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映画・演劇のレビュー

Plant M『ブラウンノイズ』

2013-09-05 20:34:53 | 演劇
 5人の作家がそれぞれ短編を自由に書いた。それを樋口さんが1本長編に編集して送る出口弥生出産記念公演。こういう企画を考え、軽やかなフットワークで実現させる。そこがPlant Mの凄さ。自分のところで劇場(カフェだが)を持ち、そこを自由にいつでも使えるから、無謀とも言える公演をいとも簡単に実現出来る。臨月の出口さんが小さな体に大きなおなかを抱えて、舞台に立つ。この調子でいくと、出産後の復帰も早そうだ。しかも、赤ちゃんを連れて舞台に立つのではないか。

 そんなことが可能な今の彼女たちは凄い。アグリー(劇団Ugly duckling)を解散して、個人商店としてPlant Mを立ち上げた樋口さんだが、アグリーのメンバーがしっかり支えることで、樋口さんは今まで以上に自由になった。もちろん池田さんとの二人三脚で(もちろんそこには出口さんや、ほかのメンバーもいつもいた!)劇団として活動していた時のどんどん突き詰めていこうとする姿勢は大好きだ。だから、きっとまた、いつかアグリーとしても公演が打たれるだろう。だが、今は、Plant Mで、さまざまな実験的な公演を続けて欲しい。そんなふうに思わせてくれるくらいにこの作品が素敵なのだ。

 声をかけて、答えてくれたのは中村賢司(空の駅舎)棚瀬美幸(南船北馬)宮沢十馬(異国幻燈舎)宮川国剛(トイガーデン)の4人だ。そこにもちろん樋口ミユが加わり、出口さんのために作品を提供する。自由に書いてくれていいよ、というオファーだったようだが、テーマはいずれも「生」を扱う。もうすぐ生まれる赤ちゃんへのメッセージになっている。

 でも、どの作品も、あっちこっち向いていて、一貫性はない。5人の個性がちゃんと出ているのだろう。どれが誰の書いた作品なのか、よくわからなかったけど、(というか、気にもしなかった)別にいい。構成、演出の樋口さんはこれらの作品を自家薬籠中にしているからだ。すべてが、生きることにつながる。彼女の世界の中へと個々の作品が収斂されていく。

 リーディングスタイルを取ることで、さらに自由度が高くなる。だが、簡単に作ったという印象は与えない。とてもちゃんと作られてあるからだ。1時間20分はあっと言う間の出来事だった。

 この芝居が、テキスト片手に軽やかに演じられるのもいい。別にテキストなんて必要ないくらいにセリフはちゃんと入っているようだ。でも、わざとテキストを手にしたままで演じられる。テキストは道標なのだ。彼女たちがどこに向かうのか、その地図のようなもの。村上桜子を旅人にして、吉川貴子、出口弥生が彼女と対する。ののあざみはナビゲーターだ。このアグリーの4人のアンサンブルに2人の男優が絡む。(石塚博章、堀江勇気)彼らの少し大仰な芝居も全体にうまく嵌っている。それは落ち着いた芝居の女性陣と対照的だ。いくつもの物語の海の中を進んでいく。とても気持ちのいい芝居だった。

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