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集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

アニメ最大手企業・東映アニメのギャラリー

2010年09月15日 | 博物館など
西武池袋線大泉学園駅北口から東に1キロほど行ったところに東映アニメーションがあり、その一角にアニメーションギャラリーがある。普通のミュージアムだと思って行くと、正門わきの守衛さんに呼び止められ2枚複写の用紙に住所・名前を書き、入館証を首から吊るしてはじめて入門できる。工場見学とまったく同じシステムなので面食らう。この施設は企業の純粋なフィランソロピー(社会貢献)のようで、入館料が無料、管理スタッフも古くから働いている従業員のようだった。社員らしい人も同じ建物内をうろうろしている。庭には従業員用の緋鯉が泳ぐ噴水付きの池や、「闘争宣言」やねりま9条の会のポスターが貼られている労働組合の掲示板もあった。

このギャラリーは2003年にオープンした。東映動画(東映アニメの旧社名 98年10月改称)は大川博・東映社長の肝いりで「東洋のディズニー」をめざし1956年8月に設立された。翌年1月専用スタジオを建てアニメの制作を開始した。東映動画というと「白蛇伝」が有名だが、58年10月にこのスタジオで初めてつくられた長編アニメ映画が「白蛇伝」だった(短編映画は57年5月の「こねこのらくがき」)。これは劇場映画だが、63年にテレビアニメ「狼少年ケン」、64年「少年忍者風のフジ丸」、66年「魔法使いサリー」を制作して一躍テレビアニメの大手スタジオとなった。高畑勲、宮崎駿、りんたろうはこの会社の社員だったし、手塚治虫は「わんわん忠臣蔵(1963)の原案構成を担当した。

ギャラリーにはモニターが3台あり、そのうち1台で63-79年の初期テレビ作品オープニングを放映していた。もちろん「狼少年ケン(63)、「魔法使いサリー(第1期、66)、「ゲゲゲの鬼太郎(第1作、68)などなつかしいものもあるが、「あかねちゃん」(68)などすっかり忘れていた作品を数十年ぶりに見ることができた。ちばてつや原作の少女マンガで、「ハリスの旋風」のオチャラのような女の子が主人公である。「ドカン ポンカン トンチンカン」で始まるテーマソングを聞いて少し思い出した。
しかし何と言ってもアニメの躍進期は1980年代である。「Dr.スランプ アラレちゃん(81)、「キン肉マン(83)、「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー(84)、「北斗の拳(84)、「メイプルタウン物語(86)、「聖闘士星矢(86)、「ドラゴンボール(86)、「ビックリマン(87)とヒット作が目白押しだ。90年代に入ってからの作だが「美少女戦士セーラームーン(91)はいまに続く大ヒット作となった。東映アニメは、いまも年間250本のアニメを制作している。いま流行しているのは「ワンピース」と「プリキュア」らしい。わたしが訪れたとき4-5歳の女の子が目を輝かせていた。

高さ1m長さ7mの巨大なボードに「アニメ年表」という貴重なデータベースが展示されていた。
戦前のアニメとして、制作年代は明記されていないものの70本ものタイトルが並んでいた。「ニッポンバンザイ」「お猿の三吉 闘ふ潜水艦」「桃太郎 海の神兵」は、いかにも戦時中らしいタイトルだ。戦後は、「桜」「魔法のペン」など30本が並び、1956年の「一寸法師」、57年にはこのスタジオで制作された「こねこのらくがき」へと続く。
東映動画ばかりでなく日本で放映された全テレビアニメの放映時期が網羅されている。「鉄腕アトム」(63)が最も古く 同じ年に「仙人」、「エイトマン」、「鉄人28号」、そして東映動画の「狼少年ケン」の放映がはじまった。64年には「ゼロ戦はやと」、「少年忍者風のフジ丸」「ビッグX」、65年には「スーパージェッター」、「宇宙っ子ジュン」、「宇宙人ピピ」、「宇宙少年ソラン」など宇宙ものがたくさんつくられた。その他、「W3」、「オバケのQ太郎」、「ジャングル大帝」、「ハッスルパンチ」、「戦えオスパー」も65年だ。70年代になると1年の番組数が20本、80年になると45本、2000年に入ると60本に増え、現在に至る。 
劇場アニメ初期の制作現場写真で、服部良一の指揮で歌う山東昭子(西遊記 60)、アクション演技の指導を受ける東映ニューフェース・千葉真一(シンドバッドの冒険 62)、アフレコ中の佐久間良子と住田知仁(安寿と厨子王丸 61 住田とは「ゲゲゲの女房」で茂の父を演じた風間杜夫) など珍しい写真が展示されていた。

テレビアニメの勃興とともに、東映に限らないがおもちゃ、文房具などへのキャラクターの商品化が急速に進んだ。考えてみるとテレビアニメは民放とともにあり頭初から「鉄腕アトム」は明治製菓、「狼少年ケン」は森永のインスタントココア、風のフジ丸は藤沢薬品工業がスポンサーだった。キャラクター商品がたくさん展示されていた。ラミネートカード、ぬり絵、色鉛筆、鉛筆削り、ジグソーパズル、ティッシュペーパー、花火、子ども服、靴など、子どもが手にしそうなあらゆるものに及ぶほどジャンルは多岐に及ぶ。
テレビアニメの2005年の海外向け番組の年間売上高は26億円から28億円総務省、2005年のキャラクターライセンス商品の市場規模は1兆6100億円経済産業省、50年でアニメは立派な日本の「一大産業」となった。
人形もたくさん展示されていた。驚くほどの物量だった。古いものでは狼少年ケン、風のフジ丸、アラレちゃんなどがあった。セーラームーンで戦闘美少女が登場、これらが、現在のフィギュア文化につながった。村上隆BOMEのフィギュアなど「文化」の面でも大いに功績がある。

住所:東京都練馬区東大泉2-10-5
電話:
開館日:火曜~日曜
開館時間:9:30 ~17:00 (入館は16:30まで)
入館料:無料
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