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美空ひばり ベスト1949~1963 悲しき口笛 万城目正

2017-01-18 | 歌と音楽

戦後日本を代表する歌手といえば、美空ひばりだ。抜群の歌唱力に加えてヒット曲の多さ、活躍年数の長さ、公私での話題の豊富さ、どれも文句のないところ。

しかし、美空ひばりくらい高名な歌手になると、出ているCDの種類がとんでもなく多い。彼女は映画にも出演していたので、その主題歌を収めたCDも入れたら、ほかの歌手と比べものにならない量になる。最寄りの図書館に収蔵されている中から選ぶのさえも苦労する。収録曲名がすべて『ひばりの〇×△Ω』というアルバムもあるくらいで、熱心なひばりファンはCDをどれだけ集めているのか?他人事ながら心配になる。

僕はそれほどのファンでないので、代表曲を集めたベスト盤を聞くことにした。しかし、ベスト盤でさえ何種類もあるのが美空ひばりの凄いところだ。それでも決め手になったのは『越後獅子の唄』が入っていたことだ。笛に浮かれて逆立ちすれば、で、泣いているよな昼の月、である。

解説書を見て知ったが、作詞西條八十、作編曲万城目正。『悲しき口笛』、『あの丘越えて』、『東京キッド』も万城目正の作曲によるもので、どれも洒落ている。どの歌も大勢で合唱するのでなく、ひとりで口ずさむのに向いている。ひとりでさびしい、と歌いながら何かほっとした気分になっていく。歌もたのしや、という歌い出しの『東京キッド』は、ひとりでも寂しかないわい!というツヨガリの歌だ。朗らかさと哀愁が同居している。

このアルバムは独立した二枚組(分売)で、『ひばりの佐渡情話』の1962年までの曲が発表順に並んでいる。この曲と『哀愁波止場』(1960)は船村徹の作曲で、ここからひときわドラマチックに、演歌調になる。そして晩年期のヒット曲『みだれ髪』(1987)へと繋がっているわけだが、まあ美空ひばりという人はいろいろあったなあ、とあらためて思わせる一枚だ。


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