POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 夫の書棚に、「話を聞かない男、地図が読めない女(アラン・ピーズ&バーバラ・ピーズ著)」という本があります。読んだことはないのですが、タイトルだけで男女の性差について書かれている本だと想像はつきます。確かに、我が家の夫は私の話を右の耳から左の耳へと流してしまう「話を聞かない男」です(ことによると、年齢のせいで記憶力が減退し、聞いたことを片っ端から忘れてしまい、右の耳から入ったことが左の耳からすぐ抜けていくのかも知れません)が、地図が読めるので頼りになります。夫を旅行に連れ出す第一の理由かも。

 ひとりで旅行に出かけ、ベトナム縦断、パリ子供服買出し、台湾周遊、韓国食べ歩き、などをしましたが、女性の一人旅はやはり身の安全のために緊張を強いられるもの。屈強な体格の夫ではないのです(痩せ型)が、いるのといないのでは旅のストレスに大きな違いがあります。しかし、この夫、隙あらば、タコ糸を自ら切って逃げ出す奴凧です。現地で地図を手に入れると、もうそわそわです。地図を片手にカメラを持って出かけたがります。何をするではなく、通りを歩き廻りたいのです。足早に歩き廻る夫につき合うつもりはありません。

 夫は地図を片手に1人で歩き廻るのが大好きで、一人歩きを認めてしまうと、朝出かけたまま夕方まで帰ってきません。チェンマイでも、“NANCY CHANDLER'S MAP OF CHIANG MAI”という地図を250バーツ(20バーツの1品料理が12品ほども買える。680円ほど)も出して手に入れたようで、ちょっと2時間ほど出かけてくる、と言ったまま4時間ほども帰ってきませんでした。息子(今回は息子を連れての3人旅)も、事故に遭ったのではないかと心配しだします。汗だくになって夫が帰って来ます。「着替えに帰ってきた」って、また出かけるつもり? 2人で引き止めます。不満そうでしたが、我が子には従いました。



 チェンマイの旧市街は1辺が1.8kmほどの正方形の区域で、濠が廻っており、時計回りに車の交通が制限されている外堀通りと、反時計回りの内堀通りがあります。宿泊していたホリデーインから歩き出した夫は、旧市街に入る5つの門をカメラにおさめるために、東南の端のカタム・コーナーに数十分かけて到着し、反時計回りに一周を試みます。



 ターペー門を通り、東北の端のスリプーム・コーナーを左折し、チャンプアック門を通り、西北の端のフアリン・コーナーに達し、スアンドーク門を通り、西南の端を左に曲がり、スアンプルン門とチェンマイ門を通り、カタム・コーナーに戻ったそうです。楽しそうに話す夫を見て、「男」というものが理解できません。濠は1辺が歩いて20分ほどの長さだそうで、ということは1周するのに80分も歩き続けていたことになります。チェンマイはいま猛烈に暑い時期です。その中をただ歩く、というのは私には侠気の沙汰です。ことによると、これは夫だけの病気かも知れません。



 この後、ターペー門に戻り、私が行きたいと言っていた、「サンデーマーケット」の下見をしたそうです。ターペー門から西へ「ワット・プラ・シン」というタイ仏教のお寺まで続く「ラチャダムヌーン通り」では、日曜日の午後4時頃から車の交通を遮断して、通りの両側に露店が所狭しと並んで、衣類、アクセサリー、小物、工芸品、絵、楽器、玩具、食べ物、飲み物などが売られます。通りの中央のところどころでは盲目のストリートパフォーマーがグループで演奏をしていたりなどします。日本でいうなら、毎週、お祭りが開かれ、露店が並ぶようなものです。

 このサンデーマーケットは、2004年に始まったそうですから、歴史は浅く、ターペー門の東側のターペー通りから西側のラチャダムヌーン通りに開催場所が移動し、その規模が大きくなっていったようです。この通りを下見した夫いわく、「普段は何の変哲もない通りだよ」ですって。そりゃそうでしょ。下見がどうして必要なの?



 ホリデーインから無料のシャトル・サービスでセントラル・プラザに出て食事をして、サンデーマーケットの開始時間までしばらく時間を潰します。セントラル・プラザのトゥクトゥク乗り場には基準となる料金が表示されていました。ターペー門までは、60バーツ。ソンテオを拾っても1人20バーツかかりますから、3人ならば同じ料金がかかることになります。しかし、息子「健人」は、チェンマイの暑さに負けて外に出たがらないので、エアコンのきいたホテルの部屋に残してきました。

 いち早くサンデーマーケットに行きたがる夫を抑え、無料のシャトル・サービスを待って、ターペー門の近くにあるアモーラ・ターペーで降りて、ターペー門に向かうことにしました。上手に節約して、サンデーマーケットでお土産を買いたいのです。最近知り合いが結婚しました。仕事が忙しくて新婚旅行にも行けないという2人に仕事も大事だけども人生を楽しむことも大事だということをそれとなく気付いてもらうために旅に出かけたくなる気にさせる物が何かあればとやって来ました。



 お返しを、と考えなければならないほど高価には見えず、それでいて(自己満足でしょうが)贈り手のセンスを感じさせる物、そんなものを探して、露店をひとつひとつ見て廻ります。一生懸命働いている自分へのご褒美も探してまわります。一生懸命働いて、節約して、お金を貯めて、そして旅に出て来ているのです。節約して、お金を貯めて、そして使わずにいる父からは、道楽者と思われているようで、「お金持ちだからそうやってよく海外旅行に行けるんだよな」と言われますが、人生は楽しまなくっちゃね。

 しかし、めぼしいものが見つかりません。探し方が悪いのでしょうか。いろいろと見てまわるのですが、なかなかこれはというものに出会わないのです。夫はカメラ片手にふらっといなくなってしまいました。私につきあうのに飽きたようです。この人の波から私を見つけ出す自信があるのでしょうか。サンデーマーケットは旧市街を東西に走るラチャダムヌーン通りと南北に走るプラ・ポック・クラオ通りの一部で十字を描くように広がり、広さを誇ります。長さにして、合計で2km以上にはなるはずです。

 でも、夫は私を見つけました。私はお土産を見つけられませんでした。土曜日を待って、旧市街の外、チェンマイ門の近く、ウアライ通りで開かれるサタデーマーケットに期待することにして、プラ・ポック・クラオ通りの南でトゥクトゥクを拾い、ホリデーインに帰りました。 

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 ホリデーインを基点に地元の人たちが日常食べる物を食べ歩いた後は、舌が覚えているうちに自分で作ってタイ料理の研究です。キッチンのついたホテルに移動してきました。ニマンヘミン通り(Nimmanhaemin Rd)は、旧市街の西に南北に走る2kmにも満たない通りです。チェンマイ動物園に向かうほぼ南北に走るフエイカーオ通り(Huay Kaew Rd)とチェンマイ大学の前を通り南北に走るステープ通り(Suthep Rd)を結んでいます。

 このニマンヘミン通りにキッチンのついたホテルを見つけました。ここでは10日間の滞在です。ホテルから徒歩で5分程度のところに、水曜日と土曜日に開かれる“Farmers Market”があります。チェンマイ大学農学部の研究農場があり、その敷地内に屋根のついた区画があり、そこに野菜や果物、惣菜、菓子が所狭しと並べられます。数分かければすべてを見て歩けるほどの小さな市場です。



 私たちはベジタリアンではありませんが、野菜が好きなので、食卓には野菜料理が欠かせません。外食を続けると、油で処理された野菜料理を口にすることが多くなり、連日では耐えられないので、時間と手間を取られて観光する時間は減るのですが、キッチン付きのホテルに泊まって、手作りすることになります。今までも、特に長期の旅行では、キッチン付きのサービスアパートメントやコンドミニアムもホテルとともに手配してきました。



 時間に追われることなくゆっくりと生活を楽しめるのは、日本では滅多にありません。キッチン付きのサービスアパートメントなどで家族で過ごす時間は、観光よりも貴重です。



 この市場に並ぶ野菜は連日の暑さで、中にはくたっとしている物もありますが、行った他の市場の野菜と比べて、新鮮そうに見えます。値段は他の市場と同じ位だと思われます。夫が買いすぎだよという目で見ていますが、数日分の野菜を仕入れました。万能葱、空心菜、ブーケガルニ(生姜、ウコン、こぶみかんの枝、レモングラスがセットになったもの)、南瓜、小さな茄子、小松菜、紫とうもろこし、レタス、ミニトマト、人参、、、そんなものを手に入れました。

 FARM OUTLET

 この市場は、チェンマイ大学の学内施設、Multiple Cropping Centre(MCC)で週2回開催されている農産物直売所というのが正しいようで、無農薬野菜を生産・販売する農家が野菜を持ち寄って来ているようです。農薬による野菜の汚染を心配する人たちが多く訪れるのでしょうか。いろいろな市場にも安全な野菜を販売する売り場があり、安全を保証するというシールが張られて、お値段が高めの野菜が売られていました。

(注) 1969年に開始された「ロイヤルプロジェクト(Royal Project)」(1992年からロイヤルプロジェクト財団が運営)は、安全な(低農薬・無農薬)野菜の供給とともに、山岳地域に住む少数民族の生活向上を支援することを目的としています。生産者に農地貸与、資材供与、技術指導、融資斡旋などを行い、一定の品質に達した野菜や果実を買い上げ、「ドイカム(Doi Kham)」ブランドでスーパーマーケットなどを経て消費者に供給されています。(注の終わり)

