習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『真田十勇士』

2016-10-18 17:30:56 | 映画
「松竹、秋の超大作」、のはずだった。なのに、まるで客が入らず、惨敗したようだ。大河ドラマにあやかった安易な企画と思われたのかもしれない。だが、出来あがった映画を見て、確かにこれでは誰の心も捉えない、とわかる。どこをターゲットにしたのかわからない映画だ。本来ならシルバー層にアピールして、ヒットを狙うべき企画だったのに、堤幸彦監督は、彼らの食指をそそらないような作り方で挑んだ。



これはバカバカしい漫画映画なのだ。まぁ、安易なストーリーでも、楽しめる映画にできればそれはそれでいいのだ。そんなバカな、と言いつつ、笑って見てれば問題ない。なのに、この過剰なバカバカしさは、観客を置き去りにする。自分たちだけで楽しんでいるようだ。



まず冒頭のアニメーションには驚く。この軽いノリがこの映画の身上なのだな、とはわかるけど、そんなおふざけがあまり快くはない。「真田1勇士」から「9勇士」まで。スカウトする様子をテンポよく見せていく。(つもりだろうが)
途中「これはアニメーションではないです」という断わり書きの字幕が入る。それくらいにひつこい。



ようやくお話の本題に入っても、このしつこさと、過剰な悪ふざけは続く。スケールの大きい歴史大作のはずなのに、まるで緊張感もなく、ノーテンキ。でも、それが作品の魅力にはならないし。コミカルな仕立ても中途半端。どこまでも楽しんでやる、という覚悟のようなものが作品を支えているはずなのだが、ゲームではないのだから、それだけでは映画にはならない。大阪冬の陣から夏の陣へと豊臣崩壊へのドラマも図式的で見せ場もなんだかゲーム感覚。結構凄いスペクタクルのはずなのに、まるで緊張感はない。最後のどんでん返しも、なんでもあり、にしか見えないから、驚かない。さらには蛇足でしかないラストのクレジット部分のエピソードなんてまるで無意味。



もし、こういう荒唐無稽の極致をやりたいのなら、演出は堤幸彦ではなく、新感線のいのうえひでのりに!(でも?)任すべきだった。彼ならちゃんと正しいバカ騒ぎをやり遂げてくれた気がする。今の時代、誰でも映画監督は出来る。いのうえならきっともっとバカバカしく、でも、映画としてチープじゃないものにこのスケールででも作れたはずなのだ。満を持して彼に依頼するくらいの冒険を松竹もすべきだ。
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 『永い言い訳』 | トップ | ジャブジャブサーキット『猿... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。