詩の自画像

昨日を書き、今日を書く。明日も書くことだろう。

2017-02-22 10:16:50 | 

 

死者の魂を載せた舟が陸地を泳いでいる

ゆらりと沈んだ先で戻れない者は

呼ぶ声の方へと来るのだが

読経を終えた辺りからもう近づくことはできない

 

砂浜には落胆した知恵がこぼれ落ちている

貝殻が渦を巻き轟音を残して呑み込まれて行った

舟は溺れるような姿勢で陸地を泳ぎながら

その周りを何度も循環している

 

立ち尽くすこの場所は昨日までは生活の場所だった

合掌すると

食卓の匂いが賑やかな声とともに戻ってくる

 

思い出を飾った写真の位牌に新しい名前が書きこまれた

骨壺の中には誰もいない

 

ひんやりとした海風がどこからともなく吹いてきた

約束とは陳腐なものだ

長い読経が終わるともう舟はその中でしか泳ぐことはできない

 

呼びかけてみて手に触れるものが温もりであっても

それは気配なのだ

ここまでが限界なのだと死者の魂を載せた舟が揺れている

酔いながら大きく揺れている

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