家畜同然の扱いに甘んじる農家の次男・三男どもの話しだが、それは村落共同体を存続させるための知恵であり、その掟を自然の摂理として受け入れた者たちの諦念が、同志的大らかさに転じ、悲惨さが可笑しみに昇華している。
市川崑は、この理不尽な掟こそが、人が人として生きるための永遠の矛盾だとして、どこの誰をも攻めようとしない。娘っ子を求めて山を目指す主人公・利助(芥川比呂志)の歩みこそが、たとえ無いものねだりだとしても、連綿と続く「人」の歴史なのだと思う。
(1月14日/シネマヴェーラ渋谷)
★★★★
最新の画像[もっと見る]
- ■ 毒薬と老嬢 (1944) 5時間前
- ■ いんちき商売 (1931) 2日前
- ■ アラスカ珍道中 (1945) 4日前
- ■ マルクスの二挺拳銃 (1940) 6日前
- ■ キートンの大列車追跡 (1924) 1週間前
- ■ 12日の殺人 (2022) 2週間前
- ■ 青春ジャック 止められるか、俺たちを 2 (2023) 2週間前
- ■ ヤジと民主主義 劇場拡大版 (2023) 4週間前
- ■ ビニールハウス (2022) 4週間前
- ■ 瞼の転校生 (2023) 1ヶ月前