習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『関ヶ原』

2017-09-02 22:14:43 | 映画

 

昨年『日本のいちばん長い日』を作った原田眞人監督が念願の司馬遼太郎『関が原』に挑む。これは彼のキャリアにおいても最大の挑戦だろのう。スケールだけではなく、前作でただの群像劇ではなく、そこで昭和天皇の存在を真正面から描き、日本が大きく揺れた1日のドキュメントではなく、あの戦争が日本人にとって何だったのか、に迫った彼が、次に満を持して天下分け目の大合戦に挑むのは、当然の推移だ。石田三成と豊臣秀吉、そして、徳川家康との最終決戦を真正面から描く。たった6時間で決着がついたという史上最大の合戦は何だったのか。

 

ドキュメンタリータッチで、カウントダウンしていく運命の一戦までを描く前半の緊張感が素晴らしい。何が起きているのか、よくわからないのに、ドキドキする。わかりよい説明なんか、しない。怒濤のように情報が提示されていく。ただただそれを見守るばかりだ。きっと当事者たちである彼らにしてもその全貌なんかわかるわけもない。ただ、自分の信義のため、保身のため、あるいは、ただただ生き残りを賭けて、戦う。

 

後半は関ヶ原の戦いを描くスペクタクル・シーンとなる。凄まじい迫力の戦いが描かれる。よくある合戦シーンとは一線を画するのは、きれいごとではなく、混沌をしっかりと見せるところにある。ここでも、戦況はまるでわからない。もう何が何だか、である。戦場で三成が走り回る。西軍の大将のはずなのに、一兵卒のように。家康の前に飛び出す男もいる。あそこで彼(家康、ね)が死んでいたらどうなるのか、とか。

 

こんなふうにして映画は全編で混迷を極める。2時間半はあっという間の出来事で、なんだかわけがわからないまま、一瞬で終わるのだ。あっけない、という意見も出るだろう。難しいと思う人も多々あるはず。僕も先に書いたように何が何だか、と思った。しかも、コッポラの『地獄の黙示録』のように狂気を描くわけではない。三成は最初から最後まで冷静沈着で(あんなに怒鳴っていたにも関わらず)その正義のための戦いは、ぶれることがない。

 

これは今まで見たどの映画にも似ていない。独自のルックを持つ。傑作だというわけではないけど、圧倒されたことは事実だ。

 

 

『映画』 ジャンルのランキング
コメント   トラックバック (1)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« evkk『売り言葉』 | トップ | 『打ち上げ花火。下から見る... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。
関ヶ原  監督/原田 眞人 (西京極 紫の館)
【出演】  岡田 准一  役所 広司  有村 架純  平 岳大  東出 昌大 【ストーリー】 豊臣秀吉の死後、豊臣家への忠義を貫く石田三成は、天下取りの野望に燃える徳川家康と対立を......