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作曲をするpocknが週1以上ペースで通っているコンサートの感想録を中心に、クラシック音楽を追求します。

仲道郁代 ピアノ・リサイタル

2017年04月18日 | pocknのコンサート感想録2017
4月13日(木)仲道郁代(Pf)
~3台のピアノの響きとともに~
なかのZERO大ホール
<第1部>
3台ピアノの弾き比べとお話し
♪ベートーヴェン/ワルトシュタイン・ソナタ~第1楽章の一部、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」~冒頭カデンツァ
♪ショパン/「アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ」~ポロネーズ、遺作のノクターン(それぞれ一部)
♪チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番~冒頭

<第2部>
♪ベートーヴェン/ソナタ第14番 嬰ハ短調 Op.27-2「月光」
♪シューマン/アベック変奏曲Op.1
♪ブラームス/6つの小品Op.118~第2曲 間奏曲
♪ショパン/練習曲Op.25-1「エオリアンハープ」
♪ショパン/バラード第1番 ト短調 Op.23

【アンコール】
♪ショパン/ワルツ嬰ハ短調 Op.64-2
♪エルガー/愛の挨拶

近所の「なかのZEROホール」が大規模改修工事でリニューアルオープンして、その記念公演で行われた仲道さんのリサイタルに奥さんと出かけた。「3台のピアノを弾き比べ」というのも興味深い。最初にあったホール関係者からのリニューアルの説明では、音響面の改善については触れられなかったが、キレイな内装とシャレたデザインの反響版からはいい響きがしそうな感じがした。

ステージには、ヤマハ、ベーゼンドルファー、スタインウェイのフルコンサートグランドが3台並び壮観。第1部では、仲道さんがヤマハの調律師の水谷さんに質問を振りながら、実演を交えてそれぞれのピアノについての話を聞かせてくれた。同じ「フルコン」でも、メーカーによって形も大きさも重さも異なり、音も違うこと、それぞれも楽器の特徴や、楽器の持ち味が出る演奏方法など、興味深い話が尽きなかった。「私がピアノを選ぶために試奏するときは、こんな曲を弾いてみます。」と、弾いてくれたのが第1部に記した曲。それぞれを3台のピアノで弾き、ピアノを選ぶときは何を弾くかも重要な決め手となると話してくれた。

話で特に面白かったのは、ヤマハやスタインウェイは、最初から大きなホールで演奏することを想定して製造されたのに対し、ベーゼンは、ピアノの進化の歴史のなかで小規模な楽器から始まり、大きな音を出すために変化を遂げてきたという違いがあるということ。そのためにベーゼンは、他の2つに比べてより大きく重く、張力も強いという。古き良きウィーンの響きを残したまま、大ホールでも聴こえる音量を得るための技が施されているということだろう。

実際、ベーゼンの音は、3つの楽器の中で際立って個性がある。生の声というか、原石の輝きというか… そして、聴き手の近くで語りかけてくるような感覚。「ベーゼンドルファーでは強い響きを出そうと力いっぱい打鍵してもダメで、もっと優しい、ベーゼンにあった打鍵が必要です。」と実演してくれた音は、なるほど演奏者の手から響きが立ち現れるような感覚だった。

第2部では、曲目を3つのグループ(①月光ソナタ②アベック変奏曲とブラームスの間奏曲③ショパン)に分け、それぞれ仲道さんが今一番ふさわしいと思う楽器で弾き分けるという趣向。「私がどの曲をどのピアノで弾くか想像してみてください。」と言われ、①ベーゼン、②ヤマハ、③スタインウェイと予想を付けたら、見事に全て外れた。仲道さんが選んだ楽器は、①ヤマハ(陰りのある響きが合っている)、②スタインウェイ(色気を出したかったから)、③ベーゼン。ショパンにベーゼンを選んだ理由は言っていなかったが、仲道さんはショパンを歴史的なピアノのプレイエルで演奏することが多く、ショパンにはキラキラした輝かしい音色より、人肌の温もりや親密な語りかけを求めているためなのだろう。

長いおしゃべりの後にもかかわらず第2部の演奏は、普段のリサイタルと変わらず集中力を保ち、丁寧で繊細で、温かな歌に溢れていた。「月光ソナタ」の様式美とファンタジー、終楽章での厳しさ、シューマンの優美さと煌めき、ブラームスでの溢れる詩情、ベーゼンで弾いたショパンから醸し出される郷愁と、くっきりと個性を主張する各声部の語りや歌。楽器の話を詳しく聞いた後だけに、楽器の個性にも耳を傾けながら、いつもとまた違った聴き方ができたことも面白かった。アンコール1曲目のショパンは、途中で何度もピアノを替えながら演奏するという楽しいパフォーマンスも見せて(聴かせて)くれた。

「愛の挨拶」に先立って、3つの楽器を弾き比べて聴衆の拍手で楽器を決めたところ、中央に置かれたベーゼンが選ばれた。第2部では演奏するピアノを中央に据えたが、アンコールではステージに向かって左のスタインウェイ、右のヤマハは動かさずに弾かれた。ヤマハへの拍手が少なかったのは、ピアノの置き位置の影響も大きかったためだと思う。ピアノは、客席の中央から右側(手が見えない方)で聴いた方が断然インパクトが強いことを改めて確かめる機会ともなった。

仲道郁代 ピアノリサイタル 2016.3.10 トッパンホール
CDリリースのお知らせ
さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~

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