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映画・演劇のレビュー

ババロワーズ『ショートショート・カタログ vol.7 カムフラージュ・カラーの巻』

2015-10-24 21:48:23 | 演劇
今月で7回目。あと残すところ2回のみ。とうとう佳境に突入した感があるけど、ここに至ってたかせさんは絶好調だ。「あとわずか」が力となっているのか、それとも、もうやけくそなのか。そのへんは定かではない。

今回の5本いずれもは、とても芝居らしい芝居ばかりで、安心して見ていられる。もう開き直りも通り越して、なんでもこい、の境地に達した感がある。MCのコメントも、サイコーの投げやりムードで、そこがまた面白い。(演技には見えないリアルさ) 嫁(もちろん、向田さん)の話をさんざんするのだが、それがノロケにはならない。こんなにも心温まる話を、嫌味にならず出来る旦那さんは、なかなかいない。素敵な夫婦なんだな、と、どうでもいいことが、ちゃんと伝わる。もう、本編よりも彼の話のほうが面白いのではないか、というくらいの勢い。(ごめんなさい!)

1話目の『密着取材』は、今回ゲストとして登場した早川丈二のオンステージ。ちょっと調子に乗りすぎて後半、しつこくなるけど、よくあるパターンで最後まで見せる。酔っ払いの愛人が部屋にやってくるまでの部分がいい。(というか、ここからが本題なのだけど)早川さんは何もしない時が最高にいいからだ。山口尋美さんは上手いけど、やりすぎ。(もちろんそれは彼女せいではなく、台本のせいだ)

2話目『くノ一講座』のばかばかしさは最後のダンスシーンで極まる。このパターンは毎回やるけど、今回は絶品だった。向田倫子のパワー全開。往年のドリフのコントを見ているよう。抱腹絶倒。

そして、3話目『人魚』。ぎょっとさせられる下村和寿の人魚。それだけで、もう成功しているけど、せつない話になり、もちろん、ちゃんと安心のオチも付く。

4話目の『戦場カメラマン』は1話目と同じで、よくあるパターンなのだが、ちょっとシュール(戦メリが流れるラブシーン)で笑える。

今回は早川さんを迎えて、彼にしっかり芝居をさせるので、まわりもそこに引っ張られて、コントというより、短編芝居の趣。がっつり芝居を見た気分にさせられる。たかせさん自身も長編芝居を作りたいという気分になってきているのではないか。

最後の『ハロウィン!!!』なんか、まさにそうだ。昔からの仲のいい友人たちが集まりハロウィンパーティーをするのだが、そこに異分子が紛れ込んできてのドタバタ騒動。これってシリアスな長編にもなる設定。もちろんコメディ仕立てにしてあるけど、実は切ない。

こうして、今回、迷彩色という、設定も含めて、どんどん自由になりながら、どんどん本格的な芝居にシフトしていく、ということになった。さて、あと、2回。しかも、次回は「セクシャル・ローズピンク」ときた。かなり、めちゃくちゃしてくれそうだ。






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