ぽんしゅう座

優柔不断が理想の無主義主義。遊び相手は映画だけ

■ 東北の神武たち (1957)

2017年01月18日 | ■銀幕酔談・感想篇「今宵もほろ酔い」

家畜同然の扱いに甘んじる農家の次男・三男どもの話しだが、それは村落共同体を存続させるための知恵であり、その掟を自然の摂理として受け入れた者たちの諦念が、同志的大らかさに転じ、悲惨さが可笑しみに昇華している。

市川崑は、この理不尽な掟こそが、人が人として生きるための永遠の矛盾だとして、どこの誰をも攻めようとしない。娘っ子を求めて山を目指す主人公・利助(芥川比呂志)の歩みこそが、たとえ無いものねだりだとしても、連綿と続く「人」の歴史なのだと思う。

(1月14日/シネマヴェーラ渋谷)

★★★★


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