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滝の白糸 溝口健二 入江たか子 岡田時彦 泉鏡花

2016-09-18 | 日本の映画

『滝の白糸』は幾度か映画化されているが、今回見たのは溝口健二監督、入江たか子と岡田時彦が共演している1933(昭和8)年公開作品。後年、女性弁士の活弁と音楽(メリーウィドウ・ワルツ)がアフレコされたらしい。フィルムの傷みのためか、字幕も新しく書き足されていた。オリジナルのとおりではないが、80年以上も前の映画が手軽に見られるのだから、それだけでありがたい。

この映画に限ったことでないが、昔は撮影カメラのレンズが暗く、フィルム感度が低く、照明も暗い。だから俳優の顔をはっきり写す工夫として『白塗り』をする。その顔が入江たか子、岡田時彦とも、映画のストーリーを忘れるくらい(?)印象的だ。

主演俳優の美男美女ながら、この二人とも単なる『つっころばし』のベビーフェイスでない。個性的というかアクが強いというか、正直な感想を言うと『毒』がある顔だ。その顔が白塗りで暗い画面に現れると、かなり怖い。

岡田時彦は、『東京の合唱(コーラス)』のようなほのぼのとした映画の中でも、ドラキュラ伯爵みたいに見える場面がある。喋り始める瞬間の口を開けた表情に、独特のクセがある。入江たか子は当時には珍しいゴージャスな容姿の、しかし和装も似合う美人だが、どこかに不幸不吉の匂いがする。文楽人形の、無表情な怖さみたいな感じもする。

映画で語られているのは裁判の場面までで、二人の結末は言葉(字幕と弁士の語り)で伝えられる。溝口が、この映画へ急速に興味を失ったような終わり方だ。「僕はもう撮りません。撮りませんよ、いいですね」と言ったとか言わないとか(そんなこと言ってません)。

白糸に刺し殺される高利貸しの岩渕剛蔵に、菅井一郎。溝口映画の名わき役だ。『麦秋』のお父さんの、見てはいけない過去を見てしまったようで、ヘンな気分でした。

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