詩の自画像

昨日を書き、今日を書く。明日も書くことだろう。

ムカデ

2017-04-06 08:16:30 | 

ムカデ

       

庭の草むしりの音に

驚いたムカデが

外に向って逃げ出した

 

歩道のアスファルトは

熱さの限界に達しているから

ムカデは思わず

「熱い!」と叫んで

その上を転げまわった

 

転がるたびに

焼きあがっていく

ムカデの姿を

塀の上で猫が見ている

 

さすがに

飛びかかろうとはしない

猫も狩をする動物なのだが

こんなときは

知恵者になれる

 

ただカラスが

同じところを

ぐるぐる周っているから

黒く焼きあがるムカデの姿を

その鋭い視線が

捉えたのだろう

 

たぶん一瞬なのだと思う

ムカデが

カラスの胃の中に入るのは

 

暑い夏の

終わりに近い午後の時間

 

日射が地球の表面から

その下へと

鋭く突き刺していく

周りがピリピリしている

 

人通りも少ない

アスファルトの上でのできごと

焼きあがりつつある

ムカデと目が合ってしまった

 

臭いまで

鈍感な鼻が拾ってしまったから

カラスの胃の中に

入る前にと

足で草むらへ蹴りこんだ

 

放射線量は少し高いが

草むらの中で

静かな最後を迎える

それが今のムカデには

最高の安らぎになることだろう

 

庭の草むしりは

止めにした

また同じような光景に出会う

 

それだけは 今日はもう

避けなければならない

 

ムカデと重なり

古里に戻って 草むらの中で

静かな最後を迎えたくなる

 

 

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