こころのしろくろ

 誰の罪?

ロマンテックって何?『蜂蜜と遠雷』を読んで

2017年04月20日 | 小説
 私は「ロマンテック」という言葉があまり好きではない。世間でいう「ロマンテック」は、結局は得体のしれない恍惚感に支配され、思考停止のような状況だと思う。自分が自分でなくなり、自分自身をコントロールできない状況は怖くないのだろうか。

 でも、史上初のW受賞作品『蜂蜜と遠雷』のマサル(ジュリアード音楽院の学生)が考える「ロマンテック」は違った。

「恋人たちの潤んだ瞳、寄り添う影、美しい夜景、ちょっと恥ずかしくて、ちょっとほろ苦くて、ちょっと泣き出したくて、ちょっとだけ宙に浮かんでいる感じ。ふっくらとして、干した布団みたいに…」
「強靭な身体、強靭な精神。それが本当のロマンテックな音を生み出すのだ。」

 この文書を読んで、中島みゆき『愛情物語』を思い出した。
歌詞の内容は、幸せになった女性に過去の清算(腐れ縁が運んでくる不幸)が忍び寄る。この女性は愛する人に迷惑をかけないために、彼の元から去る。

 下は歌詞の一部だが、自己犠牲の部分が東野圭吾の『容疑者Xの献身』と重なる。
 私が考える「ロマンテック」は、このような自己犠牲と切なさだ。

 狙うのは私だけでいい おびき寄せて遠ざけるわ
 あなたには何者も触れさせはしないから
 あなたには裏切りと憎まれてもいいから
 たとえ離れても心は変わらない
 せつなさに疲れて息が止まっても…

中島みゆき『愛情物語』歌詞
http://www.kasi-time.com/item-18320.html


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