バレエ・メソッド アンサンブル・ド・ミューズ スタイル

クラシック・バレエの実際のレッスンをモデルとして、正確に無理なく美しく動き踊るためのヒントやアドバイスをお伝えします。

センター・レッスン vol.3 グラン・バットマン

2010-04-26 11:06:55 | 日記
前々回のバットマン・フォンデュ、前回のロン・ドゥ・ジャンブ・パール・テールと、バーを離れて練習してみましたが、思っていた以上にターン・アウトを守るのが難しかったり、トルソーを真っ直ぐに支えることが難しかったりしませんでしたか?
掴まって身体を支える物があれば、ターン・アウトもトルソーのコントロールもしっかり出来るような気がするでしょう でも本当のコントロールは、掴まる物がないところで十分にきちんと出来るかどうか、です。だって大抵の舞台の上には、バーはありませんからね
今回はグラン・バットマンを練習しましょう。
まず鏡に対してアン・ファス(=正面向き)、左脚を軸脚、右を動作脚として右足前5番ポジシオン、アームスはアン・バで準備して下さい。
プレパラシオンでアームスはアン・ナヴァンを通してア・ラ・スゴンドに開きます。
ポアン・タンジュ・ドゥヴァン→2 5番ポジシオン→3 グラン・バットマン・ドゥヴァン→4 5番ポジシオン→5 ポアン・タンジュ・ドゥヴァン→6 5番ポジシオン→7 グラン・バットマン・ドゥヴァン→8 5番ポジシオン ポアン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→2 右前5番→3 グラン・バットマン・ア・ラ・スゴンド→4 右後ろ5番→5 ポアン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→6 右前5番→7 グラン・バットマン・ア・ラ・スゴンド→8 右後ろ5番 ポアン・タンジュ・デリエール→2 5番→3 グラン・バットマン・デリエール→4 5番→5 ポアン・タンジュ・デリエール→6 5番→7 グラン・バットマン・デリエール→8 5番 ポアン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→2 右後ろ5番→3 グラン・バットマン・ア・ラ・スゴンド→4 右前5番→5 ポアン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→6 右後ろ5番→7 グラン・バットマン・ア・ラ・スゴンド→8 右前5番
ドゥヴァン、ア・ラ・スゴンド、デリエール、どの方向にグラン・バットマンをするにしても必ずポアン・タンジュを通過しなければなりません。グラン・バットマンをして、上げた脚をおろし5番ポジシオンに戻るときも必ずポアン・タンジュを通過しなければなりません。
ドゥヴァンにグラン・バットマンをする瞬間に、脚を高く上げようとして、トルソーを前後に漕ぐように動かして反動をつけようとしていませんか?トルソーは真っ直ぐに引っ張り上げるようにイメージすることです
ドゥヴァンにグラン・バットマンをするとき、腰をひねってお尻から脚を上げようとしていませんか?ターン・アウトが失われて、格闘技のキックのようになってしまいますよ 気を付けましょう。
ア・ラ・スゴンドのグラン・バットマンをするとき、脚を上げる側のウエストが縮んでトルソーが動作脚の方に傾いたり、動作脚側の肩が下がったりしていませんか?それでは高く脚を上げることは出来ませんよ 左右の鎖骨を真っ直ぐにして動かさないようにしましょう。
ア・ラ・スゴンドのグラン・バットマンのとき、ポアン・タンジュを通過した途端に骨盤が前傾して、お尻の山が離れていませんか?それではターン・アウトが失われてしまいますよ。
デリエールのグラン・バットマンのとき、ウエストの後ろが縮み肋骨が上がって背中が反っていませんか?デリエールに脚を上げるときはトルソーは前傾しますが、アンダー・バストが軸脚の爪先よりも後ろになってはいけません。腰を痛める原因になりますよ
デリエールのグラン・バットマンは自分の肩幅よりも外に脚がハズレないように気を付けて下さいね
グラン・バットマンで大切なのは高く脚をあげることではなく、上げた脚をおろすときのコントロールです。まるで“お餅つき”の杵のようにべったんべったん と脚を打ち下ろしてはいけません 膝を痛める原因になることもありますよ
センター・レッスンのグラン・バットマンはクロワゼエファッセの方向で行なわれ、途中で方向を変えたりするのが普通ですが、それではトルソーの歪みや縮み、上げた脚の位置のズレなどを見過ごしてしまうことも多々あります。まずは正しいトルソーのコントロールと脚の上げ方・下ろし方を鏡を見てしっかりチェックして身につけましょう。
アンサンブル・ド・ミューズのレッスンでは、ジュニアに対してはその身体の成長と技術の習熟の度合いに応じて、グラン・バットマンでより高く脚を上げることを求めますが、大人からバレエを始めた方に対しては無理に高く脚を上げることは求めていません。なぜならば、ポジシオンもコントロールも無視して取り敢えず力任せに高さだけは高く放り上げた脚よりも、ポジシオンがきちんと守られ、トルソーも軸脚も安定した状態のシャープで伸びやかな90度のほうが美しいと私は考えているからです。

