モヴィエ日記

映画の感想とか、いろいろです。

愛もパンも膨らませよう

2016-09-27 21:15:48 | 「てるてる家族」が歌ってる
そんなわけで冬子と和ちゃんのアレな現場を目の当たりにしてしまった春男さん、
お勝手の隅に照子さんを引っぱって来てしゃがみ込み、
なんかあったんやなあ……と報告すると、
驚き、戸惑う照子さんはしかしそもそものところからを尋ねまして、
「ねえ、あの2人はどうなってんの?」
東京に行ったりしてる間にどうにかなってるのかと問いたげな照子さんに、
「さあ…」と、ずっと一緒にいたけどさすがにその辺は首を傾げる春男さん。
「もう、…なるようになってんねやろか?」と照子さん。
しばし見つめあう2人……と、
「なってへんやろ、そら…!」と否定する春男さんもしかしそう自信がありそうにも見えず……ってしかし、
この「なるようになる」って表現、なんかいいですねえ。
連続テレビ小説的に配慮した言い回しでありながら、
親が年頃のわが娘に関して用いるとものすごく艶かしく感じられたりもして、
「冬子も子供や子供や思てたらいつの間にかやねえ…」
「もう二十歳すぎてんねん、結婚かて考えてもおかしない歳や」
と、認識を改める2人……で春男さんは続けて、
「とくに冬子は、こういうとこだけ妙に世間擦れしてへんような気ぃすんねん」
「世間擦れ?」
「真面目に考えてしまういうことや」
ちょうど先日、この「世間擦れ」の意味が本来のものと違って受け取られてしまってるって、ニュースで言ってたけど、
この春男さんの用い方は正しいですね……正しいけど、
「こういうとこだけ妙に」ということは、
冬ちゃんは恋愛面以外では世間擦れしてるってことかいな?
いや、工場やお店でバリバリ働いてるからって決してそうは思えないけど、
「ああ、そういうとこわたしに似てしもたんやねえ」
と、これはビジネスの世界からスポーツの世界から芸能の世界から擦れまくってしまっててもおかしくないけど、
やっぱり世間擦れしてるようには見えない照子さんも納得したりなんかして、
すると、ん?と引っかかる春男さんは唐突に、
なんで俺と結婚したんや?って訊いて、
戦争で男の人がいなくなるから焦ってしまったって答える照子さんという、
やっぱり世間擦れしてるようで、でもこういう会話のなかにちょこっとおノロケの色も窺えたりなんかして、
でもって秋子が帰宅すると2人で料理してる振りしてごまかしたりなんかして、
彼女が去るとまた隅っこのしゃがみ込んで話を続け……
しかし、和ちゃんと結婚して冬子が幸せになれるのかと、
ここは真面目に心配する照子さん、
「和ちゃんは、本心がようわからへんとこあるやないの、
 いつもなんか無理してるみたいで…
 無理して冬子といてもろても困るわ」
で、和ちゃんの気持ちを確かめてみたら?と春男さんに言う照子さんの、
「さりげな〜く、ずばっと」
はどのように実行されますのやら。

