この本の初出は2008年ですが、STAP細胞問題が世間をにぎわせたこの年に読む本としてちょうどよいのではないでしょうか。歴史書籍レビュー、第九十五回です。
奥菜秀次『捏造の世界史』(祥伝社)
「捏造事件」と言われて皆様が連想するものは何でしょうか。STAP論文? 偽石器事件? この本が出た当時だと「永田メール」だったそうで。「こういうものがあればいいのに」という誰かの望みがある限り、世に捏造の種は尽きないものです。
この本『捏造の世界史』と銘打ってはありますが、そこまで概説的な本ではありません。作者の専門がアメリカ現代史ということもあり、特にアメリカで社会現象となった5つの捏造事件について、経緯とまつわる人間模様をまとめたものです。
日本ではアメリカほどには知られていない事件ばかりなので、内容は新鮮。周辺人物へのインタビューなどが多く含まれているのも魅力で、特に大富豪ハワード・ヒューズ自伝の贋作事件については、贋作を手掛けた張本人であるクリフォード・アーヴィングが(事件そのものについては渋々、といった感じではありますが)直々にコメントしています。
ただし文体が難点。一般的ノンフィクション調の文と、俗っぽくブログ的な癖の強い文が入り混じっており面喰らいます。また誤字脱字なども多く、全体的にブラッシュアップが行き届いていない印象。取材は入念に行われていることがうかがわれるだけに残念に思いました。
奥菜秀次『捏造の世界史』(祥伝社)
「捏造事件」と言われて皆様が連想するものは何でしょうか。STAP論文? 偽石器事件? この本が出た当時だと「永田メール」だったそうで。「こういうものがあればいいのに」という誰かの望みがある限り、世に捏造の種は尽きないものです。
この本『捏造の世界史』と銘打ってはありますが、そこまで概説的な本ではありません。作者の専門がアメリカ現代史ということもあり、特にアメリカで社会現象となった5つの捏造事件について、経緯とまつわる人間模様をまとめたものです。
日本ではアメリカほどには知られていない事件ばかりなので、内容は新鮮。周辺人物へのインタビューなどが多く含まれているのも魅力で、特に大富豪ハワード・ヒューズ自伝の贋作事件については、贋作を手掛けた張本人であるクリフォード・アーヴィングが(事件そのものについては渋々、といった感じではありますが)直々にコメントしています。
ただし文体が難点。一般的ノンフィクション調の文と、俗っぽくブログ的な癖の強い文が入り混じっており面喰らいます。また誤字脱字なども多く、全体的にブラッシュアップが行き届いていない印象。取材は入念に行われていることがうかがわれるだけに残念に思いました。
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