 夫がココナツの前で立ち止まっていたので、15バーツで氷の中に埋もれていたココナツを買い、口を開けてもらい、2人で飲みました。ココナツジュースは当たり外れのあるもの。詳しくはわかりませんが、この透明の液体は実の中で味を変化させていっているようです。タイミングのいいときに採取されたものは上質の味がするのでしょう。ここの市場で飲んだ物はノンホイ市場で飲んだ物よりおいしかった。



 ココナツジュースは通常はビニールの袋に入れて売られています。ココナツの実を左手の上の乗せ、右手に持ったナタで器用に口を開けていきます。ココナツジュースをビニールの袋に移し、スプーンで実の内側の壁に白くついた「ココナツミルク」を削ぎ落とし、これも袋に加え、でき上がりです。私たちは、口の開いたココナツの実に2本のストローを挿し、その場でいただきました。

 恋人時代、喫茶店で1つの飲み物にストローを2つ挿し、顔を寄せ合って飲んだ記憶はありません。朴念仁の夫は「ん!おいしい」と言っただけで、買った野菜の入ったビニール袋をいくつも重そうに右手に提げて、腰を掛けられる場所を探しに、その場を去っていきます。お抱え運転手をさせられるよりもまだましなのさ、と思っているのかも知れません。ココナツミルクを削ぎ落として夫の口に運んだスプーンと2本のストローのささったココナツが私の手の上に残りました。

 微笑み

 微笑み

 タイは「微笑みの国」と言われます。野菜を持って写真におさまってくれるように頼んだところ、微笑み一杯で応じてくれました。

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 チェンマイ(チエンマイ)での滞在は15日間です。この15日間をどこに宿泊するかで随分と迷いました。大きな選択として、お濠に囲まれた旧市街にするかそれ以外にするかがありました。旧市街は観光に便利です。旧市街に宿泊していれば、観光スポットは徒歩圏です。私たちは私と夫と中学生になる息子の3人での旅行をしています。部屋はある程度の広さが欲しい。旧市街から遠いところにすれば、それだけ広い部屋に宿泊できます。しかし、旧市街に観光に行くにはトゥクトゥクやソンテオといった交通手段が必要となります。
 
 どこに泊まるかは夫に相談しながら決めていきました。夫はどこに泊まるかについては関心が薄く、ほとんど相談にはのってくれません。口コミを読み漁り、少しでもコストパフォーマンスが良いホテルを探す私の努力を認めてはくれず、「ああ、そこでいいんじゃない」と軽い返事。それでもめげずに数か月かけて、候補を絞り込んでいきました。いまではホテル名を聞けば、どこの辺りにあって、どんな評判かがわかるほどになっています。

 旅行の大好きな私は、1日のコストを切り詰めて、できるだけ長期間滞在したいですし、仕事や息子の学校のことでそれが叶わないのなら、幾度でも旅行に出たい。豪華な旅行を数日間するよりも、かかる費用が同じなら、節約した旅行を数週間したいのです。それでいて、グレードの高いホテルには泊まりたい。ホテルの宿泊費は多重に設定されています。空室率を低く抑えたいホテル側は、状況に応じて宿泊料金を大きく変動させて、ホテル予約サイトに提供します。

 私が狙うのは、この宿泊料金の監視(?)をしていて、「底(最安値)」のときに予約を入れることです。今回の予約は、ホテル予約サイト「エクスペディア」で候補のホテルをいくつか数か月監視し、「ホリデイイン」が最安値で提示された時を狙って予約をしました。5泊で18,000円ほど。1人1泊1,200円ほどになります。旅行中に検索したところ、同じ条件の部屋で、なんと1泊10,000円を越えていました。



 もちろん、この価格では朝食はつきません。でも、私たちはホテルの朝食を期待してはいません。現地の人たちの食べる物を食べに行くために旅行に来ているのです。朝食は、「タラート(ตลาด、市場)」に出かけていって、1品20バーツ(54円ほど)のおかずやお米(もち米がおいしい。ข้าวเหนียว)、果物を手に入れてきて、済ませることになります。これがとても満足のいくもの。これはおいしいね、これはハズレだね、この食材は何だろうね、もうちょっと甘さを抑えたらおいしいのに、ボクはこれが一押しだな、などと会話の弾んだ朝食となります。

 ホリデーインの近くには「ノンホイ市場(Nong Hoi Market)があります。日用雑貨や肉、野菜、果物、米などの食料品とともに、ご飯やおかずが売られています。ホリデーインを宿泊場所に選択した大きな理由の一つがこの市場にあります。夫は「旧市街まで遠いね」と言ったのですが、チェンマイは市場巡りを旅のテーマとすると決めた私には「遠い」というより「近い」のです。



 昼食はチェンマイ空港の近くにある「セントラル・プラザ・チェンマイエアポート(CentralPlaza Chiangmai Airport)」に出かけていきます。セントラル・プラザは無料のシャトル・サービスを行なっていて、緑色のソンテオが1時間かけていろいろなホテルから客を拾っていきます。



 CentralPlaza →15分→Amora Thapae →5分→Imperial Mae Ping →5分→Centara Duang Tawan →5分→Dusit D2 →7分→Royal Princess →5分→Shangri-La →3分→The Empress →5分→ Holiday Inn →5分→ Rati Lanna Riverside Spa Resort →5分→ CentralPlaza
 
 ホリデイインには、11:20、12:20、13:50、14:50、15:50、16:50、17:50、18:50、19:50にやって来ます。10分後にはセントラル・プラザに到着です。行きは10分で行くのですが、帰りは50分かかることになります。10:30、11:30、13:00、14:00、15:00、16:00、17:00、18:00、19:00とセントラル・プラザから出ていて、1時間の余裕があるので、セントラル・プラザの“FOOD CENTER”で、地元の人が通常食べるものと同じものを食べることになります。

 食後はこのシャトル・サービスを利用して、アモーラ・ターペー(Amora Thapae)で降りると、そこはターペー門の近くであり、旧市街への入口です。旧市街のお寺などを巡り、またアモーラ・ターペーに戻れるならば、ホリデーインにシャトル・サービスで戻って来られます。100〜150バーツ(270円〜400円ほど)かけて、トゥクトゥクで戻ってくるのもいいでしょう。

 この話し、もう少し続けたいので、次回に。 

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 中学生になる息子を連れての今回の家族旅行は、シンガポール経由でチェンマイ(チエンマイ、Chiang Mai)に入り、2週間ほどを移動せずにチェンマイで過ごし、バンコク経由で日本に帰国しようとするものです。ひとつの都市にこれだけ長期にいるのは我が家では珍しいことです。バンコク旅行を幾度か計画し、その度にタイの政情不安で計画が頓挫した私たちは、バンコクを避けてタイを旅行することにしました。日本から入るのもバンコクのスワンナプーム国際空港を避け(1度、暴徒に占領され、閉鎖になったことがある)、シンガポールから直接チェンマイに入ることにしました。

(参考) 「タイの政情不安、ついにスワンナプーム空港閉鎖にまで。」(2008年11月27日)

 ユナイテッド航空のUA881便でシンガポールのチャンギ国際空港に到着するのは、深夜1時頃で、エアアジアのFD3452便でチャンギを発つのが21時30分です。20時間ほどのギャップがあります。この時間をどう過ごすかが検討課題になりました。シンガポールに入国せず、空港内にいてトランジット(トランスファー)する方法は、乗り換え便が「エアアジア」という航空会社ではできません。エアアジアは格安料金を提供するために「乗り換え」というサービスを行ってはいません。必ずいったん入国してから、出国ロビーでチェックインしなければなりません。

 いつもならば、シンガポール経由で他の都市に向かうときは、シンガポールに何泊かして観光することにしていましたが、今回はその方法をとるのを止めました。その最大の理由はシンガポールのホテルの宿泊費の高いこと。深夜にタクシーでホテルに入り、入浴して眠りに就くのは、大抵3時頃になってしまいます。1泊のみで12時までにチェックアウトするにはきつく、レイトチェックアウトを依頼するとしても、おちつかないものです。そこで、1泊のみではきついので、少なくとも2泊は連泊することになります。このコストが費用対効果の点で不満なのです。

 今回は空港内の制限区域(制限エリア、Departure Transit Lounge、入国審査を受ける前の到着客、出国審査を受けた後の出発客、乗り継ぎ客が一時的にいる区域)にある「トランジットホテル」に宿泊することにしました。トランジットホテルは、空港に到着するとすぐに入国手続きを経ずに宿泊できるホテルです。シンガポールへの入国手続きをとってはいけません。このことはホテル「Ambassador Transit Hotel(アンバサダー トランジット ホテル)」のサイトで強調されていますし(“PLEASE DO NOT CLEAR IMMIGRATION / CUSTOMS AS ALL AMBASSADOR TRANSIT HOTEL ARE SITUATED AT LEVEL 3, WITHIN THE DEPARTURE TRANSIT LOUNGE.”)、ホテルから送られてきた予約確認のメールにも“Upon ARRIVAL, DO NOT CLEAR IMMIGRATION / CUSTOMS as Ambassador Transit Hotels are situated on level 3, TRANSIT MALLS. Please use escalator across from Transfer Counter B. ***Luggage Claim is after IMMIGRATION ”と強調されていました。

