ORGANIC STONE

私達は地球を構成する生命を持った石に過ぎないのですから。

アンジェラの灰(1999)

2006-01-21 18:17:33 | 映画:アイルランド系
Angela's Ashes

アイリッシュの作家フランク・マコートの自伝を、社会派監督アラン・パクラが映画化した作品。第二次世界大戦前後のアイルランド(リムリック)の貧乏な家族の物語と聞くと、暗いストーリーの様ですが、そうではありません。暗い現実の中に笑いを交えた、そしてちょっと泣ける映画です。(フランクがおばに服を買ってもらうシーンでもらい泣き・・・)

ストーリーは貧乏でもけなげに生きるフランク少年を軸に、理想ばかり高く酒ぐせの悪いお父さん(ロバート・カーライル)と、貧困のため次々と子供を死なせてしまう悲惨な現実を生きるお母さん(エミリー・ワトソン)の生活を描写していきます。
アイリッシュ作家自伝の映画化といえば「マイ・レフト・フット」が有りますが、こちらも同じ時代の物語です。「マイ・レフト・フット」が作家自身の苦悩がストーリーの中心であったのに対して、こちらは主に両親の苦悩が重要なキーとなります。カーライル演じる父親は、北アイルランドから来たダメ男。北のなまりのせいかで仕事もなかなか見つからず、失業手当てで生活しています。(実際現在もこの状況は変わっていません。北なまりがあると南の人は警戒します。)苦労するのは母ワトソン。相変わらず逞しい庶民の女を演じます。アイルランド近代史で欠かせない「飢饉」「アメリカ移民」「IRA」「宗教対立」「内戦」「出稼ぎ」など網羅されていますが、このあたりに関しては、知識のない方が見ても理解できるストーリーだと思います。(ただ、カソリック特有の儀式と物の考え方は、知識がないと少々難しいかも)

さて、アイルランドで、ギネスビール以外に世界に誇れる物とはなんでしょう。文学、演劇、そして音楽だと思います。また、90年代にアイルランド政府は、映画産業への減税措置をとっていた時期があり、沢山の映画が撮影され、いいスタッフが育ったのです。だからアイルランド物の映画は、どれも質が高い!それはこの映画にも言えます。もちろんカーライルとワトソンはアイリッシュではないですが、その他は純アイリッシュで揃えたのではないでしょうか。幼年時代のフランク役の少年ジョ-・ブリーンを含め、少年達の演技の達者なこと。この映画が数々の賞を受賞した、というのは不思議ではありません。
(余談:ハリーポッターのシーマス・フェネガン役デボン・マーリィがフランクの弟役で出ています。シーマス・フェネガンて名前からしてPaddyでしたね・・・)

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