詩の自画像

昨日を書き、今日を書く。明日も書くことだろう。

希望

2017-05-17 12:36:36 | 

希望

 

この美しい季節を持って

古里に戻りたいと

言っていた人が亡くなった

 

季節が春になり

夏になると古里を思い出す

とも 言っていた

 

初夏に入った

 

予定では山に入って

美しい季節をたくさん刈り取って

古里に戻る筈だった

 

希望が枯れた古里

そこに希望を

持ち寄って積み重ねていくのだ

 

その人が

希望という言葉を使うようになったのは

震災後五年が過ぎてからだ

 

二〇一七年三月末で

帰還困難区域を除き

困難区域の線引きは解除された

 

希望を積み重ねる場所が

それぞれの町村に

僅かだが出来上がったのだ

 

古里に戻ることを夢見て

仮設住宅や借り上げ住宅で過ごした

月日は長かった

 

心の中には傷ついたものが

未だにたくさん隠されている

怒りをぶつけるところがないのだ

 

困難区域は解除されたものの

住民が戻るには時間がかかるだろう

放射線量に対する不安がある

 

この美しい季節は

希望が積み重なっていけば

必ず戻ってくる

 

今頃は一人で古里の空の上で

希望が積み重なっていくのを

見ているかも知れない

 

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