センター・レッスン vol.3 ロン・ドゥ・ジャンブ・パール・テール

2010-04-22 11:02:46 | 日記
前回はバーでのアンシェヌマンと同じバットマン・ファンデュを練習しましたが、思った以上に軸脚の足許がグラついたり、トルソーを真っ直ぐに支えることが難しく感じられたりしたのではないでしょうか?
今回はロ・ドゥ・ジャンブ・パール・テールを練習してみましょう。
ロン・ドゥ・ジャンブにパ・ド・ブーレを組み合わせたアンシェヌマンです。
鏡に向かってアン・ファス。左脚を軸脚、右脚を動作脚として5番ポジシオン、アームスはアン・バ。
アームス;アン・ナヴァン→8 アームス;ア・ラ・スゴンド→1 ポアン・タンジュ・ドゥヴァン→2 ポアン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→3 ポアン・タンジュ・デリエール→4 1番ポジシオン⇒5 ドゥヴァン→6 ア・ラ・スゴンド→7 デリエール8 1番ポジシオン⇒1 ドゥヴァン→2 ア・ラ・スゴンド→3 デリエール→4 1番ポジシオン⇒5 ドゥヴァン→6 ア・ラ・スゴンド→7 デリエール→8 1番ポジシオン⇒1・2 ポアン・タンジュ・ドゥヴァン‐ドゥミ・プリエ→3・4 ドゥミ・ロン・ドゥ・ジャンブ‐ポアン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→5 右後ろ5番ポジシオン・ドゥミ・ポアント→6 左脚を横に開いて2番ポジシオン・ドゥミ・ポアント→7・8 右脚前5番ポジシオン・ドゥミ・プリエ⇒1・2 左脚ポアン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド→3・4 左後ろ5番ポジシオン・ドゥミ・ポアント→5・6 右脚を横に開いて2番ポジシオン・ドゥミ・ポアント→7 左脚前5番ポジシオン・ドゥミ・プリエ→8 両膝を伸ばす 左脚でロン・ドゥ・ジャンブから繰り返す

いかがですか?安定したロン・ドゥ・ジャンブ・パール・テールは出来ましたか?
ア・ラ・スゴンドに開いたアームスは最初から最後まできちんとポジシオンを守ったままでいられましたか?
ポアン・タンジュ・ドゥヴァンからア・ラ・スゴンド、デリエールへときれいな半円を爪先で描くことが出来ましたか?爪先の動線が三角形の辺をなぞるようにへこんではいけませんね
ポアン・タンジュ・ドゥヴァン・ドゥミ・プリエからア・ラ・スゴンドにドゥミ・ロン・ドゥ・ジャンブをするとき、トルソーが軸脚の方に傾いてはいませんか?骨盤を軸脚の上で真っ直ぐに支えましょう
ポアン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド・ドゥミ・プリエから右脚後ろの5番ポジシオン・ドゥミ・プリエに引き上げた時、トルソーが後ろに反って“お腹”が出ていませんか?5番ポジシオン・ドゥミ・プリエの前側の爪先の上にアンダー・バストを置くとイメージして、トルソーを支えて下さいね
5番ポジシオン・ドゥミ・ポアントから次の2番ポジシオン・ドゥミ・ポアントに脚を開くとき、“よっこいしょ”とトルソーで弾みをつけるような動きをしていませんか 重心が後ろのほうにズレてしまいますよ
5番ポジシオン・ドゥミ・プリエに動きを収めるときも、力尽きて崩れ落ちるような動きになっていませんか
アンサンブル・ド・ミューズのレッスンでは、5番ポジシオン・ドゥミ・プリエに動きを収めるときは、両足の爪先から足の裏全体でしっかり分厚いスポンジを押して、水を絞り出すようにとプリエのイメージを伝えています。そして同時にトルソーは見えないワイヤーで上に吊り上げられていくようなイメージで、とも伝えています
今回はアン・ドゥオールで練習しましたが、もちろん、アン・ドゥダーンの練習も必要ですよ。
いずれは練習することになる、パ・ドゥ・バスクコントゥルタンランヴェルセなどさまざまなパをスムーズに美しく動くためにも、ロン・ドゥ・ジャンブは大切な要素です。アン・ドゥオールやアン・ドゥダーンに動かす脚は、股関節での動きでコントロールする、ということを忘れないで下さいね。