 かなり以前にトランジットホテルを利用しようとしたことがあるのですが、そのときは利用の条件に乗り換えの「搭乗券(ボーディングパス、boarding pass)」を持っていることというのがあって、断念したように記憶しています。しかし、今回改めてホテルのサイトを見たところ、そのような記述は見当たらず。いろいろと調べたところ、あるホテル予約サイトに「乗り継ぎ時の休憩にはもちろん、深夜到着で翌朝チェックアウトし、そのままシンガポールへ入国という使い方も可能です。」という記述すら見つけることができました。



 そこで早速予約を入れることにしました。3人部屋(triple)の宿泊料金が115.35シンガポールドル。1S$=66円換算で7,600円ほど。「クラウンプラザホテル・チャンギエアポート(Crowne Plaza Hotel Changi Airport)」に宿泊することから比べるとかなりのコスト削減になります。バスタブがなく、スタンディング・シャワーしかないこと、基本はチェックインからチェックアウトまで6時間(1 Block of 6 hours)しか滞在できないこと(1時間延長ごとに16.48S$(1,100円ほど)が追加される、Extension Per hour 16.48S$)などがマイナス面として挙げられます。

 予約を入れるとまず次の文面のメールが自動送信で送られてきます。

Thank you for booking with us.

This auto reply is NOT a confirmation of your room booking.
You will receive a response within the next 2 working days

Room Reservations Office is open from Monday to Saturday excluding Public Holiday.
Please call us at (65) 6507 9797 between 9am to 7pm for any booking enquiries.

Have a pleasant day.
 

 次に送られてきたのが、予約確認のメール。その一部を紹介してみます。

Dear Mr KONNO,

Thank you for your reservation request dated 30 May 2011 21:10 - Confirmation No : 3057T3

We are pleased to confirm a Triple Occupancy Std Room for 6 hours at Terminal 3.
Kindly retain this email as a Reservation Confirmation.

Arrival Date : 20 Mar 2012 via UA803 ETA 23:55 hrs
Departure Date : 21 Mar 2012 via FD4111 ETD 19:45 hrs

Rates quoted are based on a minimum charge of 1 block of 6 hours.
Rates are subjected to changes without prior notice.
- Triple Occupancy - S$96.51 Nett
- Extension per hour - S$15.30 Nett


 トランジットホテルを利用する際に問題になるのが、手荷物の機内預け。受託手荷物の受け取り(luggage claim)は入国審査(immigration)の後にあります。入国審査を受けないで、受託手荷物を受け取ることはできないのです。ホテルからの予約確認メールには、“Luggage Claim is after IMMIGRATION”とあり、“Upon ARRIVAL, DO NOT CLEAR IMMIGRATION / CUSTOMS”と念押しをされます。



 手荷物を機内預けにし、それでいてトランジットホテルを利用することはできるようです。手荷物受取所(バゲージクレーム)で受け取り手のいない手荷物は、遺失物預り所(“Lost and Found”)に運ばれ保管されるようです(“Your baggage is taken to 'Lost and Found' automatically after the baggage belt is switched off.”)。トランジットホテルに宿泊し、入国審査を済ませ、遺失物預り所で手荷物を「手荷物預り証(“bagage tag”)」を見せて受け取り、税関(customs)を通れば、入国です。

 この方法にはある程度リスクが伴います。他の人が手荷物を持っていってしまう可能性があるのです。税関を通過するのに、手荷物預り証を見せた経験はありません。見せずとも税関を通れるのです。このリスクを負いたくなければ、手荷物を機内持ち込みにするしかないことになります。私たちは手荷物を機内持ち込みにする方法をとりました。3週間ほどの旅行になるので、着替えなどの荷物を減らすのに苦労しました。



 チャンギ国際空港に到着すると、“Transfer”(乗り換え)という表示のある方向に進んでいきます。案内板に“Transit Hotel”のある方向が示されています。かなり歩いたのですが、到着から60分は“No Show”扱いをされることはありません。予約確認メールには“Reserved room will only be held for 60 minutes after Arrival of aircraft.”とあります。到着の遅延は、ホテル側で調べているようです(“Hotel will take note of any flight delay.”)。「矢印」がやがて「エスカレータ」の形に変わります。level2からlevel3にエスカレータで上れば、そこがAmbassador Transit Hotelです(“Please use escalator across from Transfer Counter B.”)。



 予想以上に客室がたくさん並んでいます。



 3人部屋はこれも予想以上に広いもの。バジェットホテルに分類されるホテルなのですが広さに関しては満足のいくもの。  





 バスタブがないのは、このクラスのホテルでは当然のことでしょう。



 アジアのホテルでは、経験的にスリッパの提供があるところが多いのですが、このトランジットホテルにはありません。私たちが利用した部屋は、シャワーブースの床が排水口に向かって傾斜がなく、フラットなので、使用したシャワーの水がシャワーブースの外に溢れ出し、バスマットはびしょ濡れになり、履物は濡れてしまいます。私は旅先にはクロックスを持ち歩いているので、特に不便を感じはしませんでした。



 次回、シンガポール経由で例えばベトナムに行くことがあれば、トランジットホテルを利用することにして、手荷物の「機内預け」に挑戦です。現地でも手に入れられる着替えの類を詰めた荷物を預ければ、紛失してもそれなりに対処できそうです。

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 私の母は踊りの先生をしていて、同年代の高齢者と比べ元気にしていたのですが、つまずいて転倒したことで体調を崩し、最近ではベッドに寝ていることが多くなりました。病院を幾度か変え、現在では私が舟状骨骨折で通ったことのある整形外科に腰痛の治療で通院しています。そこで指摘されたのが、「骨量の減少」。

 骨量の減少で骨の脆弱性が増加し、骨折の危険性が高くなっている状態ですと言われ、再度転倒することがあれば、寝たきりになる可能性を認識してくださいとも言われました。いわゆる「骨粗鬆症」です。私の母は80歳代半ばですから、骨粗鬆症である頻度は60%以上で、自分が骨粗鬆症であったことは、驚きではなかったようです。

 医師から今までの治療に代えて最近発売された(2011年11月25日)新薬、骨粗鬆症治療薬「テリボン(Teribone)」による治療を提案されたので、調べてみることにしました。旭化成ファーマ株式会社が製造する「テリボン皮下注用56.5μg」(注射用テリパラチド酢酸塩、Tetiparatide Acetate)は、骨粗鬆症治療の新薬として、非常に注目される薬なのだそうです。

 しかし、以前に通院していた病院で処方された薬が身体に合わず、歩くのもままならないほど病状を悪化させてしまった経験のある母は、薬を変えることに慎重です。私が薬の副作用を疑い、別の病院に相談して、確信を得て、薬の服用を止めさせたことで、「お母さん、もうだめ。このまま死んでしまうの」という弱気の虫を追い出したのですが、それでも劇的に身体の痛みから解放される治療方法は見つかっていません。

 骨粗鬆症はどのようにして起るのでしょうか。私たちの身体は、古い骨を壊しながら、新しい骨を作っており、骨量を一定に保っています。骨組織において古い骨を破壊(「骨吸収(bone resorption)」という)するのが破骨細胞(osteoclast)であり、新しい骨を形成(「骨形成(bone formation)」という)するのが骨芽細胞(osteoblast)です。骨粗鬆症(osteoporosis、オステオポローシス)は、何らかの原因で、骨形成の速度(bone formation rate)よりも骨吸収の速度(bone resorption rate)が速くなってしまっている状態をいいます。



(注) オステオ(osteo-)は、ギリシア語で「骨」を意味します。ポローシス (-porosis)は、「空洞形成」を意味し、骨の中に空洞が形成される「骨多孔症」とでもいう意味になります。「粗鬆(そしょう、そそう)」は、「細やかでないこと。大雑把で荒いこと」を意味することから、この「骨内空洞形成症」とでもいう状態は「骨粗鬆症」と一般的に呼ばれています。オステオパシー (osteopathy)という整体法がありますが、これはオステオとパソス(pathos、病理、治療)から形成された言葉です。(注終わり)

 骨粗鬆症の治療法が見えてきます。骨形成の速度を上げる方法と骨吸収の速度を下げる方法です。アクトネル(ベネット、経口薬:味の素が製造)やフォサマック(経口薬:MSDが製造)などのビスフォスフォネート(bisphosphonate、BP)製剤は、骨吸収の速度を下げるために使われる薬で、破骨細胞の活動を阻害し、古い骨の破壊を防ぎます。しかし、骨吸収の速度が骨形成の速度を上回っているという状態は、骨吸収が亢進されいている場合と骨形成が抑制されている場合が考えられ、骨形成が抑制されている場合には、ビスフォスフォネートは、効果が薄かったようです。

