詩の自画像

昨日を書き、今日を書く。明日も書くことだろう。

海岸線

2017-03-08 08:59:38 | 

海岸線

 

 

大地と太平洋の海があって

南から北へと細長く伸びる海岸線の風景は

震災後は心細くなって

考える事が多くなってきた

 

遠い昔の事だが

いっときニュースになった

外国から何年もかけて

流れ着いた手紙を拾った浜辺はもうない

 

防潮堤が二メートルも空に近づいた

ジャンプしてももう日常の風景には届かない

海が見えない 

波の音も聴こえない

 

海岸線も一メートル近く沈んだ

砂浜に書き記した遠い昔の思い出は海の中だ

テントを張って焚火をして夜を過ごした

その浜辺はない

 

あの東日本大震災から六年が過ぎたが

記憶の中にある海岸線は昔のままだ

何度も記憶の中の海岸線を修正しようとしたが

まだ早いと止めるものがいる

 

思い出が邪魔をするのだ

ここにあった そこにあった

と 記憶の中にあるものを次々と持ってくるから

修正する時間がなかった

 

六年目の三月十一日が過ぎた

七年目の葛藤は少し小さくなっている筈なのだが

心が暗い

防潮堤の上に立っても足下がふらつく

 

まだ一Fの周りには数えきれない不安がいっぱいある

周囲十キロの海は毎日緊張している

試験操業をしている舟が近づくと

波が高く跳ねて警鐘する

 

白いものが増えた水平線は目の前にある

定規で丁寧に引いた震災前の水平線の場所から

大分海岸線に近づいた

大きな船が水平線の先に沈むのが見える

 

大地と太平洋の海があって

南から北へと細長く伸びる海岸線の風景が

記憶の中にあるが

もう修正しなくてはならない

 

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