センター・レッスン vol.3 バットマン・フォンデュ

2010-04-19 10:34:42 | 日記
センター・レッスンでは、通常アダージョ⇒バットマン・タンジュ⇒グラン・バットマン⇒プティ・ソテと進められて、アレグロトゥール(回転技)、そしてグラン・アレグロ、グラン・ワルツへと進んでいきますね。
その内容は何か一つのパターンで決まっているものではありません。
バーという掴まるものがあるときには辛うじて脚を動かしコントロール出来ていると思っても、バーのないところでも果たして同じようにコントロール出来るでしょうか?
トルソーが傾いたり、軸脚がグラついたり、股関節のターン・アウトを忘れたり、プリエが十分でなかったり…、バー・レッスンの時にはちゃんと出来ていると思っていたことが、案外不安定だったりするものです。
掴まるものがないからこそ、丁寧に正確にコントロールしなければなりませんね。
今回はバットマン・フォンデュの練習をしましょう。
鏡に対してアン・ファス(=正面向き)、左脚を軸脚とします。右脚前5番ポジシオン、アームスはアン・バで準備して下さい。
アームスをアン・バからアン・ナヴァンに引き上げる→8 アームスをア・ラ・スゴンドに開くのと同時に右脚をポアン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド 1♫2 右脚ク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァン‐ドゥミ・プリエ⇒3♫4 ポアン・タンジュ・ドゥヴァン⇒5♫6 ク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァン‐ドゥミ・プリエ⇒7♫8 ポアン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド⇒1♫2 ク・ドゥ・ピエ・デリエール‐ドゥミ・プリエ⇒3♫4 ポアン・タンジュ・デリエール⇒5♫6 バットマン・クロシュ‐ポアン・タンジュ・ドゥヴァン‐ドゥミ・プリエ⇒7♫8 バットマン・クロシュ‐ポアン・タンジュ・デリエール 1♫2 ク・ドゥ・ピエ・デリエール‐ドゥミ・プリエ⇒3♫4 ポアン・タンジュ・デリエール⇒5♫6 ク・ドゥ・ピエ・デリエール‐ドゥミ・プリエ→7♫8 ポアン・タンジュ・ア・ラ・スゴンド⇒1♫2 ク・ドゥ・ピエ・ドゥヴァン‐ドゥミ・プリエ⇒34 ポアン・タンジュ・ドゥヴァン⇒5♫6 バットマン・クロシュ‐ポアン・タンジュ・デリエール‐ドゥミ・プリエ⇒7♫8 バットマン・クロシュ‐ポアン・タンジュ・ドゥヴァン
ク・ドゥ・ピエ‐ドゥミ・プリエからポアン・タンジュに脚を伸ばすときは、軸脚と動作脚の両膝を同時に伸ばします。どちらかの膝を伸ばすタイミングが遅れないように気を付けましょうね
ポアン・タンジュ・デリエールからバットマン・クロシュをするときは、キチンと1番ポジシオンを通過します。爪先と膝が正面向きになった動作脚が軸脚の横を通過しないように、股関節のターン・アウトをしっかり守って下さい。ポアン・タンジュ・ドゥヴァンからのバットマン・クロシュでも同じですよ
ポアン・タンジュ・デリエールからバットマン・クロシュをしてポアン・タンジュ・ドゥヴァン軸脚ドゥミ・プリエをしたとき、骨盤が動作脚のほうにズレてお腹が斜め になっていませんか?骨盤を掬い上げるような形で腰が丸くなっていませんか
ポアン・タンジュ・ドゥヴァンからバットマン・クロシュでポアン・タンジュ・デリエール軸脚ドゥミ・プリエになった時、ウエストの後ろが縮んで背中が反っていませんか?ポアン・タンジュの爪先を押し潰すように重心が後ろにズレていませんか
ク・ドゥ・ピエでドゥミ・プリエをするときには、軸脚のカカトを前に押し出して一見ターン・アウトを守っているようなプリエをするけれど、動作脚をポアン・タンジュに伸ばし始めた途端に軸脚のカカトを後ろに引いてターン・アウトを失ってしまう、という動きを繰り返していませんか とんでもない間違いですよ 一番初めに5番ポジシオンで準備したときの、その軸脚のターン・アウトを最後まで守らなければなりません