 体内のカルシウムは骨の中に99%、血液や細胞の中に残りの1%が含まれているといいます。人体は血液中のカルシウム濃度が低下すると、骨の中からカルシウムを調達するなどします。骨吸収(血液から見ると骨を吸収していることになり、骨からみると破壊されていることになる)が起るのです。血液中のカルシウム濃度が低下すると、副甲状腺ホルモンの分泌が促進され、血液からの排出の抑制-尿に出るカルシウムを抑え、血液への取り込みの促進-カルシウムの腸からの吸収を促し、また、骨を壊して骨からのカルシウムを調達する、ことによって、血液中のカルシウム濃度を上昇させます。

 副甲状腺(parathyroid gland)は、首にある甲状腺の後ろ側に4つある内分泌腺です。この内分泌腺から分泌される「副甲状腺ホルモン」は、ビタミンD(血液中のカルシウム濃度を高める)、カルシトニン(甲状腺などから産生。血液中のカルシウム濃度の上昇により分泌が促進され、破骨細胞にあるカルシトニン受容体に作用して骨吸収を抑制)とともに、血液中のカルシウムの濃度の調節に関わります。

 副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone, parathormone、PTH)には、(1)骨吸収を促進する作用と、(2)骨形成を促進する作用があります。2つは相反する作用です。持続的に副甲状腺ホルモンが高い状態では、骨吸収の作用が発揮され、骨が破壊されて(骨密度が低下して)、カルシウムが血液中に増えてきます。しかし、間歇的に副甲状腺ホルモンを上昇させると、骨形成の作用が発動して、血液中のカルシウムを材料として、骨が形成されます(骨密度が上昇します)(differential effects of intermittent and continuous administration)。そこで、副甲状腺ホルモンを間歇的に血液中に増加させるという骨粗鬆症に対する新たな治療法が試みられることになります。

 「テリパラチド(Teriparatide)」は、骨形成促進作用を持つヒト副甲状腺ホルモン製剤です。テリパラチド製剤には、旭化成ファーマが製造販売する(2011年11月販売開始)「テリボン(Teribone)」と日本イーライリリーが販売する(2010年10月販売開始)「フォルテオ(Forteo)」があります。ともに皮下注射する製剤ですが、「フォルテオ」は毎日1回(20μg、毎日通院するわけにはいかないので、自分で注射する必要がある)、投与するのに対して、「テリボン」は週に1回、1バイアル(56.5μg)を日局生理食塩液1mlに溶解して投与します。

 背骨(脊椎)は「椎骨(ついこつ)」と呼ばれる骨が連結したものです。椎骨は24個からなり、頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個です。椎骨の円柱状の部分を「椎体(ついたい)」といいます。高齢者の女性が骨折で「寝たきり」になる大きな原因の1つがこの椎体の骨折です(寝たきりの原因の第3位)。椎体圧迫骨折は、椎体が潰れた状態で骨折するため、回復させることが難しいのです。

 椎体圧迫骨折が生じる主な要因は、骨粗鬆症で骨が脆くなっている状態で転倒することです。高齢者の女性が転倒することは、寝たきりに直結してしまうとても危険なアクシデントなのです。日本の骨粗鬆症の患者は約1000万人と推定されており、女性が全体の70%ほどを占めています。女性の椎体圧迫骨折の頻度は、50歳から70歳未満では20%、70歳代で25%ほどですが、80歳代では約43%と高率になってきます。

 女性ホルモンのエストロゲンは骨組織に直接的に作用し、破骨細胞の寿命を調節することで、骨吸収の速度を減速しています。18〜20歳頃の性成熟期には、女性ホルモンによって、骨吸収の速度が減速させられ、骨形成の速度が上回ることになり、最大骨量に達します。40歳代に入ると女性ホルモンの分泌が急激に低下し、骨吸収の速度が回復して、骨量は減少し始めます。50歳頃(日本人の平均閉経年齢)から女性ホルモンの分泌がさらに急激に低下します。骨量はさらに減少し、骨粗鬆症の発現です。

 テリボンを実験用サル(卵巣摘除。女性ホルモンは卵巣で作られることから、卵巣を摘除して女性ホルモンが低下した状態を作り出す)に週1回18ヵ月間反復投与したところ、対照(テリボン非投与)と比較して腰椎及び大腿骨近位部の骨密度が増加したといいます。また、ヒトに対して行った二重盲検法(Double blind test、被験者を被験薬の投与群と被験薬に似せた薬効のない薬の投与群とに分け、その振り分けを治験実施医師にも知らせない)で、テリボン非投与群の新規椎体骨折発生率が投与72週後に14.5%(281名中40名に発生)だったのに対し、テリボン投与群では3.1%(261名中8名のみに発生)と有意に椎体骨折の発生を減少させています。これはテリボンの骨密度増加効果をヒトでも実証したものといえます。

 椎体骨折のリスクの減少率を求めてみましょう。(14.5−3.1)/14.5を求め、%に変換すると、78.6%ほどになります。テリボンを週に1回、72回投与すると、椎体骨折をする可能性が4分の1に減少するのです。しかし、これは1年4か月ほどにわたって投与した場合で、48週(11か月)では、(10.4−3.1)/10.4×100=70.2で、24週では、(5.3−2.6)/5.3×100=50.9でした。5か月半での投与で、椎体骨折のリスクは半減することになります。



 テリボン投与とともに日常生活で転倒しないように心がけなくてはなりません。家の外階段に手すりをつける手続きが進行中です。手すりがないため、最近外階段から母が転げ落ちました。近所の人が見ていて、すぐに知らせてくれたので、事なきを得ました。頭にこぶを作りましたが、骨折には至りませんでした。

 骨量を減らさないためには、骨に刺激が加わる適度な運動は必要です。ウォーキングやストレッチ体操といった軽い運動は日常生活に取り入れなくてはなりません。外へ出て日光浴をすることはビタミンDの生成に必要です。ビタミンDはカルシウムの腸管からの吸収を促進させます。転倒は怖いのですが、恐れすぎて歩かないのは結果、骨量を減少させてしまいます。

 テリボンの副作用の1つに「めまい」や「立ちくらみ」があります。この症状は、投与直後から数時間後にかけて現れることがあるといいます。一過性の血圧低下が現れるのです。骨折を防ぐための投薬が骨折の引き金になってしまうのは、絶対に避けたいところです。

 母にテリボンの投与が始まります。その効果のほどと身体の変調などの副作用があれば、またいずれかの機会に報告したいと思います。母の「クオリティ・オブ・ライフ (Quality of Life、QOL)」の向上を目指して、テリボンのことを調べてみました。

(注)テリボンの1回あたりの薬価は約1万3千円です。年間で、12,971円(1バイアル=56.5μg)×(365÷7)回=676,345円。これを12か月で割ると、12,971円×(365÷7)÷12=56,362円/月になります。後期高齢者医療制度による医療費の自己負担割合は、1割または3割(住民税の基準課税所得額による)ですから、負担する金額は月に5,600円ほどか16,900円ほどになります。

                  (この項 健人のパパ)

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 2月3日配信の「フジサンケイ ビジネスアイ」の記事によると、「エアアジア・ジャパン」が国土交通省から航空法に基づく航空事業許可を取得したそうです。エアアジア・ジャパンは、2012年10月に「ソウル(仁川)」、「釜山」への乗り入れを予定しています。航空運賃は5月に発表されるようですが、大手の航空会社の2分の1から3分の1ほどに設定されるようです。

 韓国に出かけるときには独り旅が多く、夫と息子はお留守番です。夫に一緒に行くように誘うのですが、「そのコストをかけて出かけるほど関心が持てなくてね」と断られてしまいます。でも、地図に強い夫を連れて行った方が食べ歩きに便利ですし、少食な私はひとりでは食べ切れないので、食べたい物をいろいろと注文することができません。高速バス並で韓国に行けるならば、コスト意識の強い夫も「これならば行こう!」と言うかと思うとうきうきします。

 運賃はいくらに設定されるのでしょうか。エアアジア・ジャパンは、ANAとエアアジア(AirAsia)が共同で出資し、2011年8月に設立された日本の格安航空会社 (LCC、Low Cost Carrier) です。LCC(Low Cost Carrier、ローコストキャリア)は、効率的な運営をすることで、コストを低く抑え、低価格で運賃を提供する航空会社です。代表的なものに、アメリカのサウスウエスト航空、イギリスのイージージェット、マレーシアのエアアジアなどがあります。

 LCCは、(1) 航空機の機種の統一(パイロットの教育にかける費用を抑えることができる。航空機の免許は機種ごとに必要なのだが、機種を統一すれば、教育費用が少なくて済む。整備士についても同様なことが言える)、(2) 空港施設使用料の抑制(航空会社は空港に対して、着陸料や停留料、手荷物取り扱い施設使用料、旅客搭乗橋施設使用料(搭乗橋を利用しなければ、支払う必要はない)などを支払う。この使用料の安いLCC専用ターミナルを利用したり、都市圏の基幹空港(プライマリー空港)ではなく大都市周辺の2次的空港(セカンダリー空港)を利用する)、(3) 機内食などのサービスの有料化、(4) インターネットを利用した航空券の直接販売、などで格安運賃を実現しています。

