「大奥」

　作：よしながふみ


「この、発想がたまらなくイイ！」

「コレっぽっちも、思い浮かばなかった発想です！」

「何てったって…」

「美男3,000人が住まう、女人禁制の大奥って…」

時は江戸の初期、三代将軍「家光」の御世のお話でございます。

事の発端は日本の小さな村から始まりました。
ある村に住んでいた「定吉」っという少年が
病がちな母の為に「キノコ」を山に取りに入り込み
クマに襲われたのです。
「初物を食べると丈夫になる」っと聞いていた定吉は
母の為に、危険を顧みずに山奥へ入り込み、
クマに遭遇してしまいました。
村人の探索のすえ、瀕死の重傷を負った定吉は村へ辿り着きましたが
まもなく、息を引き取ります。
しかし、この出来事は…単なる序章にしか過ぎませんでした。

定吉が亡くなってスグに定吉の兄が原因不明の高熱に倒れ、
全身を真っ赤な発疹がブツブツと覆い隠しました。
発疹は赤く膨れ上がり水ぶくれのようになり
数日で兄の命を奪っていきました。
その後、二番目の兄が、そして定吉の父が
それから村人たちが、隣村が…
関東に広がり、西へ向かい…全国へと広がって行ったのです。

この病の特徴は
「男だけがかかる」伝染病なのです。
しかも…「若い男だけが…」
この病にかかると10人の内、８人までもが亡くなります。
しかも伝染の経路、原因などが一切解明されぬまま
全国に広がり…日本から男の…しかも若い男の人口が減少していったのです。
その後、80年近くをかけ
日本の男子の人口は女子の1/4で安定し
それに見合う日本人の生活が繰り広げられる事となりました。

さて…「若い男が居なくなった」っとして…
考えて見てください。ど～します？

現代でしたら…「精子バンク」がありますからね～
女子の人口の1/4でも安定してくれれば
子供も作れますし問題は無いでしょうが
当時は「精子バンク」はありませんから…
貴重な「若い男」は、無くてはならない宝物です。

吉原も格子の中に「若い美男子」が並び
格子の外から女が「好みの美男子」を選ぶという形式に変わり
男はスグに病で死ぬかもしれませんから
労働は女性が受け持ち
全ての「家業」は女性が受け継ぐ体制になります。

もちろん、江戸の中心・政治の中心である
「江戸城」の中も例外ではありません。
何てったって「上様」も女性ですから…。
今も昔も良い遺伝子を選びたいと思う
お金持ちの考えに違いなどありません。
「美男」で「賢く」て「超好み！」を江戸城の奥深くに
3,000人集め、選び放題は上様お一人。

ただし、このお話には「ナゾ」があります。
何故、この病気が流行ったのか？から始まり
何故、大奥がこのような形式になったのかなど
数々の疑問を残したまま、
第一巻は「八代将軍　吉宗」の御世から始まります。

えっ？「吉宗？」っと思った方
そうなのです。
このマンガでは家業を継ぐ者は女性でも「男性名」を襲名するのです。
つまり、上手いこと
実際の歴代「上様」周辺史実に、何故か「忠実」に描かれています。

さて、現在は第二巻まで発刊されておりますが
これから、どのように展開し
そうして数々のナゾがどのように解明されていくのか
楽しみな一品となりました。

「読んでみてくださ～い！」っとは言いませんが…
想像してみてください。
「若い男」がこの世から消えていくのを。
ほとんどの女性が一生働き、結婚出来ませんから。

ある意味…
仕事を持って結婚しない女性の多いこのご時世と
何処が違うんだろう？？？って思いませんか～（笑）

実は一つ作者の「よしながふみ」さんへ切望する話があります。
出来れば次回作に「吉原」ってのもやって欲しいな～っと（笑）
聞こえてきませんか？
吉原に売られた男性の声が…格子の内から
「オレも昔は一晩に３人は客を取れたのに…
今は高い人参を飲んでも…二晩に１人で精一杯だよ～」っと嘆く
頬のコケた中年男性の男郎の声が…