一方、そんな2人とは別に、
こちらは冬子に単刀直入に尋ねる秋子。
夜、ひとり物干しで物思いに耽る冬子に、
「ああ、暖かなってきたねえ、
 …そろそろええんちゃうの?
 ずっと何悩んでんのこないだから…
 そろそろあたしに話してくれてもええん違う?」
……しかし無言の冬子を見遣り、
「そんなに話したないねやったらええけど」
するとようやく、例の現場を和ちゃんに見られてたことを打ち明ける冬子。
それで和ちゃんとケンカしてんの?と問われ、
「してへん、…ケンカになんかならへんねん」
そして、そんな笑い話みたいなことで……と言われ、
「笑いたいわ、…あたしかて」
すると笑い出す秋子はまた単刀直入に、
「和ちゃんに怒って欲しかったん?
 もっと焼きもち焼いて欲しかったんちゃうん?」
「そんなん違うけど…けど、
 ホンマに平気みたい、
 和ちゃんにとったらなんでもないことみたい、
 あたしに気ぃ遣て工場辞めるとまで言い出してん、
 あたしが傍にいてへんかっても平気みたい」
……そう言って膨れっ面する冬子をぎゅっと抱きしめる秋子、
「可愛いなあ〜冬ちゃん、ホンマに可愛いわあ〜!」
戸惑う冬子にお構いなしの秋子、
「こんな冬ちゃん放っといてあたしはどこにも行かれへんわ〜!」
それに気付き、どこ行くの?と訊く冬子を、
それはええやんとごまかして、それでどないしたいのかと訊き返す秋子。
「ようわからへん…出来たら、嫌いになりたいわ、
 嫌いになりたいくらいや」
「冬ちゃん可愛い〜!」
また抱きしめる秋子、
それを振り払おうとする冬子は物干しでドタバタして、
すると「嫌いや言うたらええねん」と秋子、
「子供みたいやけどな、案外効くかもわからへん」
そう言われても戸惑う冬子に、何度も念を押す秋子。

そしてこれは翌日でしょうか、
お店でパンを並べてる冬子、
そこに和ちゃんがパンを運んで来るけど……
しっかり絡み合う視線をムリヤリ逸らし、
何も言葉を交わさない2人。
そして事務室の春男さんに声をかける和ちゃんは、
しかし休憩に行こうとしてまた呼び止められ、
今度は座るように促された挙げ句に甘栗の皮まで剥かされ……って、
しかしこの時の春男さんの「剥いて」は、
秋子のハグとともに本放送時、今日のお気に入り2大名場面やったけど、
なのにどちらもそれ以来すっかり忘れてしまってたみたいで、
もう懐かしくって個人的にムッチャたまらなかったんですけどもそれはさておき、
そうやって剥いてもらいながら春男さん、
「お前冬子のことどない思てんねや」と、
さりげな〜く、ずばっと。
「…どないて?」
「好きか?」
剥く手が止まる和ちゃん。
「…嫌いか?
 なんで返事せえへんねえ?」
すると「冬ちゃんには好きな人がいてます」と和ちゃん。
驚き、戸惑い、しかし否定する春男さんですけど、
誤解とは言え例のあの現場を目にしてしまった和ちゃんの想いは堅く、
「冬子が他の人間と結婚してもかまへんいうことか?」
そう尋ねる春男さんに、それでも少しは躊躇うけど、
「…はい」と答える和ちゃん。
「お前にその気がないいうことやな」
「…ないです」
「それやったら、ホンマにそう思てんねやったら、
 ここ辞めてくれへんか?
 …冬子が不憫や、
 俺もお前の顔見たない」
そう言って、和ちゃんと甘栗を残して出て行く春男さんは、
工場の外でローリーと出くわすけど挨拶する彼を無視し、
すると、冬子が何か言ったのか……と、さらに勘違いの上塗りをするローリー。
そして甘栗を残して外に出て来た和ちゃんを見つけると、
最近冬子がおかしくないかと尋ね……
「実は僕、冬ちゃんのこと…歌で、振ってしもたんですわ」
「ローリーが?」
この何気ないひと言に言外の多くのものを感じ取ったであろう全国のお茶の間の皆様。
しかしそれに気付かずに続けるローリー、
「もともとは冬ちゃんがおじいさまの話信じたんがアカンかってんけど、
 成り行きでも、僕に振られたんがショックやったんやないかって…」
……さてこのなかに突っ込みどころは何ヶ所あるでしょうか?ってな設問はさておき、
「…泣いてませんでした?」と尋ねるローリーに、
「いや、どっちか言うたら怒ってた」
「ああ、怒ることで自分を支えてるんです、
 …和ちゃん、慰めてあげてください」
「なんで俺が?」
「僕はもうとっくに和ちゃんに譲ったんです」
「はあ?」
そして和ちゃんの両肩に手を置くローリー、
「冬ちゃんのこと受け止めてあげるんやったら、僕に振られて傷ついてる今ですよ!」
しかし首を振り「…そんな風には見えへんで」と言い残して工場に戻ろうとする和ちゃんを、
まだ呼び止めるローリー、言うに事欠いて、
「愛もパンも、あんまり放っとくとカビかて生えてしまいますよ」
大いに的を外していながらもその真摯さには心打たれ、
しかしその後で心打たれた自分がアホらしくなってしまう、そんなローリーが、
もう無視して工場に入ってしまった和ちゃんにさらに呼びかける、
「生えてしまいますよ!」