 関西国際空港では、航空機の最大離陸重量1トン当たり2,300円が着陸料として必要で、例えば、最大離陸重量(Maximum Takeoff Weight、MTOW)276トンのボーイング777の1回あたりの着陸料は、2,300(円/トン)×276(トン)=634,800円になります。また、離着陸等施設を6時間以上使用して停留する場合、その停留時間24時間ごとに、1トン当たり200円が停留料として必要で、例えば、ボーイング777が6〜24時間停留すると、200(円/トン)×276(トン)=55,200円になります。乗客を300人〜400人とすると、着陸料と停留料だけで、1人当たり(満席として)1,700円から2,300円かかることになります。これに燃料費などが加わります。

 航空会社の採算性を示す指数に「ユニットコスト(unit cost、単価)」があります。総コストを座席キロ(1席を1キロ運ぶ)で割ったものをユニットコストといい、それが低いほど、航空運賃を低く設定できます。ユニットコストは、JALやANAで15円、ルフトハンザで13円です。シンガポール航空、アメリカン航空、スカイマークで7円〜9円です。ところが、LCCである「サウスウエスト航空(Southwest Airlines)」で5円、「ライアンエア(Ryanair)」で3円、「エアアジア(AirAsia)」で2.5円ほどなのだそうです。このデータを信用すると、エアアジアはANAの6分の1のコストで飛行機を飛ばしていることになります。成田-釜山間を1,000kmほどとすると、エアアジアでは1人当たり2,500円ほどが総コストとしてかかることになります。

 今までエアアジアで、シンガポール、マレーシア、ベトナム、バリなどに飛び、韓国には、エアプサンを利用しましたが、成田-釜山は、一日一便往復であり、スケジュールがあまり有利でない(午後に成田を発ち、午前に釜山を発たなければならない)ので、不便だと感じていました。しかし、これからはこの秋に就航予定のエアアジアを利用して度々韓国に食べ歩きに行けそうです。最近、鍋などの下味に使っている韓国の化学調味料無添加のダシの買出しも気軽に行けそうです。

(参考) 「LCC(格安航空会社)の「エアプサン(Air Busan)」で釜山の旅へ。

 エアアジア・ジャパンの岩片和行社長は、「成田という基本的にコストの高いところで始めるが、きちんとコストを下げて、バスのように使ってもらえるよう取り組んでいきたい」と述べ、成田国際空港株式会社と「着陸料」の引き下げ交渉を進めるなど、就航に向けて準備作業を本格化させる考えを明らかにしたようです。

 夫が納得するような運賃であることを期待しています。

(記事は、2月の最初に書いたのですが、いつも夫の「検証」(記事をより正確にするためなのだそうです)を受けなければならず、息子「健人」の通っている中学校の広報紙を発行する広報委員になった夫は忙しかったらしく、検証が進まず、なかなか「公開する」という扱いにはならず、そのうちインフルエンザの流行が始まり、インフルエンザの記事を「健人のパパ」というハンドルネームで書いている夫はそちらの方に気が行ってしまったようで、インフルエンザのピークも過ぎようとしているので、ようやく公開ということになりました。厄介な夫を持ったものです)

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 インフルエンザにかかると、その症状に個人差はありますが、意識が朦朧とするほどの高熱、しつこい咳、食事もままならないほどののどの痛み、頭が割れそうな強い頭痛、四六時中流れる鼻水、からだの震えが止まらないほどの悪寒、歩くのもやっとになるほどの関節痛、などの不快な症状のいくつかが現れます。

 この不快な経験をしたくはないので、インフルエンザへの感染を防ぐために、少なくとも感染をしても軽い症状で済むように、私たちは12月から3月までの本格的な流行期に間に合わせて、10月から11月頃にインフルエンザのワクチン接種を受けます。しかし、流行期にはインフルエンザに罹患した患者を毎日診なければならない内科の医師は、ワクチンの効果があまりでない年と、そうではない年があることを感じていると言います。

 およそ4年前の2008年4月11日に開催された日本臨床内科医会の「第105回日本内科学会」で、「日本臨床内科医会インフルエンザ研究班」が2001/02シーズンから継続的に行っている「インフルエンザワクチンの有効率」に関する研究の結果が発表されました。その結果は、「流行シーズンによって、インフルエンザワクチンの有効率は、20%から80%まで大きな開きがある。」というものでした。

 ワクチン接種者からのインフルエンザ発生率は、2001/02年シーズンから2006/07年シーズンまでの過去6シーズンのいずれにおいても、非接種者に比べてかなり低く、ワクチンの有効性は認められるとするものの、詳細に年齢群別に発生率を見ると、シーズンによっては差がほとんど認められない年齢群もかなりある、と報告されました。

 研究班は、日本臨床内科医会に所属する40施設以上の医療機関で、インフルエンザの予防接種を希望した患者と希望しなかった患者を追跡して、データの収集を行ったといいます。インフルエンザ様の症状が発現した患者について、「迅速診断キット」を用いて診断し、罹患状況を把握します。また、ワクチン接種の前後、インフルエンザ発症時、回復時に、赤血球凝集反応(HI)抗体価を測定します。

(参考) 「息子の発熱と「イムノクロマト法」と「迅速診断キット」の原理と、、、

 インフルエンザウイルスは、鳥類や哺乳類の赤血球を凝集させます(赤血球凝集反応)。しかし、そのインフルエンザウイルスに対して、ヒトが「抗体」が持っていれば、抗体はウイルスの赤血球凝集素を攻撃し、赤血球が凝集しないようにします(凝集抑制)。この現象を利用して、血液中に抗インフルエンザ抗体がどのくらいできているかを調べることができます。

 「赤血球凝集抑制試験(HI試験、Hemagglutination Inhibition Test)」では、血球吸収処理などの前処理を行った被験者の血清を検体とし、×10、×20、×40、×80、×160、×320というように希釈したものを用意します。そこに、一定の抗原量のウイルスを加えて反応させます。このとき、抗体が存在すれば、ウイルスの赤血球凝集能を奪うことになります。さらに、赤血球浮遊液を加えて、目視で赤血球の凝集を観察します。

 検体に含まれている抗体の数が多いと、希釈に耐えます。そこで、どの希釈倍数まで凝集が抑制されていたかでHI抗体価を測定します。例えば、×10、×20、×40希釈の検体では赤血球が凝集しなかったが、×80希釈の検体では赤血球が凝集したとすると、HI抗体価は40倍ということになります。インフルエンザの感染予防や感染しても症状の軽減に期待できるのが40倍以上で、より感染を防御できる十分な抗体価は160倍以上とされています。

(参考) 「新型インフルエンザウイルスの抗体保有率の報告を読む

 ここで、定義をしないで使っていた「有効率」について述べておきます。「有効率80%」というとき、「ワクチン接種を受けずに発症した人の80%は、ワクチン接種を受けていれば発症を免れた」ということを意味しています。ワクチン接種者からのインフルエンザ発生率とワクチン非接種者からのインフルエンザ発生率を比較することで求められます。ワクチンを接種していれば、ワクチンを接種していない人よりも発症者が少ない、ということが「有効率」であって、インフルエンザの感染力が強い時には、有効率が同じであっても、ワクチン接種者からの発症者は多くなります。

 今年(2011/12年シーズン)は、インフルエンザの患者が各地で多数出ていますが、このことをもって、ワクチンの有効率が低い(「今年のワクチンは外れ」)とは言えません。ワクチン接種者のインフルエンザ発症率とワクチン非接種者のインフルエンザ発症率のデータを収集して初めて、有効率が測定できるのです。そのためには、インフルエンザのワクチン接種を受けたグループと接種を受けないグループを分け、その中でインフルエンザに発症したグループと発症していないグループに分けます。つまり、ワクチン接種を受けてインフルエンザを発症しなかった人、接種を受けたが発症した人、ワクチン接種を受けていなくてもインフルエンザを発症しなかった人、接種を受けていないので発症した人、というデータが必要なのです。

(参考) 「今年(2011/12年シーズン)のインフルエンザワクチンはハズレなのか。

 こうして求めたワクチンの有効率は、A型のインフルエンザウイルスでは、2001/02年シーズンの78.6%から、2002/03年、2005/06年、2003/04年、2004/05年シーズンと低下し、2006/07年シーズンでは20.5%になっていました。2005/06年シーズンを別にすると、2001/02年シーズンから2006/07年シーズンへと減少して行ったのです。



 ワクチン接種前後のHI抗体価の変化をみてみると、A/H3N2型(香港型)では、HI抗体価が40倍以上に達した割合や接種の前と後を比較して4倍以上の抗体価の上昇が見られた割合が2006/07年シーズンでは他のシーズンと比べて低い傾向が見られ、ワクチン株に対する抗体価の上昇の悪さが、2006/07年シーズンの20.5%という低い有効率に影響したようです。

  今年の(2011/12年シーズン)ワクチンの有効率は、いくらくらいの値になるのでしょう。インフルエンザの大流行が始まっています。東京都では、定点医療機関(東京都には419ヵ所)からのインフルエンザの患者報告数は、2012年第5週(1月30日〜2月5日)で18,939人で、これを419で割ると定点医療機関当り45.20人になります。1週間で約45人ですから、単純に7日で割ってみると1医療機関で毎日6人強が「インフルエンザです」という宣告を受けていることになります。この45.20人という数字は、現在の調査が始まった1999年以降もっとも多くなっているのだそうです。