今回はアン・ファスのままポアン・タンジュで練習しましたが、軸脚やトルソーのコントロールが安定してきたらクロワゼを向いてデガージェで練習しましょう。そのあとポール・ドゥ・ブラを伴った練習をするといいですね

バー・レッスン vol.3 グラン・バットマン

2010-04-15 09:40:43 | 日記
初めの頃のレッスンでは、グラン・バットマンの基本の脚の上げ方や注意点などを中心に説明しましたね。無理に脚を高く上げる必要はないということや、90度を目安にすればいいということもお話しました。
バー・レッスンの内容も少しずつ変化し、センター・レッスンでの様々なパやアンシェヌマンの練習を重ねることで、身体も柔軟性を増し、動きも良くなってきていることでしょう。
今回のグラン・バットマンは、90度に抑える必要はありません。自分の脚や腰の筋力や柔軟性に任せて、上がるところまで上げて構いませんよ。ただし、守るべきポイントはきちんと守ってのことです。
左手バーで左脚を軸脚として、右脚前5番ポジシオン、アームスはアン・バ。
プレパラシオンで右アームスをアン・ナヴァンを通ってア・ラ・スゴンドに開きます。
グラン・バットマン・ドゥヴァン→2 5番ポジシオン⇒3 グラン・バットマン→4 5番ポジシオン⇒5 グラン・バットマン→6 5番ポジシオン⇒7 ドゥミ・プリエ→8♫両膝を伸ばす⇒1 ア・ラ・スゴンド・グラン・バットマン→2 右脚後ろ5番ポジシオン⇒3 グラン・バットマン→4 右脚前5番ポジシオン⇒5 グラン・バットマン→6 右脚後ろ5番ポジシオン⇒7 ドゥミ・プリエ→8♫両膝を伸ばす⇒1 グラン・バットマン・デリエール→2 5番ポジシオン⇒3 グラン・バットマン→4 5番ポジシオン⇒5 グラン・バットマン→6 5番ポジシオン⇒7 ドゥミ・プリエ→8♫両膝を伸ばす⇒1 グラン・バットマン・ア・ラ・スゴンド→2 右脚前5番ポジシオン⇒3 グラン・バットマン→4 右脚後ろ5番ポジシオン⇒5 グラン・バットマン→6 右脚前5番ポジシオン⇒7 ドゥミ・プリエ→8♫ 両膝を伸ばす
ここで初心者の方が間違えやすいのは、ア・ラ・スゴンド・グラン・バットマンをした脚を、前か後ろかどちらの5番ポジシオンに収めるか、です。
ドゥヴァンが終わってア・ラ・スゴンドにグラン・バットマンをしますが、ア・ラ・スゴンドが終わったらデリエールです。ですから動作脚を後ろの5番ポジシオンに収めておかなければなりません。今回は奇数回=3回グラン・バットマンをしますから、後ろ→前→後ろになります。
同じようにデリエールのグラン・バットマンが終わったあとのア・ラ・スゴンドは、準備のポジシオンと同じ“動作脚が前”の5番ポジシオンに収めなければなりませんから、後ろ→前→後ろになります。
次の動きや脚を出す方向によって、前後どちらの5番ポジシオンに収めるかが決まります
それでは問題です。グラン・バットマンを偶数回=4回する場合、
①ドゥヴァンのあとのア・ラ・スゴンドの一番目の5番は前後どちらになりますか?
②デリエールのあとのア・ラ・スゴンドでは1番目の5番は前後どちらになりますか?

グラン・バットマンの動きのアクセントは、脚が上がりきった頂点にあります。足で床をしっかりおして勢い良く振り上げ そっと丁寧に下ろして5番に収めます。脚を下ろしたときに音をたてないように気を付けましょう
グラン・バットマン・ア・ラ・スゴンドは、前側の5番ポジシオンからでも後ろの5番ポジシオンからでも上げた脚の位置は一つです。脚を振り回すようなグラン・バットマンをしてはいけませんね
グラン・バットマン・デリエールの場合は脚が、骨盤の幅よりも外にはみ出さないように気を付けて下さい

今回練習した組み合わせのほかに、“ドゥヴァン4回→ア・ラ・スゴンド4回→デリエール4回→ア・ラ・スゴンド4回”という組み合わせや、“ドゥヴァンとア・ラ・スゴンドで4回ずつが終わったらバーの方に向きを変えて、両手バーでデリエール8回”というのも、普段よく指定される組み合わせです

