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映画・演劇のレビュー

『狼たちの処刑台』

2012-02-20 22:16:14 | 映画
 こんなタイトルのアクション映画なんて、きっと誰も見ないだろう。僕だって、嫌だ。時間がもったいない。だが、ビデオパッケージをちゃんと、見てみる。マイケル・ケインが主演している。もちろん原題はこんなアホなタイトルではない。ド派手なバカ映画でもないようだ。原題は主人公の名前である『ハリー・ブラウン』。

 内容はチャールズ・ブロンソン主演の『狼よ、さらば』の現代版のようである。あの映画は先日リメイクされて、ケヴィン・ベーコン主演で『狼の死刑宣告』のタイトルで公開もされた。今回のこの映画の邦題が多分にあのタイトルを意識しているように思えるがどうだろうか。それにしても、このパターンはアクション映画の定番となり、他にも山盛り存在する。古い話で恐縮だが『ダーティーハリー』シリーズであのクリント・イーストウッドもやっているほどだ。だが、今回のこれは安易なアクションのための復讐劇ではなさそうだ。監督はダニエル・バーバー。初めて見る名前だ。2009年製作のイギリス映画。

 そこでちょっと冒険してみた。レンタルしてみる。もしかしたら、と思ったのだ。(というか、うちの嫁さんが見たいというので借りたのだが)すると、思った通り、かなり出来のいい映画だった。映画はシリアスにこの題材を扱う。ただの犯罪アクション映画ではない。老いさらばえたマイケル・ケインが素晴らしい。独居老人の日常が丹念に描かれる。それと、並行してイギリスの今ある深刻な現状を扱う。

 荒れ果てた公団住宅の現状だ。行き場のない若者たちの鬱屈。そこが犯罪の巣窟となっている様がドキュメンタリータッチで綴られていく。この団地が主人公である老人の暮らす場所だ。怖くて、夜道は歩けない。昼間であっても気をつけなくてはならない。仕事のない若者は暴力と犯罪に染まるしかない。最後は暴動のシーンになる。

 もと海兵隊の老人が、殺された友人の復讐のため、彼を殺した若者たちを殺す、というワンパターンの話なのだが、静かで淡々としたタッチで描かれてとてもリアルだ。終盤の展開はどうしても安易になるが、それが若者たちと警官隊との衝突を描く暴動シーンのリアルと並行して描かれるから、緊張感は持続する。予想外の収穫だった。まぁ、ちょっとは期待したのだが、当ては外れなかった。よかった。
ジャンル:
映画(DVD)
キーワード
アクション映画 クリント・イーストウッド イギリス映画 ドキュメンタリ ダーティーハリー ケヴィン・ベーコン チャールズ ブロンソン 狼たちの処刑台 狼の死刑宣告
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