ぽんしゅう座

優柔不断が理想の無主義主義。遊び相手は映画だけ

■ 北陸代理戦争 (1976)

2017年04月30日 | ■銀幕酔談・感想篇「今宵もほろ酔い」
集団抗争劇ではなく個人闘争劇。拡散ではなく定着。奉仕ではなく生活。ひいては国家より国民。これは『仁義なき闘い』の主題の対極にある「組織」対「個人」観。ゆらゆらと体を前後に揺する川田(松方弘樹)のクセが、この男の秘めたる凶暴性を象徴して秀逸。

川田(松方)の地元への固執と暴挙に振り回されつつ、自分を見失わないきく(野川由美子)の強かさ、発想が地元から飛躍しない隆士(地井武男)の優しさ、田舎娘の武骨さがプライドに昇華したような信子(高橋洋子)の一途な純真。そんな、身に沁みついた土着の思考が行動を支配する北陸気質、すなわち「個人」礼賛映画。

そして、すぐれた雪の映画。

(4月21日/シネマヴェーラ渋谷)

★★★★

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