習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『フレンチアルプスで起きたこと』

2016-08-06 20:10:37 | 映画
  このさりげないお話の虜になる。最初はパニック映画か、と思ったほど。リゾート先で雪崩に巻き込まれた家族のお話だと思っていたから。だが、そうじゃなかった。   確かに雪崩のシーンは出てくる。しかも、映画のかなり最初の方で。そのエピソードが起点となり、お話は進行する。だが、ここで描かれるパニックは、目の見える、体験するそんな「災難」ではなく、内面的な問題なのだ。デザスター映 . . . 本文を読む
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西加奈子『まく子』

2016-08-06 20:07:32 | その他
  こんな話ありなのか。なんでもありの今の西加奈子には怖いものはない。ふつうやらない。西加奈子版『ET』は、スピルバーグも驚きの展開だ。もちろん、これはSFファンタジーではない。   ひとりの少年の成長物語だ。彼と不思議な転校生の少女の交流を通して、小さな田舎町で起きる奇跡の物語が始まる。そんなバカな、と思いつつも、信じたくなる。宇宙人はいる。だって、僕自身がほかならぬ宇 . . . 本文を読む
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『コングレス 未来学会議』他

2016-08-06 20:01:46 | 映画
  『コングレス 未来学会議』はロビン・ライトが本人役で出演する。売れなくなった女優だなんて、酷い設定を受け入れる。さすが大物女優だ。アリ・フォルマンは今回、前半を実写、後半でアニメーションというスタイルを選ぶ。   役者が自分のイメージ(外見だけではなく、内面も、である)をそのままトレースしたCG映像に身を売る。コンピュータに本人のすべての情報をインプットして、そのCG . . . 本文を読む
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『ワンピース フィルム GOLD』

2016-08-06 19:53:25 | 映画
  3年半ぶりの新作となるようだ。前作『Z』も面白かったけど、今回も気合いの入った大作仕立てで、前作に続き本作も原作者の尾田栄一郎が自らプロデュースする2作目。   「ようこそ、グラン・テゾーロへ」という何度となく聞いた予告編の冒頭の一言が、この作品を象徴する。巨大なカジノであり、船であり、国家。無法地帯の独立国。ここに君臨するテゾーロは、ここからやがて世界を支配するつも . . . 本文を読む
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樋口直哉『キッチン戦争』

2016-08-06 19:51:19 | その他
  料理は戦いだ。そんな感じの小説なのだが、描こうとすることは、「自分に負けないように努力する」というすべてに通用することだ。その普遍性がこの小説を感動的なものとする。スポーツ小説に近い感触だ。日本最高峰のフランス料理コンクールに挑む若きシェフを主人公にしたスポ根。   おいしいものが出てくるはずなのだが、小説なので、見えないし、作るほうなので、食べる描写は少ない。しかも . . . 本文を読む
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『うつくしいひと』

2016-08-06 19:48:24 | 映画
  熊本県が製作した中編映画。行定勲が監督を依頼された。キャストは熊本出身の役者を集めた。こういう作品が作られるのは好ましい。行政がPRを兼ねて制作し、それが結果的に観光に寄与し、地域の活性化にも繋がればよい。今までもたくさんの地域発の映画は作られてきた。行政が積極的に誘致するパターンも多い。だが、今回のように自分たちが自ら製作する本格的なプロ仕様の作品というのはめずらしいし、期待も大 . . . 本文を読む
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