詩の自画像

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水飴売りの叔父さん(推敲中)

2017-10-03 08:46:48 | 

水飴売りの叔父さん

 

 

祖父から小遣いをもらって

水飴を買った

 

一本の割りばしに

水飴が膨らんでいる

隣の友達の方が

少し大きいと

口げんかになったときもある

貧しかった

時代の事なのだが

 

粗末な割りばし一本に

水飴の塊が一つ

そこに青と赤の色模様が

一滴か二滴たらされていた

 

その割りばしを

二つに折って

水飴を混ぜ合わせていくのだ

混ぜれば混ぜるほど

水飴は綺麗な色になる

 

水飴は混ぜ合わせて

固くなる時間を

上手にコントロールできる

 

我慢できなくなっては

ペロリと一口舐める

また二つの割りばしで

混ぜ合わせていく

繰り返しながら粗末な割りばしは

魔法のように見えた

 

今の政治は混迷している

混ぜ合わされば混ぜ合わさるほど

ややこしくなってきて

選択肢が小さくなってくる

 

水飴のように甘い言葉があっても

平和の言葉ではない

絶対に許しては

ならないものがある

その選択眼を

見失ってはいけない

 

一本の粗末な割りばしでもいい

それを二つに割って

混ぜ合わせてもいい

絶対許してはならないものが

しっかりと固まった

平和の水飴になるのであれば

 

今は自転車で売り歩く

水飴売りの叔父さんはいないが

それぞれの人の

心の中を売り歩いている筈だ

 

自転車で田舎まで

水飴を売りに来た叔父さんは

ご褒美として

紙芝居をみせてくれた

 

戦争で親を亡くした子どもが

貧しい生活を耐えながら

独り立ちしていく姿に

水飴を口に入れながら泣いた

子ども心にも

戦争の悲惨さは分かっていた

 

政治が混迷している時代こそ

心の中で平和を売り歩く

自転車に乗った

水飴売りの叔父さんが

必要なのかも知れない


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