私は詩を書く人

昨日を書き、今日を書く。明日も書くことだろう。

電話

2016-10-14 06:13:21 | 

電話

 

 

真夜中に電話がなって

すぐに切れた

とても嫌な切れ方だ

 

眠りの中で

いろいろなことを考えていたから

ふと重なったものを

見落としてはいないかと

心配になってくる

 

真夜中の電話は

悪い知らせが多いから

間違いだったのか

それとも知らせるべきかどうか

迷ったのか

 

切れた真意は と考えてしまう

叔父さんは八十歳も半ば

叔母さんは心臓の持病持ち

兄弟にも

病院通いがいる

 

留守番機能はあるが

通話記録を持たない

古い電話を大事に使ってきた

 

プッシュホンなのだが

ときどき数字を

押し間違えることがある

 

だから数字を押すときには

慎重にと

言い聞かせてきた

 

真夜中の電話は

相手の不安を増長させるから

押し間違いは

あってはならないのだ

 

短い切れ方だから

押し間違えに気がついて

すぐに切ったということなのだろう

 

しかし と考えが回り始めると

一度納得しても

また元に戻ってしまう

 

真夜中に

プッシュホンの数字を押した指は

罪な指だ

 

そこで切っても

コールの後のやりとりまで

責任が伴うのだから

 

電話がなって

受話器を取ろうとすると

切れてしまった

とても嫌な切れ方だ

 

狭い仮設住宅の中で

離れて生活しているから

ポツンと不安が生まれてくる

 

叔父さんのこと

叔母さんのこと

兄弟たちのこと

 

指一本でコールする

シンプルであればあるほど

不安が大きくなる

 

だから 真夜中の電話は

繋がっても繋がらなくても

意思の伝達だけは

忘れてはならないのだ

(詩集 桜蛍より)

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