その夜、風呂上がりの冬子に、
そわそわと落ち着かない春男さんがようやく打ち明ける、
「もしかしたら、和人…ホンマに、工場、辞めるかもわからへん…」
その和人は自室で机に向かって、あれは前にチラッと出て来た、
外国のパン屋を紹介した本でしょうか、何かそんなのを眺めていて、
ふと思いついて脇の本棚に置かれた竹編みの小物入れを取ると、
そのなかから取り出したのは、きれいな白い布で大切そうに包まれた、
青みがかったガラスの器。
そう、幼い日、
冬子がかき氷を入れて走って持って来てくれた、あの器。
それをずっと大事に持っていた和ちゃん……
意外とストーカー気質やったりして……ってな冗談はさておき、
「アホッ、なんでそんなこと言うたん!?」と、
居間では事情を聞いた冬子、もう大興奮。
「堪忍、つい、すまん」と平身低頭の春男さんに、
「アホッ、お父ちゃんのアホッ!』とついに手を出し、
逃げる春男さんを追いながら、
「あたしはそんなこと思てへん、勝手に何言うてくれんの!?
 なんでそんなこと言うたん!?
 もう放っといて! あたしの、その、個人的なこと…」
降りて来た秋子も交えて3人でテーブルの周りをぐるぐるぐるぐる、
「いま、和ちゃんに辞められたら工場かて困るやろ?
 あたしはな、それだけの理由で、ここにいてもらわなアカンと思てんねん、
 いや、向こうから辞めたい言うんやったらしゃあないけど、
 なんでこっちから言うの!?」
問い詰められてもう平謝りするしかない春男さんはしかし謝りつつも、
「せやけどな、和人はその気あるで、
 いやなんもないねやったら、俺かて腹も立て…」
「ええやろ!!」とそれを遮る冬子、
「今更好きも嫌いもあらへん、
 ええわ、アホッ!!」
もはや手の付けられない冬子は2階へ駆け上がり、
へなへなとへたり込む春男さん。

しかし結果的には荒療治が功を奏したんだかどうなんだか、
その後、物干しの下のところから和ちゃんを呼ぶ冬子、
窓を開ける和ちゃんに、春男さんの言ったことを謝り、
「工場辞めんといてな、
 いま和ちゃんに辞められたら困んねん、
 あたしも、お父ちゃんも、
 …な、頼むから」
すっかり穏やかになった表情でそう言う冬子に、
「辞めへんで」と笑顔で答える和ちゃん。
「ホンマやね、約束やで」
「約束する」
「よかった、安心した、
 …ほな、おやすみ」
「おやすみ」
窓を閉める和ちゃん。
その後も笑顔で夜空を眺める冬子……というわけで、
いったん表に出た問題はこの後もまだまだ冬子を悩ませることになると思うけど、
とりあえずは落ち着いたようで、
昨日今日とそれどころやなかったナレーションも、
明日の回では冷静になって語ってくれるのでしょうか……ってしかし、
ナレーションと言えばこれは以前、
あれは2003年最後に放送の回で「あたしは思うのです…」というのがあって、
何度も繰り返されてたこのフレーズが好きやったって書いたんですけども、
でも……その後、まったく出て来てませんがな。
ああ、ホンマ情けなくなるなあ、僕の記憶力。
脳みそにカビ生えてしもてんのやろか。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 気を遣ってサバサバと | トップ | 子は親に煮る麺でるの法則 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

「てるてる家族」が歌ってる」カテゴリの最新記事