 毎年、インフルエンザの本格的な流行が始まる前に、インフルエンザに対する国民の抗体保有状況を把握するために、感染症流行予測調査事業において、「インフルエンザ感受性調査」が実施されています。対象者(2011年度の調査は、25都道府県から各198名、合計4,950名を対象とした)から採取された血液(血清)を用いて、赤血球凝集抑制試験(HI試験)が行なわれ、インフルエンザウイルスに対する抗体の有無と抗体価が測定されています。

 この調査によると、本年度の抗体保有率は「A(H3N2)亜型」に対して、すべての年齢群で前年度(2010年)よりも高かったようです。ここに言う「抗体保有率」は、HI抗体価が40以上の抗体を保有している者の割合を示しています。これでいくと、前年度よりも患者数を低く抑えられるはずでした。しかし、結果は「大流行」になってしまいました。ワクチンの接種が抗体価の上昇にあまり結びつかなかったのでしょうか。



 A型のインフルエンザの罹患者の急激な増加が1月から2月にかけてあり、その後で3月から4月にかけてB型の罹患者の増加があり、ピークが2つ現れるのがインフルエンザの流行の例年の状況(2008/09年シーズンが典型)なのですが、今年(2011/12年シーズン)はA型の流行をすぐに追いかけてB型の流行が始まってしまったので、インフルエンザの大流行になっているのではないかという観測もあります。

 東京都健康安全センターの「インフルエンザ検出数」というグラフを見れば、その観測も頷けるものがあります。WHOの報告によれば、世界的にはカナダ、西ヨーロッパ、北アフリカ、中国などでインフルエンザの流行が拡大しています。検出されたウイルスの大多数はA(H3N2)型ですが、メキシコではA(H1N1)型、中国ではB型が多くなっているといいます(The most commonly detected virus type or subtype throughout the northern hemisphere temperate zone has been influenza A(H3N2) with the exception of China, which is reporting a predominance of influenza type B, and Mexico, where influenza A(H1N1)pdm09 is the predominant subtype circulating.
In addition to Mexico, some southern states of the United States of America and Colombia in northern South America have also reported a predominance of A(H1N1)pdm09 in recent weeks.
)(WHO“Influenza update”03 February 2012)。



 東南アジアでも流行しているB型のインフルエンザは、ワクチン株(ビクトリア系統)に含まれていない種類(山形系統)が流行株に含まれています。ワクチンの効果もなく、インフルエンザの罹患者がこれからも増加を続けるのでしょうか。

                (この項 健人のパパ)

(追記) 2月17日配信の毎日新聞の記事によると、2012年第6週(2月6日〜12日)の1施設あたり(全国約5000の定点医療機関から報告)のインフルエンザ患者数は前週より減少したそうです。患者数は昨年10月中旬から増加してきましたが、今回は40.34人で、前週の42.62人から初めて減少に転じました。

 今シーズン(2011/12年シーズン)の患者は、70歳以上の割合が昨シーズンの3倍近くに上っているのが特徴といえるようです。2012年第5週(〜2012年2月5日)までの70歳以上の推計患者数は累計約27万人、全体の4.4%で、昨シーズン同期の約10万人、全体の1.6%と比べると大幅に上回っています。さらに、重症患者の3分の1ほど(32.3%)を70歳以上の高齢者が占めているといいます。

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 2月10日、国立感染症研究所は、2012年第5週(1月30日〜2月5日)に医療機関を受診した患者数が第4週(1月23日〜29日)から約38万人増加し、約211万人(全国約5000の医療機関からの報告を基に推計)に上ったと発表しました(感染症発生動向調査週報(2012年第5号)の発行は2月17日)。「新型インフルエンザ(インフルエンザ(H1N1)2009、A/H1N1pdm09)」が流行した2009年には、第48週(2009年11月23日〜11月29日)にピークを迎え、約189万人が罹患したと推計されていますから、このウイルスに対応したインフルエンザワクチンが行き渡っていなかった時期よりも患者数が多いといえます。

 国立感染症研究所は、今年(2012年)は例年より湿気の少ない日が多く、インフルエンザウイルスが喉の粘膜などに付着しやすい状況となっていることも流行の原因の一つと考えているようです。気象庁のホームページから、「気象統計情報 > 過去の気象データ検索」で東京都の湿度のデータを調べてみると、2012年第4週(1月23日〜29日)で、77、51、53、40、42、36、29%と並びます。平均値をとると、約46.9%になります。これを2011年第4週(1月24日〜1月30日)と比べてみます。65、34、37、28、30、40、34%と並び、平均値は約38.3%になります。

 twitterには、「本日、ドクターに会えたので聞きました。やはり 今年のインフルエンザワクチンは全部ハズレだそうです。」(1月27日)、「調剤師さんのお話によると今回のワクチンはハズレらしい。」(2月8日)、「今年のインフルエンザワクチンはハズレだなと、感じる。例年に比べ多くの医療従事者が罹患しているのをみてる。」(2月8日)などという呟きが見られます。この説の真偽のほどは、不明です。私にとっては伝聞に過ぎなく、医師や薬剤師から直接「ハズレ」と聞いたとしてもそう判断した根拠が正しいものかもわかりません。

 国立感染症研究所感染症情報センターの発行する「病原微生物検出情報月報(Infectious Agents Surveillance Report、IASR)」の2011年11月号にある「平成23年度(2011/12シーズン)インフルエンザワクチン株の選定経過」という項目に気になる記述があります。「孵化鶏卵での増殖性が良好なA/ビクトリア/210/2009から開発した高増殖株X-187」・・・「で製造したワクチンは流行株をあまり抑えない可能性が示唆された。」しかし、「総合的に判断して、2011/12シーズンのA(H3N2)亜型ワクチン株は、A/ビクトリア/210/2009高増殖株X-187を選択することとした。」という記述です。

 現在のインフルエンザワクチンは、ワクチン製造用のインフルエンザウイルスを「発育鶏卵(孵化鶏卵、有精卵が孵化するまでの発育過程の鶏卵)に接種して増殖させ、漿尿液から精製・濃縮したウイルスをエーテルなどの脂溶性溶剤を加えて、免疫防御に関与する部分を取り出し(「成分ワクチン、スプリットワクチン、HAワクチン」 )、更にホルマリンで不活化したものです(死滅させた病原体を含む「不活化ワクチン」で、弱毒化してあるが生存している病原体を含む「生ワクチン」とは異なる)。

(参考) 「人獣共通感染症と「豚インフルエンザ」、「鳥インフルエンザ」

 A(H3N2)亜型のワクチン製造には、A/ビクトリア/210/2009から開発したX-187という株とA/ブリスベン/11/2010から開発されたX-197という株が検討されたようです。

 A(H3N2)亜型ウイルスは、「A/パース/16クレード」と「A/ビクトリア/208クレード」の2つの「系統群(共通の祖先から分岐した群、分岐群、clade、クレード)」に大別されています。A/パース/16クレードは、「A/パース/16/2009株」と「A/ビクトリア/210/2009株」で代表され、A/ビクトリア/208クレードは、「A/ビクトリア/208/2009株」と「A/ブリスベン/11/2010株」で代表されます。

 2010/2011年シーズンで、A(H3N2)亜型ウイルスの分離報告は2,436株であり、分離株のおよそ86%は「A/パース/16/2009株」とその類似株の「A/ビクトリア/210/2009株」だったそうです。この結果からは、A(H3N2)亜型のワクチン製造には、「X-187」という株を用いればよいという結論が引き出されますが、この製造株に対するフェレット感染抗血清を用いてA/パース/16/2009類似の流行株との交叉反応性をHI試験で調べたところ、抗X-187血清は、最近の流行株との反応性がかなり低下することが確認されたのだそうです。

 インフルエンザウイルスは、鳥類や哺乳類の赤血球を凝集させます(赤血球凝集反応(Hemagglutination))。フェレットなどの動物にインフルエンザウイルスを接種すると、免疫反応により抗血清が得られますが、この抗血清は最初に接種したウイルスに対しては赤血球凝集反応を特異的に抑制します。この現象を利用した検査法が「赤血球凝集抑制試験(HI試験法、Hemagglutination Inhibition Test)」です。血液中に抗インフルエンザ抗体がどのくらいできているかを調べることができます。

(参考) 「新型インフルエンザウイルスの抗体保有率の報告を読む

 赤血球凝集能を持つインフルエンザウイルスのようなウイルスの抗体検査は、「HI試験」によって測定します。抗体が存在すれば、抗体はウイルスの赤血球凝集素を攻撃し、赤血球が凝集しないようにします(凝集抑制)。赤血球の凝集で抗体の保有を判断するわけです。抗X-187血清は、理論とは異なり、A/パース/16/2009類似の流行株の凝集抑制という働きを充分にしなかったのです。

 一方で、A/ブリスベン/11/2010から開発された「X-197」に対するフェレット感染抗血清は、その原株と同様に流行株(A/パース/16/2009類似株)をよく抑えたことから、ワクチン効果はX-187よりも高い可能性が示されたそうです。「A/ブリスベン/11/2010株」はA/ビクトリア/208クレードで、A/パース/16クレードとは別の系統群に属するのですが、A/ビクトリア/210/2009(A/パース/16/2009類似)に対しての「抗原性(抗体を作らせる性質)」に勝っていたのです。

