner and extent that he is liable to employees directly employed by him.

The Secretary of Labor and Employment may, by appropriate regulations, restrict or prohibit the contracting-out of labor to protect the rights of workers established under this Code. In so prohibiting or restricting, he may make appropriate distinctions between labor-only contracting and job contracting as well as differentiations within these types of contracting and determine who among the parties involved shall be considered the employer for purposes of this Code, to prevent any violation or circumvention of any provision of this Code.

There is "labor-only" contracting where the person supplying workers to an employer does not have substantial capital or investment in the form of tools, equipment, machineries, work premises, among others, and the workers recruited and placed by such person are performing activities which are directly related to the principal business of such employer. In such cases, the person or intermediary shall be considered merely as an agent of the employer who shall be responsible to the workers in the same manner and extent as if the latter were directly employed by him.


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