バー・レッスン vol.3 アダージョ

2010-04-12 14:40:30 | 日記
これまでバー・レッスンやセンター・レッスンで、それぞれの動きについてその特性や動き方、トルソーや脚の動かし方やコントロールの仕方などを確認しながら練習してきましたので、脚やお腹周りが少し強くなってきたのではないでしょうか
今回はデヴロッペアティチュードを組み合わせて、アダージョの練習をしましょう。
先にアティチュードについてご説明しましょうね。
アティチュード・ドゥヴァン;膝を90度よりも浅い角度に曲げて前に脚を上げます。股関節のターン・アウトを守って膝を開き、爪先がお臍の延長線上にくるようにします。膝からしたが縦にブラ下がるようなポーズは“失敗作”です
アティチュード・ア・ラ・スゴンド;90度よりも浅く膝を曲げてア・ラ・スゴンドの方向に脚を上げます。膝が前に倒れて膝から下が後ろに流れてはいけません。膝よりも内くるぶしが少し前に位置するくらい、と考えるといいですよ。
アティチュード・デリエール;90度よりも浅く膝を曲げて後ろに脚を上げます。骨盤の幅よりも外に膝の位置がハズレないように気を付けましょう。股関節のターン・アウトが失われて膝が床の方を向き、横から膝を曲げた脚の形が見えるようでは困りますね。内腿から膝をしっかり引き上げるようにしましょう。
アンサンブル・ド・ミューズのレッスンでは、ドゥヴァンとデリエールのアティチュードは大木に脚で巻きつくようなイメージでと伝えています
アンサンブル・ド・ミューズのレッスンで、膝を曲げる角度を90度より浅くと指定しているのは、日本人の骨格を考えてのことです。厳密に90度に膝を曲げると、脚が短く見えてしまうことがあるからです
アティチュード、どんなポーズかイメージ出来ましたか?安直に“アラベスクの膝を曲げたポーズ”“ドゥヴァンの膝を曲げたポーズ”ではないのです
それではアダージョの練習をしましょう
左手バーで左脚を軸脚として、右足前5番ポジシオン、アームスはアン・バ。
プレパラシオンで右アームスをアン・ナヴァンを通ってア・ラ・スゴンドに開きます。
1・2 右脚をク・ドゥ・ピエを通ってルティレに→3・4 デヴロッペ・ドゥヴァン→5・6 アティチュード・ドゥヴァン→7・8 デヴロッペ・ドゥヴァン⇒1・2 ルティレ→3・4 デヴロッペ・ア・ラ・スゴンド→5・6 アティチュード・ア・ラ・スゴンド→7・8 デヴロッペ・ア・ラ・スゴンド⇒1・2 ルティレ→3・4 デヴロッペ・デリエール→5・6 アティチュード・デリエール→7・8 デヴロッペ・デリエール⇒1・2 ルティレ→3・4 右足後ろ5番ポジシオン→5・6 ドゥミ・プリエ→7・8 両膝を伸ばす⇒1・2 デリエールから同様に繰り返す→
デヴロッペ・ドゥヴァンに脚を伸ばすとき、脚よりも先に骨盤が前に出てはいけません。またルティレのターン・アウトを崩して膝を前に向けて脚を伸ばすのも間違った動き方ですよ
ア・ラ・スゴンドにデヴロッペをするときには、ルティレの膝をさらに少しだけ引き上げるつもりで脚を伸ばすと、脚を重く感じないで動けます。膝ではなく、骨盤が上がって傾かないように気を付けて下さいね
デヴロッペ・デリエールは少し難しいですね。ルティレをしたら、膝から下よりも先に膝を後ろに上げていく、とイメージするといいでしょう 膝を前に向けて“足の裏”から脚を上げていかないように気を付けましょう。
デリエールに上げた脚の側のウエスト部分が縮んだりトルソーがバーと反対のほうに開いたりしていませんか トルソーが後ろに引っ張られて腰が反っていませんか トルソーが軸脚側の斜め前方に傾いて捻れていませんか どれも腰を痛める原因になってしまいますよ
90度の高さに脚を上げてデヴロッペが出来れば理想的ですが、無理に脚を高く上げる必要はありません。軸脚のターン・アウト、骨盤、トルソーを真っ直ぐに自然に保つことを優先して下さいね
アティチュードの後のデヴロッペをしてルティレに脚を戻しますが、このルティレは決して“休憩のポーズ”ではありません 脚を上げて伸ばし続けるのが辛いからといって、サッサとルティレに戻って“休憩”するのは大きな間違いですよ
デヴロッペからルティレに脚をもどしたときの、このルティレは“通過点”です。ですから“パッセ(=passe)”と呼ぶのです。“ルティレ”と“パッセ”、ポーズとしては同じですが意味するところが違います