『阪急電車』(有川浩著)を読みました。
電車の中で、乗り合わせた人と人との出会いが、
その人の人生に交わったり、並行したり、分岐点になったり。
まるで電車の線路のように。
阪急電車には乗ったことはないので、その様子や
駅の距離感ははかれないのだけど、
高校生の頃に通学のために乗っていた江ノ電を思い出した。
ある日の学校帰り。
夏の頃だったかなぁ。
海沿いを走る江ノ電に乗っていると、目の前にカップルが座っていて。
でも二人は一言も話さないまま、まっすぐ前を向いている、というより
必要以上にお互いを見ようとしないようにしている感じで。
男の人は忘れてしまったけれど、ちょっと怒った顔をしていて。
女の人は、ちょっと悲しげな、落ち着いた大人のきれいな人で。
そのままやっぱり何も話さないまま、鎌倉駅に着いて。
みんなが席を立って降りていく中、
男の人は立ち上がって人ごみにまぎれて降りていくのに、女の人は座ったまま。
席を立った私が女の人の前を通り過ぎて降りようとしたとき、
女の人が、ぽとりと、涙をこぼしたんです。
私はそのまま女の人を残して電車を降りて、あわてて人ごみにまぎれたけど。
どきどきした。
私、恋が終わる瞬間を見てしまったのかもって。
そんなことを思い出しました。