 ちょっとまとめてみましょう。2011/12年シーズンに流行するインフルエンザウイルスは、A/パース/16クレードという系統群に属するA/ビクトリア/210/2009であろう。ならば、A/ビクトリア/210/2009から開発したX-187という株をワクチン製造株にするのがよいだろう。しかし、X-187で製造したインフルエンザワクチンは、なぜかHI試験の結果が悪く、インフルエンザの感染を防いだり、重症化を妨げる抗体を作り出す能力に疑問詞がつくことになった。ところが、X-197というワクチン製造株では、良好な結果が得られることがわかった。というところまできました。

 しかし、残念なことがわかります。X-197というワクチン製造株は、発育鶏卵の中で増えるという「増殖性」に劣り、ウイルスの収量が問題視されます。必要量のワクチンを期限内に製造できないことがわかったのです。鶏卵を増やすと、採算性は悪くなりますが、収量を確保はできます。ところが、無菌で生産される鶏卵はすぐには増産できないのです。インフルエンザワクチンは一種の季節商品であり、時期を逃しては意味がありません。また、かりに増産できたとしても、増殖性の悪い製造株でワクチンを製造すると、卵タンパクを限度以上に含むなどの「純度の低下」によって、「卵アレルギー」反応などの副反応のリスクが増加してしまいます。

(参考) 「「卵アレルギー」と「細胞培養法」の新型インフルエンザワクチン

 この月報は、次のように結びます。「総合的に判断して、2011/12シーズンのA(H3N2)亜型ワクチン株は、A/ビクトリア/210/2009高増殖株X-187を選択することとした。」 これを「ワクチンがまるでないよりはマシです。」と読むのは穿った見方でしょうか。ワクチンが「動物(フェレット)の血清を用いた交叉反応試験」で有効性が懸念され(「はずれである」)ても、人に対しては有効である(「はずれていない」)ことはありえることですが、毎年欠かさずインフルエンザワクチンの接種を受けている我が家でも、今年の冬はいつもの年とは異なり、風邪様の症状やインフルエンザ様の症状を私も妻も我が子も経験しています。

(注意) 正しい読み方でないのかも知れないので、深く知ろうとする人は、必ず「平成23年度(2011/12シーズン)インフルエンザワクチン株の選定経過」をお読み下さい。

                   (この項 健人のパパ)

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 1月28日配信の産経新聞の記事によると、茨城県の取手市(龍ヶ崎保健所管内)の「取手北相馬保健医療センター 医師会病院」で、入院患者と職員の計57人がインフルエンザに集団感染したそうです。1月20日から28日にかけて、職員32人、患者25人(入院患者166人。約15%が感染)がインフルエンザに感染し、迅速検査では1人を除き、B型にインフルエンザに陽性を示したようです。

 医師会病院の職員は334人であることから、感染者は約9.6%。職員は全員インフルエンザのワクチン接種を受けているという報道もあることから、ワクチンの感染予防効果には疑問が呈されます(ワクチンには重篤化を防ぐ効果もある)。病院内の環境が湿度が低いなどのインフルエンザウイルスに都合のよいものだったのでしょうか。

 「国立感染症研究所感染症情報センター」の報告によると、2011年第36週〜2012年第1週に国内で検出されたインフルエンザウイルスは、そのおよそ90.5%がA香港型であり、B型は9.1%です。検出例の少ないB型の割合が非常に大きいのは、誰か1人が持ち込んだウイルスが病院内で感染を繰り返した可能性が高いといえそうです。



 (1月28日配信の読売新聞の記事によると、茨城県内にある120ヵ所の定点医療機関の平均患者数が、2012年第3週(1月16日〜22日)に12.43人となり、「今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性を示す注意報の基準」10人を超えたそうです。「つくば保健所」管内では、10定点医療機関の平均患者数が32.4人となり、「大きな流行の発生・継続が疑われることを示す警報の基準」30人を上回ったようです。各保健所管内の流行指数は、常総5、潮来5.63、筑西7.4、ひたちなか8.88、日立8.91、常陸大宮10.25、鉾田10.6、土浦11.92、水戸12.35、古河12.38、竜ヶ崎17.14、つくば32.4、と高くなっていきます。)

 NHKニュースでは、病院発表をそのまま引用して、「今月20日に女性の看護師1人がインフルエンザに感染したあと、28日までに25人の患者と32人の職員の合わせて57人に感染が広が」り、「(その看護師は)予防接種を受けていたため軽い症状しか表れず、自分では気づかないまま院内感染が広がった可能性があると見ています」と報道しています。

 この病院の発表をそのまま受け入れていいのでしょうか。1人が残りすべての感染者にインフルエンザウイルスを感染させたのでしょうか。数次にわたって感染を繰り返したということはないのでしょうか。どこの病院でも、病院職員はインフルエンザワクチンの接種を受けているのが当然と思われます。ならば、インフルエンザに感染しても「軽い症状」しか現れない可能性はあり得、他の病院でも集団感染が起りえるはずです。

 全国には医療施設が17万施設(「病院」は9,000施設弱)ほどあるようです。そのなかで療養病床を有するものは、「病院」と呼ばれるもので4,000施設ほど(一般診療所で2,000施設ほど)です。集団感染が2人の死者を生じさせた可能性があるのでニュースになったとも考えられ(つまり、集団感染は起っているがニュースにはならない)、4,000分の1の確率が高くなったとしても、それでも病院の感染拡大の予防対策が病院側に不十分であったと指摘すべきでしょう。個人に責任を転化できる問題ではありません。

 感染拡大を防ぐには、感染者を病院内や医療現場に立ち入らせないのが最も効果的で、「発熱がある」、「咳をしている」などのインフルエンザ感染の可能性のある職員を勤務させないのがいいのですが、いまの医療現場は少ない医師や看護師で運営しているという現実があるようです。多少の発熱などの体調不良では休めないのでしょう。

 2月2日配信の時事通信の記事によると、山梨県甲府市(中北保健所管内)の城東病院で、インフルエンザの集団感染が発生したようです。1月27日から、入院患者や職員にインフルエンザ様症状がみられ、院内で検査の結果、入院患者26名(入院患者数は231人。約11%が感染)と職員10名(職員数216人。4.6%が感染)がインフルエンザA型と診断されたそうです。

 脳血管障害などの基礎疾患のあった80歳代(男性)と90歳代(女性)の入院患者が2人亡くなり、現在、重篤者が3人(女性患者2人と男性患者1人)いるようです。入院患者の発症者26人のうち、予防接種を受けた者は15人(接種率約58%。基礎疾患のある高齢者はワクチンの接種自体が大きなリスクとなる)、職員の発症者10人のうち、予防接種を受けた者は9人(接種率90%)だったようです。

 2月2日配信の毎日新聞の記事によれば、2012年第4週(1月23日〜29日)に、山梨県の定点1医療機関あたりのインフルエンザ患者数が33.28人となり、警報レベル(定点1医療機関あたり30人以上)に入ったようです。県内40の定点医療機関の患者数は計1331人。地域別では、富士・東部で45.56人、中北で34.31人、峡東で28.71人、峡北で26.00人、峡南で22.00人となっているそうです。

 インフルエンザワクチンには、少なくとも重篤化を防止する効果はあるのではないかと言われています。しかし、インフルエンザのウイルスに対抗するにはある程度の体力は必要でしょう。病院ですから、看護師などの職員は別として、体力の低下した人がいるわけです。病院には、感染予防や感染拡大阻止の対策を十分に講じてもらいたいものです。

(追記) 2月2日配信の朝日新聞の記事によれば、宮崎県宮崎市の潤和会記念病院(宮崎市保健所管内)で、インフルエンザの集団感染が発生したそうです。1月24日に職員がインフルエンザに感染したあと、院内で感染が広がり、2日までに55人(30日で41人。この時点で新規の入院や転院などを取りやめていた)(入院患者30人、職員25人)が感染したそうです。この病院の入院患者は380人(推定)であることから、感染率は7.9%ほど。

 1月10日に入院していた80歳代の女性が肺炎で死亡しました。しかし、インフルエンザ感染と死亡との因果関係ははっきりしないようです。さらに、60歳代〜70歳代の患者の男女2人も重篤な状態だといいます。病院職員のインフルエンザ予防接種率は、2010年度のデータで、94.4%。医師は100%なのですが、看護師は93.7%のようです。

 宮崎県では、2012年第3週(1月16日〜1月22日)の時点で、延岡、日南、小林保健所管内で「警報」(大きな流行の発生・継続が疑われることを示す)が出ており、 他の全域(宮崎市、都城、高鍋、高千穂、日向、中央保健所管内)で「注意報」(今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性があることを示す)が出ていました。

 厚生労働省・感染症サーベランス事業により、 全国約5,000のインフルエンザ定点医療機関を受診した インフルエンザ患者数が週ごとに把握されています。 過去の患者発生状況をもとに基準値を設け、各保健所管内でその基準値を超えると「注意報」や「警報」を出すことになっています。 

