窓辺のカーテンを通して
冬の陽の温もりはやってくるが
心に届いた頃には
子守唄のように優しくなる
詩心があるのだろう
背中を優しく叩かれているような
母の思い出まで遡っていく
外の風は寒いのだが
記憶の遡上とは
躊躇するものとそうでないものが
交錯するから
途中で引き返すときがある
このように心が優しくなれる日は
葛藤するものがないので
冬の陽の自画像は
一日中微笑んでいる
窓を開けてはいけない
猫二匹が
窓辺で仲良くうとうとしている
そこに体を全て預けて
青空が見える
珍しく透明で雲などない一日だ
雲はどこかで遮られている
目の疲れに青空を一滴指す
冬の陽に冬の詩を書いている
猫の仕草を真似て
賑やかな声が通り過ぎていく
午後の時間も大分過ぎた