怯儒独言~酒と××の日々+

この世にはおもしろいものがいっぱいある。つまらないものはその数万倍はあるだろう。微妙なものもあるよね。

怪談女優

2010-06-17 08:02:54 | 書籍
 『東海道四谷怪談』でお岩を演じているのは、若杉嘉津子、20年近く前に今はなき大井武蔵野館の上映イベントで拝見したことがある。女優業を引退して30年にはなっていて、60台だったと思うが、美しかった。「女優」というのは違うものだと思った。
 円尾敏郎・編によるインタビュー本『妖艶 幻想 怪奇 慈愛 若杉嘉津子』である。奥付見たら10年前の刊行だった。『人形佐七捕物帖 妖艶六死美人』とか『憲兵とバラバラ死美人』とか『怪談海女幽霊』とか『怪談かさねが渕』とか『毒婦高橋お伝』などに出演している。所謂ゲテモノだが、時代を経てキッチュな魅力をたたえている。本書は写真集でもあるのだが、魅力的なのである。
 決して一流と評価された女優ではないが、昭和30年代前半の主演作あるいは『東海道四谷怪談』一本だけでも輝いているのである。女優がもっとも魅力的なのは30台40台である(これは高峰秀子の言葉だったか)ことの証明か、若けりゃそれなりにみんな魅力だもんね。
 どうでしょ。



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