(追記) 2月15日配信の毎日新聞の記事によれば、岡山市中区浜の有料老人ホーム「ベストライフ岡山」でインフルエンザの集団感染があり、発熱などの症状のあった25人(入所者20人、職員5人)のうち入居中の高齢女性3人(93歳(ワクチン接種済み。検査で感染を確認。死因は多臓器不全)、92歳(ワクチン接種済み。検査をしたが感染が確認されず。死因は多臓器不全)、85歳(接種も検査も受けていない。死因は肺炎))が死亡したようです。

               (健人のパパ)

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 インフルエンザの原因となるインフルエンザウイルスは、A 型、B 型、C 型に大きく分類されます。C型が流行することはほとんどなく、大きな流行の原因となるのはA 型とB 型です。現在、国内で流行しているインフルエンザウイルスは、A型のH1N1亜型(「インフルエンザ2009」)とH3N2亜型(「A香港型」)、B 型の3 種類です。H1N1亜型のA型インフルエンザウイルスには、いわゆるAソ連型もありましたが、2009年の新型インフルエンザ(A/H1N12009)の大流行(パンデミック)後はほとんど姿を消しています。

 「国立感染症研究所感染症情報センター」の報告によると、2011年第36週〜2012年第1週に国内で検出されたインフルエンザウイルスは、その90.5%がA香港型であり、インフルエンザ2009は0.4%に過ぎなく、B型の9.1%にもはるかに及びません。インフルエンザ2009が、新型インフルエンザ(A/H1N1)として季節外れに大流行したのは、人々が免疫を持っていなかったためであって、新型インフルエンザのワクチン接種や新型インフルエンザに罹患したことによって多くの人々が免疫を獲得している現在では、季節型のインフルエンザより脅威ははるかに小さくなっています。

 インフルエンザの症状には、咳、咽頭痛、鼻汁、鼻づまりなどの「局部症状」と発熱、倦怠感、頭痛などの「全身症状」があります。日本臨床内科医会インフルエンザ研究班の研究から、インフルエンザ2009(いわゆる「新型インフルエンザ」だった)とA香港型の症状の違いを見てみます。

 まずは「局部症状」からですが、咳はA香港型(罹患者の約84%に見られた)とインフルエンザ2009(約78%)では大きな違いはありません。インフルエンザは「咳」を特徴とすると言っていいのでしょう。のどの痛みは、A香港型で約53%、インフルエンザ2009で約30%と大きく異なります。しかし、「のどの痛み」は罹患者の2人に1人(A香港型)、3人に1人(インフルエンザ2009)にしか見られず、必ずしも定型の症状とは言えないでしょう。

 鼻汁、鼻づまりといった症状は、A香港型(約76%)とインフルエンザ2009(約48%)でも異なります。A香港型では4人に3人ですが、インフルエンザ2009では4人に2人という割合になっています。「局部症状」のみで、データで判断すると、鼻水が出て、のどが痛いときには、A香港型の可能性が高いと言っていいのでしょう。

 ただこれも、データの取り方によって異なるもので、2009年に実施された調査では、インフルエンザ2009で、のどが痛いという症状を訴えた人は罹患者の約65%、鼻水が出る・鼻がつまるの症状が約60%でした。(参考)「心の準備−A型インフルエンザに罹ったら、こんな症状、こんな経過に

 次に「全身症状」に触れてみましょう。「発熱」はインフルエンザに特徴的な症状なのですが、38℃以上の熱を出した人はA香港型(罹患者の約97%に見られた)とインフルエンザ2009(約93%)では大きな違いはありません。そのなかで、39℃以上を出した人はA香港型で約55%、インフルエンザ2009で約50%。いずれも、39℃以上の発熱は、2人に1人なのです。

 頭痛はA香港型(約52%)とインフルエンザ2009(約32%)では異なります。2人に1人(A香港型)と3人に1人(インフルエンザ2009)と、A香港型の方がインフルエンザ2009より割合が大きい。これをのどの痛みとともに判断すると、のどが痛くて(局所症状)、頭痛がする(全身症状)と、A香港型に感染した確率が高いと言えそうです。

 息子「健人」は、金曜日に中学校を風邪様症状で休みました。木曜日、学校から戻ると、「胃のむかつき」を訴え、食の進まない夕食後、「頭痛」と「筋肉痛」を訴えます。早めの就寝後、午前4時頃に「吐き気」と「頭痛」を訴え、やがて「嘔吐」を繰り返します。次には「下痢」です。金曜日は流動食を口にし、ほぼ1日中、寝ていることになります。

 筋肉痛は、A香港型で約55%、インフルエンザ2009で約24%。A香港型で2人に1人、インフルエンザ2009で4人に1人です。嘔吐は、A香港型で約7%、インフルエンザ2009で約4%。下痢は、A香港型もインフルエンザ2009も約3%です。「嘔吐」も「下痢」もともに、インフルエンザA型の発症に特徴的な症状とは言えません。しかし、ある小児科医は、来院する患者の訴える症状からすると、今年(2011〜2012年シーズン)は胃痛、嘔吐、下痢などの胃腸症状を伴うことが多いという印象を受けると述べています。

 息子はインフルエンザのワクチン接種を受けています。インフルエンザに感染したのかどうかは定かではありませんが、症状を見る限りは、インフルエンザの可能性はあります。本人の回復力に期待し、病院には連れては行きませんでした。病院に行くこと自体がかなり体力的に負担になるからです。

 昼ごろまで寝ていた息子は、さきほど(12時頃)起きてきて、「お腹が空いた。」と訴えました。食欲も回復、頭痛も引いたそうです。まずは、胃腸に優しいものからということで、軟らかいものを食べさせましたが、ガッツリ重いものを食べたいと言い始めています。青ざめた顔で、身体がだるい(「倦怠感」はA香港型で約59%、インフルエンザ2009で約36%)と訴えていたのは誰かな。

 「食欲不振」は、A香港型で約39%、インフルエンザ2009で約19%です。

                  (この項 健人のパパ)

(追記) 具体性に欠けるので、インフルエンザA型の発症のひとつのケースを記述してみました。

 「のどの痛み」、「身体のだるさ」から始まった症状は、翌日、「咳」が出始め、やがて「悪寒」と「筋肉痛・関節痛」へと進行します。「高熱」を自覚するようになり、朝37℃強だったものが、夜には38℃強まで体温が上昇します。翌日昼に、病院を受診しますが、朝の時点で朝37℃強だった体温は、受診時は平熱の36℃強。しかし、病院での診断結果はインフルエンザA型への感染。

 「タミフル」などを処方され、服用しますが、発熱(受診後、体温は上昇傾向。インフルエンザでは、高熱の「ピーク(峰)」が2度ある「二峰性発熱」がよくある)、倦怠感、咳、咽頭痛、筋肉痛のいずれも改善されず、体温はやがて38℃強に達し、高熱の時にのみ服用するように指示された解熱鎮痛消炎剤の「ロキソニン錠60mg」を服用。ロキソニン錠は、炎症や発熱を引き起こすプロスタグランジン(PG)の生合成を抑制し、炎症を鎮めて、腫れや発赤、痛みなどの症状を抑えます。

 ロキソニン錠の服用で、発熱、筋肉痛はやや改善されます。しかし、この薬の副作用なのかそれともインフルエンザの症状の一つなのか「下痢」症状が現れます。ロキソニン錠の処方では、胃腸の悪い人には胃の副作用を予防するのに、胃腸薬が処方されることがあります。咽頭痛と咳は改善が見られず、数日続きます。そして、回復。

 感染症による発熱やのどの腫れ(のどの痛みを惹き起す)は、ウイルスや細菌を駆除するための生体の防御システムです。これを解熱剤で無理に抑えれば、病気そのものの治癒をかえって遅らせてしまうこともありえます。特にインフルエンザなどウイルス性の病気では、熱を下げればよいというものではありません。体力を著しく消耗しないのであれば、服用を控える必要もあります。

(追記) 2012年1月22日配信の「宮崎日日新聞」からです。

 (宮崎)県内でインフルエンザが流行している。今月中旬から患者が急増、本格的な流行期に入った。学校では学級閉鎖など集団感染も広がっており、うがいや手洗い、不要な外出を控えるなどの対策を徹底するよう呼び掛ける。生命の危険にもつながりかねない高齢者施設も警戒を強める。

 県健康増進課によると、今シーズンの流行はA香港型が主流。県内の定点医療機関から報告される1週間の患者数は、1月2〜8日の80人から9〜15日には4倍超の341人と急増した。このうち10歳未満が6割を占め、中央、日南保健所管内からの報告が目立つ。

 宮崎市では20日までに、小学校3校5クラスが学級閉鎖となった。


(追記) 


 2009年や2011年のグラフを見てわかるように(2009年7月〜2010年6月のシーズンは、いわゆる「新型インフルエンザ」が大流行したため、例年とは大きく異なっている)、インフルエンザの本格的な流行期はこれから迎えることになります。

 国立感染症情報センターの「インフルエンザウイルスB分離・検出報告」によれば、2011年48週(11/28-12/04) 2例、49週(12/05-12/11) 4例、50週(12/12-12/18)13例、51週 (12/19-12/25)3例、52週(12/26-01/01)2例、2012年1週(01/02-01/08)2例、2週(01/09-01/15)12例、3週(01/16-01/22)報告なし、とB型インフルエンザの検出例もあることから、息子は、胃腸症状の出やすいB型に感染していたのかも知れません。

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