詩の自画像

昨日を書き、今日を書く。明日も書くことだろう。

詩集の本棚

2017-05-03 14:24:38 | 

詩集の本棚

 

 

夏のファッションが

店頭に並んでいる

春は店の奥の方に隠れている

見えない場所だ

 

値札は夏の新しい匂いがする

まだ朝夕は肌寒いのだが

ファッションは

いつの季節も誰よりも早くと

その先頭に立つ

 

妻は食料品売り場で

夏の野菜を探している

 

久しぶりに書店に立ち寄った

立ち読みする時間はそう長くはない

詩集の本棚は窮屈そうだ

 

詩の本が少なく

本棚の隅っこに追いやられている

好きな詩人の本は取り寄せだ

 

一冊の詩集から夏の匂いがしている

その詩集を棚から取りだし

読み始める

 

文字が夏草で覆われている

風が吹く草原に立っているようだ

詩の文字の羅列が

知らない作者の世界へと

案内してくれる

 

夏草の香りがする行間が沢山あって

そこに入りこんで

小鳥のように

口笛を吹くこともできる

 

妻は新鮮な夏の野菜を

レジに卸している

これから夏のファッションのカーテンを

くぐるのだろう

 

夏のファッションの感触を目に沁み込ませ

家の中を春から夏へと

衣替えする為だ

 

名前を呼ばれた

はっとしてその詩集を本棚に戻した

購入すれば

その続きに入りこめるのだろうか

 

一日置いてその書店に行ってみると

その詩集は返却したという

夏の香りがする詩集だと

誰も気が付かなかったのだろう

 

詩集が本棚から消えていく

その詩集一冊分のスペースには

料理の本が置かれてあった

また詩集の本棚は窮屈になった

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