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映画・演劇のレビュー

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』

2017-10-11 22:39:31 | 映画

 

東野圭吾の原作が面白かったからかなり期待したのだけど、さすがの廣木隆一をしてもこれは難しかったようだ。お話が飛び飛びになっていくので、映画としてのダイナミズムが発揮されない。手紙の話なので、そこを映像化するのは難しい。原作はパズルのようなお話がきれいに収束していくのが見事なのだが(これって伊坂幸太郎が得意のパターン。でも、泥臭い東野圭吾がすると、このベタな話にはぴったりくる。それだけに、映画にしたら感動作になる、と思ったのだが)ダメだった。

 

現在(厳密には2012年)からスタートして1960年代、80年代、90年代と結構難しい時代背景をロケーションとセットでちゃんと見せなくてはならないから大変だっただろうけど、これではそれが報われない。細切れになったお話が上手くつながらないからだ。

 

この奇蹟のような夢の一夜に酔えない。主人公の3人の若者たちが、今では廃墟になったナミヤ雑貨店に逃げ込んできて、ありえないような体験をする。そこで、人生について考えさせられる、というお話なのだが、この奇蹟に巻き込まれた彼らの成長が伝わらないから、彼らがただの狂言回しにしかならない。当事者のはずなのに、脇役になる。それでは映画は面白くなるはずもない。もうひとりの主役の西田敏行演じるナミヤ雑貨店のオヤジも、お話の脇役に甘んじているから、これではどこにポイントを置いて見たらいいのかわからないのだ。こんな主役不在の映画では、感情移入も出来まい。ちゃんと主役の山田凉介に絞り込んだ台本にしたならよかった。彼の視点からすべてが描かれたなら、もっとお話にも締まりが出たはずだ。

 

2時間9分という上映時間にすべてを上手く押し込もうとしたからこんなことになったのだろう。群像劇には出来ない題材だから反対に中途半端な作り方をせず、もっと大胆な脚色(台本は斉藤ひろし)が必要だったのだ。20歳前の少年たちが悩み相談に応じて、人の人生に関わることになる。簡単な問題ではない。安易な答えでは人を迷わせるだけだ。だいたい人生相談なんて言う行為そのものが安易なのだけど、悩んでいる人にとっては藁にも縋りたい気分なのだろう。そんな弱い心と向き合い、まさかの展開へとつないでいく。そこにこのお話の面白さがある。返事の手紙を書きながら、彼らは人の人生を通して

成長していく。映画は、たった一夜の、しかも、この場所から出ない、さらには、それが他人の人生という、そんな3人の冒険を感動的に描けたなら、成功したはず。彼らをちゃんとクローズアップしてあげるべきだった。

 

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